3000匹のマグロが13匹、究極のサバイバー・ツナ 今は何匹が生存?

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 青森市の浅虫水族館で大分県の研究センターから譲り受けた3000匹のマグロの稚魚が相次いで死に、13匹になったというニュースが8月12日(月)に報じられた。稚魚が繊細なことに加え、水質や水流の変化などが原因と伝えられている。それから1週間余りたったが、生き残った13匹のマグロの稚魚はどうなったのだろうか。

■生存率0.43%を生き延びた13匹、今は11匹に

写真は浅虫水族館HPから

 マグロは非常にデリケートで養殖は困難という話は比較的知られているが、大分県から輸送し新しい環境にしたことで生存率0.43%という極限のサバイバルゲームとなってしまったニュースはテレビや新聞で大きく扱われた。マグロにとっては非常に厳しい状況を生き抜いた13匹はどうなったのか、気になるところである。メディアの続報がないので、浅虫水族館に直接聞いてみた。

松田:13匹が生き残ったとニュースで伝えられましたが、今の状況はどうですか?

担当者A:昨日(8月19日)1匹、本日(8月20日)の朝に1匹死亡しまして、今は11匹残っている状態です。

松田:その11匹は元気でしょうか

担当者A:そうですね。今、群れで11匹泳いでいる状態ではあるのですが…。

松田:8月12日当時は体長が5cmほどと伝えられましたが、今はどれぐらいですか

担当者A:10cm弱ぐらいです。

松田:この11匹は成魚になれそうでしょうか

担当者A:1匹、群れから離れている個体がいるようなので、もしかしたら、その1匹はあやしいかもしれませんが、その他の個体は元気に泳いでますので、このままいくのではないかと思ってはいますが。

 何と11匹が生き残り、すでに10cm弱の大きさになっているというではないか。僕はマグロは好物だが(笑)、このマグロたちには生き残って元気な姿を水族館で見せてほしいと思う。

■2年で1メートル「確実に成長しています」

 もう少し突っ込んだことを聞きたいと思い質問を続けたところ、別の担当の方が答えてくれた。

松田:1匹、群れから離れていると聞きましたが、これはついていく元気がないということでしょうか

担当者B:少し、体も小さいですし、口が開いている状態でもあります。ちょっと(群れに)ついていけないなという状態があると思います。

松田:1メートル、2メートルになるにはどれぐらいかかるのでしょうか

担当者B:1年で50cmぐらいと言われていますから、2年で1メートルでしょう。

松田:水質や水流が原因で死んだのではと報道されましたが、何か工夫をされたのでしょうか

担当者B:当初は水流をつけていたのですが、稚魚が5cmぐらいと小さく水流に負けていたので止め、その後は注水を多めにしました。また、濾過循環をかけてたのですが、濾過すると水流が出てしまうので、濾過も止めています。そしたら何とか13匹ぐらいで群れで泳ぐようになって、エサ食いも良くなりました。今は11匹です。確実に成長しています。今のところ10匹は群れできちんと泳いでいるので大丈夫だと思います。

松田:お客さんはマグロを見にきますか

担当者B:結構、「マグロいますか~?」って来てくださいます。

松田:13匹の後はニュースに出ませんね

担当者B:(メディアに)喋ったことがうまく伝わってなくてですね、悪いイメージがついているようなのですが…。今のところは確実に毎日大きくなっているので、しっかり育てたいと思っています。

 ちなみに朝日新聞8月12日付け電子版は「体長5センチほどの稚魚が10匹ほど」と12日の時点で「10匹ほど」にされている。報道の時点で13匹、8日後の20日の時点で11匹が真実の数字。残った魚の少なさにニュースバリューがあるのは分かるが数字は大事。「大雑把な数字で出すな、確認して書け」と言いたい。この報じ方では、担当者の方がメディアに不信感を持つのも仕方がない。

 2人のご担当の方にはお忙しい中、お話をしていただき本当に感謝、感謝。ありがとうございました。

 皆さんも青森に行く機会があれば、浅虫水族館でサバイバー・ツナの姿を見てはいかがだろうか。とにかく、11匹が生存していることにホッとした。

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