「次の質問どうぞ」に教育勅語、そんなに問題か?(12/30朝日新聞社説)

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 今日は朝日新聞の社説「安倍政権2018年 政治責任とらぬ悪例残す」を取り上げてみよう。全体的に品性に欠け、しかも詐術のようなロジックが使われている、朝日新聞らしい内容になっている。音声データはこちらから。

もう少し品性のある文章を書いてね、朝日新聞さん

 内容は2018年の安倍政権の悪口が延々と書かれたもの。財務省の公文書改竄について、麻生財務相が1年分の閣僚給与170万円を返納するだけでそれ以上の責任をとらないことを批判し、「これでは、社会全体のモラルが崩れてゆく」と書いている。社会全体のモラルが崩れるかどうかは分からないが、そう考えるのは朝日新聞の勝手なので、好きに言ってくださいという感じだろう。

 この点を突破口にして「麻生氏が重要ポストに居座ったことで、閣僚たちがおのれの責任を軽んじる風潮がまんえんしたように見える」と続け、他の3人の閣僚の言動について言及。ここが問題である。取り上げた3人は以下の通り。

・柴山昌彦文科相は就任早々、「教育勅語」を「道徳などに使える」と発言した。

・片山さつき地方創生相は政治資金収支報告書を短期間に4度も訂正した。

・河野太郎外相は記者会見で4回続けて「次の質問どうぞ」と記者の質問を無視した。

 麻生財務相への攻撃が一定の説得力を発揮しているため、残る3つは大した問題ではないのに、問題があるように見せる印象操作とも言うべき詐術的論法。

 まず教育勅語を道徳などに使えると発言することは、特に問題はない。2017年に政府は「憲法や教育基本法などに反しないような形で、教材として用いることまでは否定しない」との答弁書を閣議決定しているから、柴山文科相の発言はその範囲内。そもそも教育勅語は「親孝行をして、兄弟や夫婦は仲良く、友達と信じ合いなさい」あるいは「進んで公共の利益に尽力して、憲法を尊重し、法律を遵守し」といった普遍的な価値観が語られている。これ、道徳に使えるよね? 朝日新聞が好きな憲法を尊重、とあるんだけど。

 片山さつき地方創生相の政治資金収支報告書の4度の訂正は感心できないし、ずさんなので批判するのはいい。ただ、民主党の菅直人首相は外国人から政治献金を受け取って、それが明るみに出ると、返却するという行為を行なっていた。これはずさんというより、外国からの国政への介入という点で遥かに片山地方創生相の例よりは責任が重い。その時の方が辞任に値するということは申しておこう。

 次の河野太郎外相の「次の質問どうぞ」と記者の質問を無視したことは、確かに人の礼儀としてどうなのかという部分はあるが、要は「その質問には答えられません」という内容をどう表現するかの問題にすぎない。河野外相は日露の条約交渉については国会でも、記者会見でも「何も答えられない」と一貫していたわけで、それでも聞いてきた記者に「答えられない」という意味で「次の質問どうぞ」と言っただけであろう。本人も自身のサイトの中で「せめていつものように『お答えは差し控えます』と答えるべきでした。」と書いているが、それだけの問題。社説で批判するような話ではない。そもそも記者はそんなに偉いのかという気もする。ちなみに朝日新聞に紙面の内容について質問すると「記事に書いた通りです」を連発する(笑)。

この日の社説は最後にこう結んでいる。

「政治責任を顧みず、『多数に従え』という政治を、来年も続けますか」

これは普通、負け犬の遠吠えと呼ばれると思う。

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