コロナ危機に立ち向かうBBQ専門店の心意気

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 山梨県甲府市の「アメリカンBBQダイニングAjito」(滝口幸孝代表)が、独自の方法で”コロナ危機”を乗り越えつつある。新型コロナウイルスの感染拡大で全国の飲食店が休業に追い込まれる中、完全防菌のテイクアウト方式に営業を切り替え、自力でウイルスとの戦いに立ち向かっている。

■サービスは「心は接触💕テイクアウト」

 Foodist Media2020年4月20日公開の記事<【新型コロナ】テイクアウトで注文殺到、甲府『Ajito』が実践する「ある戦略」>は大きな反響を呼んだ。シェア2,000近くを記録し、この種の記事としては異例の関心の高さとなっている。

 全国の飲食業界が戦後最大の国難とも呼ばれる新型コロナウイルス禍に苦しめられ、多くの店舗が休業を余儀なくされ、政府の補償に店舗の将来を託す事業者も少なくない。そのような中、甲府市のバーベキュー専門店「アメリカンBBQダイニングAjito」は、自力でこの困難を乗り越えようと懸命の努力を続け、一定の成果を出しつつある。

 同店が始めたサービスは「心は接触💕テイクアウト」。お客さんが新型コロナウイルスの感染を恐れて外食を控えるようになったのであるから、(それなら感染を防いで商品を届けよう)という極めて単純な発想である。

■商品を運ぶ際はマスクとゴム手袋着用

商品を渡す際はマスクに手袋を装着(滝口幸孝氏提供)

 ここでサービスの流れを確認しよう。

【心は接触💕テイクアウトのサービスの流れ】

専用のインターネットページからメニューを見て商品を決定

②予約専用電話で商品・数量・引き取り希望時間を伝える

③店舗の駐車場に到着したら、専用電話に連絡

④スタッフが商品を自動車まで運ぶ

⑤キャッシュレスで決済

 この流れで注目していただきたいのは、④と⑤。客は自動車の中から出る必要がなく、また、⑤はカード等であれば最小限の接触で、スマホであればバーコードの読み込み等で接触せずに決済ができることである。③については店舗のスタッフは商品を運ぶ際に完全防菌態勢で臨む。マスク着用。当初は運ぶ際に手洗い消毒をしていたが、その後、ゴム手袋着用とした。

 こうした徹底ぶりが客の安心感を誘い、注文のアップにつながる。「やはりこういう状況なので、神経質になられるお客様もいらっしゃいます。そういう方が『これなら安心だよね』と言ってくださったということはありました」と滝口幸孝代表は言う。

■在宅勤務者・家族のニーズに合った商品

Ajitoの滝口幸孝代表(提供写真)

 4月上旬の時点で売り上げは前年比7割~8割減少という非常に厳しい状況にあった。しかし、4月10日から「心は接触💕テイクアウト」サービスをスタート、同13日からは店舗での営業を休み、新サービス1本とした。売り上げは好調で、4月26、27日は前日までに目玉商品のスペアリブが完売してしまい、急遽、休みとせざるを得なかったほどの予想を超える売り上げとなっている。

「前年比5割減程度にまで戻せました。ウチでは通販もやっているのですが、そちらにも影響が出ています。多くの店舗が同様なサービスを始めてきましたが、その中では一歩、抜け出せたかなという感触は持っています」と滝口代表。

食欲そそる料理が人気(滝口幸孝氏提供)

 このような売り上げアップは同店の商品の特性にも原因が求められる。多くの人が自宅勤務を余儀なくされ、1日中、家にいると楽しみは食事ぐらいしかない。とはいえ、外出自粛の要請が出ており外食はしたくない。

 そのような時に「たまには家で豪華なものでも食べたい」という気持ちになった時に、ボリュームのある同店の肉料理は有力な選択肢になる。そうしたニーズに応えるものと言えるのかもしれない。

■繁盛店の法則…単純な1つの思い

 僕はこれまでFoodist Mediaで80本の記事を公開した。その間、繁盛店を多く取材させていただき、自分なりの「繁盛店の法則」のようなものは頭の中に構築されている。その法則からして、滝口氏を取材した時に、(この人、このサービスは成功するだろうな)と感じられた。

 僕なりの「繁盛店の法則」は簡単。店のオーナーが口を揃えたように言う「儲けより、客の笑顔を見たい」ということである。(この人は商売っ気がないのかな?)と感じるぐらい、皆、(お客様のために)を優先するのである。

 「心は接触💕テイクアウト」は要は客と従業員への感染拡大防止を主眼にしたサービス。利潤を最優先すれば、現金決済を認めないという選択肢はあり得ない。それをキャッシュレス決済に限り、信販会社の3~4%のマージンを負担してでも客と従業員の安全性を高めるという発想は、まさに顧客のためであり、顧客の信頼を勝ち取るであろうと感じられたのである。

■希望を持って、コロナ後に希望を託そう

 新型コロナウイルス禍で大きな打撃を受けている飲食業の方は政府に補償を求めるのは当然であろうし、そのことで店を存続させていただきたいと願っている。同時に、補償の前に自助努力で危機を乗り越えようとする経営者を見ると、その心意気に感動させられる。

 言い古された言葉であるが「天は自ら助くる者を助く(God helps those who help themselves.)」。自分ではどうにもならない巨大な敵に対しても正面から戦いを挑み、状況を打破しようとするガッツは飲食業界以外の人も見習うべきであろう。

 最後にFoodist Mediaに書いた、そんなガッツある滝口代表の従業員への言葉を引用しよう。

「いつ終わるのか、終わりが見えないのは確かだ。でも、近い将来に終わるという希望を持っていこうじゃないか。もちろん、終わらないかもしれない。しかし、もしかしたら7月に終わるかもしれない、うまくいけば6月に終わるかもしれない。希望を常に持ってやっていくことこそが大事だ。そして、終わった時にどれだけ自分が本領を発揮できるかという想像を働かせ、そこに希望を託そう」

 蓋し名言ではないか。

【アメリカンBBQダイニングAjito】

所在地:山梨県甲府市徳行5-13-22

電話:055-298-6410

営業時間:17:00-20:00 

定休日:火曜日

店舗URL:アメリカンBBQダイニングAjito トップ

テイクアウトサービスURL:心は接触💕テイクアウト

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