レナウン破産予見の女性社員「会社の継続困難」

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 名門アパレル企業のレナウンが11月2日、破産開始決定を受ける見通しとなった。10月30日、東京地裁から民事再生手続廃止決定を受け、今後1か月をメドに破産開始決定を受ける見込みで、会社としてのレナウンは清算されることが濃厚。末端の社員はこの事態になる前にどう感じていたのか、会社のクチコミサイトを覗いてみた。

■東京商工リサーチは3か月前に消滅可能性伝える

レナウンは銀座にもブランド展開していた(写真はイメージ)

 レナウンの破産は既定路線だったようである。今年5月15日に子会社による民事再生法の適用申請がされ経営再建の途上にあったが、全事業の一括した支援を得ることが難しく、ブランドや事業ごとの譲渡を行っていた。

 3カ月以上前の7月29日には東京商工リサーチが「民事再生のレナウン、ブランドごとに複数スポンサーに譲渡へ」という記事を公開し、その中で「…分割譲渡の計画案で各スポンサーと合意した場合、法人としての「レナウン」が消滅する可能性も出てきた。」としていたのである。

 結局、東京商工リサーチの予想した通りの展開となり、名門レナウンはその名が消えることになりそうである。あるアパレル関係者(小売業)に聞くと、「レナウンが危ないという話は数年前から話題になっていた。個人的にはレナウンルックという子会社がイタリアの良質のブランドのインポートを行なうなど、センスのいい会社ではあったと思っているが、これも時代の流れだろう」と語っていた。

■会社の継続に疑問を抱いていた社員の声

 果たして末端の社員はレナウンをどう思っているのか。数多くある会社のクチコミサイトを覗くと、この事態を予想していたかのような書き込みが少なくない。会員登録しなければ読めないサイト内の記事で引用できないため、概略をお伝えする。

★男性正社員(在籍10年程度):百貨店頼みのため、百貨店と一緒に沈んでいく。Eコマースも路面店もノウハウがない。新規事業は成功したためしがない。

★男性正社員(在籍3年程度):昔からの取引先というだけで、ビジネス度外視で関係を続けてどうする。

★女性正社員(在籍5年程度):会社はブランド力を信じているが、消費者は認知していない。この温度差が問題。

★女性契約社員(在籍5年程度):不採算部門を放置していたことが、民事再生法の適用申請に至った原因。

★女性契約社員(在籍5年程度):現経営陣では、いい形での会社の継続は難しいと思う。

 最近のものを集めたが、民事再生法の適用申請前後とあり、達観したような意見が目に付くし、最後の女性のコメントはまさに今回の事態を見抜いていたかのようである。斜陽産業のオールドカンパニーというのはこのようなものかもしれない。

■中国資本の傘下に入って10年でレナウン消滅へ

 ご存知のように、レナウンは中国の山東如意科技集団の傘下に入っている。2010年の傘下入りから10年で民事再生法の適用申請、そして破産開始決定である。見方によっては、生き残りのために最後の足掻きをしていたが、10年で力尽きたという感じであろうか。決して中国に対する偏見ではないが、一時期、時代の先端を走っていたレナウンが中国企業の傘下という部分にどうにもミスマッチを感じるのは、筆者だけではないと思う。

 レナウン以外にも中国資本の傘下に入った企業は多く、例えばラオックス(蘇寧易購傘下)、NECと富士通のパソコン事業(レノボが買収)などがある。

 この先も中国企業の傘下に入る日本企業は増えてくると思うが、日本の成長を支えた企業が21世紀に続々と外資にひれ伏す姿は見ていて気持ちのいいものではない。

"レナウン破産予見の女性社員「会社の継続困難」"に2件のコメントがあります

  1. MR.CB より:

    》》ジャーナリスト松田様

    小生も今後も中国企業の傘下に入るしか、選ぶ道がない日本企業もますます多くなると思います。軍事に直接的に結びつかない産業であれば、それも致し方ないのかも知れません。しかし緊急輸血の様な効果はあっても、その会社の将来性には疑問を抱いてしまいます。
    先日、ある評論家が「韓国や中国には談合というものがない。もちろんカルテルも。いわゆる自民党の様な、足して2で割る考え方がない」と言っていました。それはビジネスや政治においても、日本人の様な信頼関係ではなく、力関係(強いから従う)で判断すると言うことなのでしょう。
    これまでも良く耳にしてきた、大陸と島国・日本の考え方の違い。ただし欧米諸国は「パンツを履いている」ので国際法を尊重して外交を行います。松田さんの前で法律について意見するのは恥ずかしいのですが、国家間には司法は存在しないと思います。国家同士の話し合いで岩礁にコンクリートで人工島を作っても「無問題」。力を持った国の「やった者勝ち」が、それが世界のルールのようです。
    小沢一郎さんの国連至上主義が象徴する地球防衛軍?!。私たち日本人の特異な平和主義のままでは、株式会社日本の将来もかなり心配です。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>MR.CB様

       コメントをありがとうございます。

       日本の企業が中国企業の傘下に入っていくのは時代の流れとはいえ、寂しいものがあります。レナウンも民事再生手続の際は、子会社から申請の手続きを出したのですが、それは中国からの取締役が反対したからということです。社員もたまったものではないと思うのではないでしょうか。高度成長期からバブルにかけて元気だった企業が、こういう形で消えていくのも時代とはいえ、悲しいものがあります。

       国際法の一番の問題は執行機関がないということですから、国家間には司法は存在しないというのはその通りだと思います。現実に国際司法裁判所への提訴から韓国は逃げ回っています。国際的なルールに従わない国が得をしているという現状には、どうかと思う部分が大きいです。

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