港浩一社長に進退報道 後任は遠藤龍之介氏か
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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フジテレビが27日に開催される臨時取締役会で港浩一社長の進退などについて協議する見通しと24日に一部メディアが報じた。中居正広氏のトラブルで揺れる同社のトップが身を引くことが濃厚となった。後任にはトラブルとは無関係で清廉なイメージを持つ者が起用されると思われ、取締役副会長の遠藤龍之介氏の再登板が有力と思われる。
◾️1/27臨時取締役会で港社長の進退協議
23日にフジテレビと、同社を完全子会社とするフジ・メディアHDが臨時取締役会を行い、一連のトラブルに関する第三者委員会の設置を決定し(フジ・メディア・ホールディングス・第三者委員会の設置について)、27日にフジテレビが再度の記者会見をオープンな形式で行うことを発表した(NHK・フジテレビ 第三者委員会設置を決定 27日に会見へ【詳しく】)。
当サイトでは23日のフジ・メディアHDでの臨時取締役会でフジテレビ港社長の解任の可能性を論じたが、結果的にその日に解任は行われなかった(フジ港浩一社長の解任あるか 1/23臨時取締役会)。しかし、その4日後の27日に行われるフジテレビの臨時取締役会で、港社長の進退が協議されるというのである(朝日新聞DIGITAL・フジテレビが27日に臨時取締役会を開催 港社長らの進退協議へ)。
フジテレビは2023年度で年間2400億円近くの売上高(フジ・メディア・ホールデンィグス・2024年3月期決算説明会資料)を誇るが、17日の記者会見後、次々にスポンサーが降りて今やCMはACジャパンばかりの現状。4月以降のスポンサーも不透明な状況で、経営上の危機が迫っている。その主な原因は中居氏のトラブルの処理を誤った上に、視聴者やスポンサーに決定的な不信感を抱かせることとなった記者会見を行った港社長にあり、同社長にスポンサーや視聴者からの信頼を取り戻す力があるとは考えられない。
しかも、自身が中居氏のトラブルの調査対象となっていることを17日の会見で明らかにしている。表現は適切ではないが、容疑がかかっている人物の指揮で(日弁連のガイドラインに準拠する)第三者委員会ではなく、公正さが担保されているかどうか分からない調査委員会なるものの設置で幕引きを図るに等しい。
おそらく、23日のフジ・メディアHDの臨時取締役会で港社長の退任は決定したものと思われる。そこで解任した場合、フジ・メディアHD、さらに言えば、最高権力者である日枝久取締役相談役による”トカゲの尻尾切り”という批判を受ける可能性がある。そこで、批判の中心となっている第三者委員会設置、社員への説明会と再度の記者会見実施と、港社長自身に最低限の責任を取らせてから身を引かせるという結論に至るのはごく自然な流れと思われる。
◾️新社長の4つの条件
港社長に代わって、この事態の収拾にあたるのは誰かと考えた時に、適任なのは遠藤龍之介取締役副会長である。新社長に求められるのは、①中居氏の事案とは無関係で第三者委員会の調査に全面的に協力できること、②クリーンなイメージ、③危機に対応できる能力、④一定程度の若さといったあたり。
この点、遠藤氏は、①中居氏の事案については、2024年12月に週刊文春の記者が自宅を訪れて知ったということで、事案の発生からその対応まで全く関与がないことを明らかにしている。
②作家の遠藤周作氏の子息で幼稚舎からの慶應出身で、現在、日本民間放送連盟(民放連)会長という公共性の高い地位に就いている。23日に記者会見して、女性アナウンサーを伴った会食については周囲の人間が「彼女たちの自尊心が傷付かないようにしていく義務がある」と語るなど、常識的な考えを持っていることをうかがわせる。
③ライブドア事件の際は広報部長の職にあり、今回のような世間の耳目を集める事案で企業の情報発信がどうあるべきかを熟知していると思われる。
④1956年生まれの68歳、1952年生まれの港社長(72)の4学年下にあたる。
遠藤氏は2019年にフジテレビの取締役社長となり、2021年に退任し、その1年後に民放連の会長に就任している。
◾️臨時取締役会後の会見に出席予定
遠藤氏は現在もフジテレビの取締役(副会長)であり、フジテレビの取締役会で代表取締役に選任できる(会社法362条2項3号)。そうなると27日のフジテレビの臨時取締役会で港社長の辞任に伴い、遠藤氏が新社長に選任される可能性が高いと予想される。
臨時取締役会の後に記者会見に臨むことになるが、その出席者は既に発表されており、港浩一社長、嘉納修治会長、遠藤龍之介副会長、それにフジ・メディアHDの金光修社長の4名(サンスポ電子版・フジテレビ、27日会見前に臨時取締役会 会見は港社長ら出席、終了時間制限も設けず)。
フジテレビの取締役でもある金光氏の社長再登板も考えられなくもないが、フジ・メディアHD社長と兼任することの難しさや、上記②と④がネックとなり、遠藤氏をフジ・メディアHDの社長として支える役割に徹するのではないか。嘉納氏は73歳という港社長より年上という年齢がネックで、会社を一新する、生まれ変わらせるというイメージはなく、同じように遠藤氏のサポート役として引き続き会長職にとどまるのが自然なように思う。
臨時取締役会で港社長の進退を協議という事実上退任の報道が出て、その後に記者会見が設定されているということは、その場に新社長が同席しなければ、今後の方針について十分な説明が行えない。その前提の上でメンバーを見ていくと、消去法で見れば遠藤氏しか残っていない。
もちろん、これは確証のある話ではなく、報道される内容から推測されるものである。ただ、伝わってきている23日の社員説明会の内容から、港社長体制について従業員の信頼は全く失われている状況であることは明らか。社員から面前で退任を求められるなど、社内の権力構造からしても、いわゆる『レイムダック』状態と言える。(現代ビジネス・【独自】「この場で社長会長が辞任してくれないと月9ドラマが止まる!」悲痛のフジテレビ社員説明会の一部始終《緊迫の1・23ドキュメント》)。
新社長が誕生するとして、スポンサーから見放された状況が一気に改善するとは思えない。中居正広氏のトラブルに端を発した今回の事案は、ここからがフジテレビにとって正念場と考えた方がいい。