右翼の話から入って自己満足の世界へ(12/31朝日新聞社説)

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 さて、2018年最後は、やっぱり朝日新聞だろう。もういい加減、嫌になってきたが、今日の社説もぶっ飛んでいた。タイトルは「平成の30年 それでも、確かなことは」。タイトルからして、意味が分からない。

 内容について説明しよう。

確かなことは、朝日新聞は終わったこと

 まず、民族派新右翼団体「統一戦線義勇軍」議長の針谷大輔さんが天皇誕生日の一般参賀に出向く場面から始まる。会場で「天皇陛下万歳!」と声を上げたもののメンバーが後に続くだけで、その声は広がらない。そこには熱狂もなく、一種のイベントのようにとらえている若者の姿もあった。そういう光景を針谷さんは「つまり、自然ってことですよ」と言う。世の中が移り変わる中、天皇陛下は変わらず我らの象徴として存在する。その存在に国民の多くは安心し、ありがたさを思い、それはごく自然な感情でナショナリズムとは違うという趣旨の話を針谷さんはするのである。

 そこで話題は格差に移る。1980年代以降、バブル経済とその崩壊、就職氷河期、ワーキングプアなど格差社会が固定化されてきた。それは覆ることのない格差に対する一種の諦観、諦めであり、社会的成熟であると言えよう。そして、他の人がどうなろうと知ったことではない、という残酷で個別化された意識が平成の若者の間に広く深く浸透するという事実を識者の話を借りて紹介した。

 福岡県の高校生に対する調査結果で、「日本の文化や伝統は他の国よりも優れている」ということを肯定する人は2001年に29%だったものが、2013年には55%になった。また、「行事の際に国歌・国旗を用いるべきだ」は17%から39%に上昇。冒頭の針谷さんの「つまり、自然ってこと」という言葉を筆者は反芻する。

 しかし、筆者はここで反撃。天皇は国民統合の象徴で、社会の亀裂や分断線を修復して、安心感を醸成する責任は政治にあると主張するのである。その役回りを象徴天皇に負わせているのではないだろうか、と疑問を呈している。そして政治は人々の不安や不満から目をそらし、力で抑え込むことさえいとわない安易かつ無責任な政治に対して、声を上げて、政治に責任を果たさせることこそが「自然」ではないだろうかと。

 そして最後に「こんな社会にしたい」という意志を持つことなしに、自分たちが望む社会は生まれ得ないとまとめた。

 社説は格差社会が固定化している現状を認容し、日本の文化や伝統、国歌や国旗に対する肯定的な感情を持つ人々が増えている現状を認めている。しかし、人々は実は不安感を抱いており、安心感を天皇の存在に求めているのが現実だと思うということなのだろう。強者による支配、ナショナリズムにつながる国家に対する信頼感が生まれているのは、天皇という存在が安定装置になっているのではないか。政治に不満があれば政治に責任を取らせろ、それこそが自然な感情ではないか、今こそ、安倍政権にNOの声を上げろと言いたいのであろう。格差社会を固定化する政治に対して不満の声を上げろと言いたいのだと思う。

 天皇誕生日の一般参賀が平成で最高の8万2850人を集めたこと、高校生の意識が自国の伝統や国歌や国旗に対する理解が深まっている現状は認めざるを得ない。しかし、それはこれまでの安倍内閣に代表される自民党政権の考えが支持を広げているわけではなく、人々が天皇の存在などに安心感を求めた結果、不平不満が出てこないのであると言いたいようである。

 無理筋な社説であろう。朝日新聞も焦りを隠せないという感じがする。権力は悪、ナショナリズムは悪いこと、戦前の日本はすべて間違っていた、弱者こそが正義といった朝日新聞的な価値観が否定されている現状を何とか自分たちの都合のいいように解釈しようとしている、そのことで自分たちの価値観の正しさを訴えたい狙いがあるのだと思う。

 日本経済新聞の2018年6月の世論調査によると、18歳~29歳の63%が安倍内閣を支持しているという結果が出ている。それ以外にも同様の調査結果は少なくない。これは朝日新聞的価値観が若者から敬遠されるようになっていることに他ならない。もはや過去の遺物のような存在になっている朝日新聞による悪あがきが、大晦日の社説と言っていいと思う。個人的には、こんな文章が書いてあるような新聞を、お金を払って買う人の気がしれない。

 タイトルは「平成の30年 それでも、確かなことは」。確かなことは、朝日新聞が終わってるということだろうね。

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