田村ゆう子市議どんな人? 筆者の前で見せた涙

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 共産党市議の不正アクセス事件の記事が2日、弁護士JPニュースに掲載された。同サイトと3月に筆者(松田隆)が契約を結び、これが2本目の出稿。令和電子瓦版では触れていない、IDとパスワードを元市議の男性に渡した田村ゆう子市議(39)の来歴なども盛り込み、令和電子瓦版のユーザーの方にも新しい情報が入手できるように考慮した。今回、取材を通じて感じた田村市議の人となりについて紹介する。

◾️Yahoo!などにも転載

田村ゆう子市議(撮影・松田隆)

 3月15日に読売新聞オンラインが報じた共産党の調布市議による不正アクセス事件は、当サイトが連日のように報道している。それを1つにまとめて弁護士JPニュースに寄稿、Yahoo!やlivedoorなどのポータルサイトでも記事が配信された(弁護士JPニュース・調布市・共産党市議ら「不正アクセス」疑惑で市議会が刑事告訴を検討 議員専用クラウドのID・パスワードを第三者に共有かYahoo!同記事livedoor同記事)。

 弁護士JPニュースとは3月に契約し、最初の記事は同月20日に札幌の元教師の復職を目指す戦いの記事として掲載されている(参照・“28年前”の性加害告発で懲戒免職、ネットでもバッシング…元中学教師が「女性の訴えは虚偽」と主張し、復職を求める理由)。今回は筆者にとって同サイトでの2本目の記事となった。

 今回の共産党市議の事件では、令和電子瓦版で紹介したものをまとめる形の記事だけでは編集部に申し訳ないため、当サイトではあまり扱っていない田村ゆう子市議の来歴を紹介した。

 もともと、田村市議については「1985年、神戸市生まれ。小学3年の時に阪神淡路大震災で被災し、避難所生活を経験した。夙川学院短期大学(現神戸教育短期大学)を卒業後、児童館スタッフ、幼稚園教諭を経て2014 年から調布市内の児童福祉施設に勤務。2022年4月に共産党に入党、同年7月の参院選で山添拓参院議員の応援を行った」(参照・共産・田村ゆう子市議が不正アクセス助長 調布市)と、本事案での最初の記事で紹介している。

 今回はさらに、田村市議の過去の選挙での演説や、共産党が出したプロフィールなどを調べ、それ以外の事実も加えた。たとえば、共産党の都議が運営しているYouTubeチャンネルに出演した際に、共産党入党までの経緯などを語っていることを突き止め、その内容を掲載。田村市議の両親はともに共産党員で、自宅には「しんぶん赤旗」が届けられていた。もっとも本人は4コマ漫画程度しか読まなかったという。

 児童福祉施設で勤務している時にコロナ禍が発生、連日の勤務でストレスが溜まる中、2021年8月、35歳の時に日本共産党創立99周年記念講演会で志位和夫委員長(当時)が「オリンピック反対」と言ったことなどに感動したそうで、そこから本格的な政治活動にのめり込んでいった(以上、YouTubeチャンネル米倉春奈&池川友一「声をあげれば、政治は変わる」内「change032 初当選の議員が変える」から)。

 当時の勤務先は組合活動が盛んで、調布市と折衝することが多く、その時に手伝ってくれたのが共産党の武藤千里市議であった。同市議と関係を持つ中、その後継の形で2023年の市議会議員選挙に立候補した。

◾️岸本市議の名刺の渡し方

岸本市議(右)と田村市議(撮影・松田隆)

 筆者は3月17日に取材で初めて田村市議と会い、27日の問責決議可決後にも取材させていただいた。また、その間、記事をアップした時にはURLを送る約束をしたために、何度かメールを送っている。実際に接してみて「田村さんて、どういう人ですか?」と聞かれたら、「ごく普通の人です」と答えるであろう。

 今回、IDとパスワードを元市議の男性に渡すという違法な行為を行ったとはいえ、(根は悪い人ではないだろうな)と感じる。実際、最初に会った時の印象は悪くなかった。取材前に「今日は岸本幹事長と一緒にお話をさせていただいていいですか?」とマスク越しに笑顔で言ってきた時には(この人が言われるような大胆なことをしたのか?)と感じさせられたほど。

 その後、田村・岸本両市議に挨拶をして名刺を渡したが、どちらも受け取ったものの自分の名刺を渡さなかった。そこで筆者から「お名刺をいただけませんか?」と頼むと、岸本市議は机の上に自分の名刺を置き、それを指で筆者の方に滑らせた。長年、名刺の受け渡しをしているが、こんな失礼な渡し方をする人物には会ったことがない。

 田村市議はしっかりと両手で差し出し、頭を下げて「田村です。よろしくお願いします」とビジネス作法に沿った方法で手渡した。16年間、社会経験を積んでおり常識人としての側面はあるように感じられた。取材時はこちらの話を聞いているが、事前に岸本幹事長と口裏合わせをしていたためか、考えながら、話しにくそうにしていたのが印象に残っている。結果的にその時の取材は虚偽と言っていいものであった(参照・嘘がバレそうになり?説明を一変 共産党市議)。

 その直後に市議会に取材に行った際に田村市議に挨拶し、一言二言、言葉を交わした。最後に前回、明らかに虚偽を言ったことも含めて「今の状況で教えてきた子供達に顔向けできますか? 恥ずかしくありませんか?」と聞くと、田村市議の目から涙が溢れ出てきた。すかさず岸本市議が「それはプライベートなことなので」と間に入ってきたが、田村市議なりに思うところがあったように思える。「子供たちのことを常に考えている」という趣旨の話を演説などで行っていたのに、ルール違反、犯罪の可能性ありと責められている状況が自分なりに情けないと思っているのかもしれない。そうした部分を見ると、悪い人ではないのかなと思えなくもない。

 一方、問責決議後の取材で「なぜ、聞くたびに言うことが変わるのか」と聞いた時に「わかりません!」「伝え忘れたんだと思います!」とキレ気味に言うなど、感情的になることもある。それを含めて「ごく普通の人です」という評価である。

◾️一人の人間として進むべき道を

 不正アクセス事件がこの先どうなるのか、予測するのは難しい。調布市議会は刑事告訴を検討しているものの、各会派によって温度差があるのは事実。会派内でも温度差がある会派もある。とはいえ、市議会がいつまでも刑事告訴せずに引っ張っていれば、痺れを切らした一般市民が告発しないとも限らない(参照・「速やかに告発を」共産市議不正アクセスで公明党)。それで捜査が始まれば、議会は身内に甘いという批判は覚悟しなければならない。

調布市議会(撮影・松田隆)

 告訴・告発されれば田村市議も岸本市議、元市議の男性とともに刑罰が科される可能性はゼロではない。市議としてではなく、一人の人間として自らの進むべき道を選べばいいのではと思うが、共産党という組織の中では自分の考えだけでは動けない部分もあるのかもしれない。

 その中で涙を流したり、キレ気味に話したりという状況から、本人の心の中で葛藤が生じているようにも思える。

 組織の呪縛から逃れられずに、市民に真実を隠し続けていると、大きなしっぺ返しを食うことになりかねない。田村市議がそれをどこまで分かっているのか、取材者として注目している。

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