「速やかに告発を」共産市議不正アクセスで公明党

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 調布市議会の議会運営委員会(宮本和実委員長)が3月31日開かれ、平野充(みつる)副委員長(公明党)が会派の見解として不正アクセス事件で早期に捜査機関へ告発すべきとの考えを示した。議運内部では会派間に温度差がある中、公明党の強硬な姿勢が際立っている。委員会終了後、取材に応じた平野市議は、議会が告訴しない場合、一般市民、団体が告発する可能性に触れ、議会としての意思表示の重要性を強調した。

◾️会派での温度差クッキリ

取材に応じた平野充市議(撮影・松田隆)

 27日に共産党の田村ゆう子、岸本直子の両市議に対する問責決議が可決されたのを受け、この日の議運では、この問題が議案とされた。冒頭、平野副委員長が挙手して発言を求めた。その中で、田村市議からIDとパスワードを渡された元市議の男性(73)については事情聴取が行われておらず、詳細な事情が不明のままである点を指摘。多くの市民は今回の件でどこまで市民に不利益が生じているのかなど全く分からない状況であるとした。

 その上で「本事案は決して市や市議会での内々での調査で終わらせる問題ではありません。それで市民の納得が得られるとは思えません。調布市議会として速やかに、不正アクセス禁止法違反になるのでしょうか、しっかりときちんとした形で告発をし、警察・検察に捜査を依頼しようという態度を明確にすべきではないかと考えるところです。その上で警察の取り扱い結果についても、市民への説明責任の1つとして果たしていくべきだと思っています」と続け、以上は会派としての見解であるとした。

 これに対して、各会派の委員が見解を述べた。

川畑英樹委員(立憲民主党):問責決議の可決は大きい。問責決議が出され、ボールは田村・岸本市議に投げられた。そのボールが返ってきていない。両市議がどのような答えを出すのか、それが先。それがあった後、それがあって然るべきと感じるなら、そういった方向性を持って進めるべき。

大野祐司委員(自民党新政会):公明党が言うように告発する手はあるのかなという気はする。ただ、会派の中で温度差がある。

澤井慧委員(日本維新の会):我々は捜査機関ではない。議会内でこれ以上の事実確認、真相究明をするシステム、権限は備えていないと思う。事実確認をするなら第三者機関を含めて外部からの協力がなされる必要性はあるかもしれない。それがなければ、ここで幕引きになる、その二者択一のように思う。

 なお、丸田絵美委員(チャレンジ調布)は発言しなかった。これらを受けて宮本委員長は今後、会派の中で協議を続けていくことを求め、この日の議論を終わらせた。

◾️刑事手続へのスピード感

 委員会終了後、当サイトの取材に応じた平野副委員長は議運内での温度差を感じたとしつつも、この問題の解決に向けての動きにについて「この事案が起きてから相当な日数が経っていますが、ことの運びと言いますか、進行が遅いなぁと感じています。市民でもそう感じている方はいると思います」とスピード感が欠けることを口にした。

 こうした点に不安を感じるのは、議会が告訴しないまま時間が経過した場合、一般市民や団体が告発する可能性を考慮しているように思える。その点を聞くと「そうですね、一般市民でも告発できますね」と頷いた。

(※告発(刑事訴訟法239条)は「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」(同条1項)と規定されており「告訴権者以外の第三者から捜査機関に対してなされる犯罪事実の申告及びこれに基づく犯人の処罰を求める意思表示」(刑事訴訟法講義第3版 安冨潔 慶應義塾大学出版会 p65)のこと。本件は被害者である調布市議会が捜査機関に対して犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示である告訴(同230条)すべきかどうかが問題になっているが、調布市議会関係者の多くは「告発」という表現を使用する。法律用語ではなく、犯罪事実の申告を指す一般的な用語として使用しているものと思われる。このため当サイトでは地の文としては「告訴」を使用し、関係者のコメントでは言った通りの「告発」を使用する。)

 議会が告訴を躊躇していれば、調布市民から(議会は身内に甘い、なあなあになっている)と思われてしまうのではないかという問いに対しては「私もそう思います。特に議会というものが、市民や国民にとって見えにくいところ、変な言い方をすれば、『臭いものには蓋をしろ』と映っている場合もあると思います。だからこそ議会で起こったこういう事案では、議会がきちんとしていかないといけません。そう思うから、もっと速やかにことを運ばないといけないと考え、毎回発言しています」と危機感を露わにした。

 不正アクセスの露顕が3月12日。同21日には井上耕志議長が調布警察署を訪れて事件を相談し、同日の幹事長会議で現状報告をしている。27日には問責決議も可決された(参照・共産市議2名の問責決議可決 幹事長にも責任。しかし、19日経過しても未だに告訴がなされていないことに、平野副委員長が言うようにスピード感に欠けると感じる市民が出ても不思議はない。

 捜査機関は政治的には中立の立場に立つ。顕著で重大な犯罪の場合であれば積極的に捜査を行なっても問題はないが、本件のような案件で議会からの要請もないのに介入していけば、その中立性を疑われかねない。

 そのような点からも「議会側からきちんとした意思を受けないと、警察としても動きにくいと思います。だから私は毎回言うんです。受理する、しないは警察の判断です。市民の代表である私たち議会は、第三者(警察あるいは検察)に今回の事案をジャッジしていただこうという意思を示すこと、その責任があると思います」と告訴の必要性を訴える。

◾️今後も議長に訴え続ける

問責決議可決後、取材に応じる田村市議(左)と岸本市議(撮影・松田隆)

 調布市民はこの件にどこまで興味をもっているのか分からないが、市議会議員しか見ることができないクラウドに、市民の負託を受けていない者が侵入し、閲覧した上に操作を行なったことの重大性は認識すべきことがらであろう。

 地方自治の根幹に関わるという見方もできる。

 平野副委員長は「市民への説明責任を負っている議員という立場からも、第三者(警察あるいは検察)から見てこの事件はどういうことだったのか、市民に報告できる、内容が見えるようにしていかないといけません。そう考えているということを、今後も議長に言っていくつもりです」と、決意を口にした。

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