女に狙われた女性 恐怖と怒りの記憶 (3)
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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しつこくアプローチを続ける同性愛者に神経をすり減らす女性の告白の第3回。東日本大震災のボランティアが終了しアプローチから逃れられると思ったが、その後も様々な形で接近、関わりを持とうとする泥沼へと突入していく。
■ブログで次々にアップされる愛の告白
2013年8月にボランティアを終了し、主宰するVさんはAさんに二度と会わないことを伝えたが、その強い思いを嘲笑うかのようにAさんからの接近は続いた。
ボランティアが終了する前の2013年1月、VさんはAさんが運営するブログを紹介された。レンタルブログサービスの1つであり、3~4日に1回程度、更新されていた。その内容の多くはVさんに関するものである。
Vさんによると、過去の出来事を都合よく事実を変え、曲解されたものだという。既に閉鎖されているが、Vさんが保管したデータには思いを延々と綴るものや、批判するものもある。2014年12月には27本の記事がアップされ、そのほとんどがVさんへの恋愛感情を明らかにするものである。
★本当 人生で…ここまで引っ張っちゃうのって生まれて初めて (^^; 出会えて本当に良かった。(2014年12月11日)
★目が覚めて一番はじめに○さんを思い出した。2年も会ってないのに本当にあたしはあたまがおかしいね(^^;(^^; (2014年12月13日)
★いまだって…○ちゃん(なれなれしい f(^^)) のこと思ってるもん。きっと みんなも 可愛いと思ったはずなんだ (^^) だって本当に可愛いもん。いや かわいいって言うよりセクシーかな (^^) なんだろう あの女子力は!(同日別記事)
これが2年以上続いて平然としていられたら、それは驚嘆すべき”鈍感力”であろう。以下、Vさんの独白である。
■「30分でいいから会ってください」
彼女がボランティアを離れてから一度だけ、2013年1月に仙台で食事をしました。その時は彼女自身が私生活で大変だったという事情があり、私自身の警戒心が多少なりとも緩んでいた時期でした。それがあったせいか、その後、「スタッフ3名で飲むので来ませんか?」という誘いがありました。こちらが油断するとすぐに距離を詰めてくると感じた私は即座に断り、その後、家に来ませんかと言われて明確に断ったことは前回お話しした通りです。
ボランティアを解散した2013年8月以降もメールで会いたいという誘いは定期的にありましたが、全て無視しました。しかし、「30分でいいですから会ってください」など、日が経つに連れて執着心が強くなってくるのを感じました。
私を悩ませたのはメールだけでなく彼女のブログです。彼女のブログには私のことが書かれていました。私を見たという書き込みもありました。周囲の状況からして、まさにそれは私だったのですが、それを見てからは、いつも監視されているような気持ちになりました。
それでも2013年頃は、内容もまだ大人しいものでした。しかし、2014年にアメーバブログに移ってからは開き直ったように、一気に表現が直截的なものになりました。
同性の相手から連日、求愛のような内容を書かれて平然としていられる神経を、私は持ち合わせていません。ノイローゼに近いような状態になり、彼女の顔を思い出して吐いてしまったこともありました。
■「見なければいい」との声に「見ないと危ない」
友人からは「ブログを見なければいい、変な人は放っておけばいい」とも言われました。しかし、(今度、家に行ってみよう)と接触を試みるなど見過ごせない行為を宣言するかもしれない、あるいは身に覚えのない誹謗中傷をするかもしれないと思うと、見ないわけにはいきません。
また、彼女はブログに自身の予定を正確に書いていたので、偶然出会うことを避けるためにも情報を得る必要がありました。知らずに顔を合わせてしまった場合「私がここにいることを知って会いに来てくれた」と間違ったメッセージとして伝わり、さらにアプローチが激しくなる可能性を危惧しました。
実際、彼女のブログをそれほどマメにチェックしていなかった時期、私が乗るバスに彼女が乗り込んできたことがありました。私の2つ前の座席に座り、イヤホンで音楽を聞き、ずっと外を見ていたので、私は窓に顔が映らないように帽子を深く被り直し携帯電話を見る振りをしました。動悸が高鳴るのが自分でも分かりました。本気で窓から逃げようと出口を探しました。
パニックに近い状態で友人にメールすると、友人は彼女のブログを見て「○○駅に行くみたいだよ、気を付けて!とにかくバレないように頑張れ!」と返信してくれました。その通りに彼女は降車したので、今後出歩く際は必ずブログをチェックしようと思った次第です。
それでも、彼女とはたまたま一度だけ街中で出会(でくわ)しています。2014年5月、信号待ちをしていたら背後から「Vさん」と声をかけられたのです。ギョッとしましたが、一時期とはいえボランティアを手伝ってくれた人ですから、何か言おうとは思ったのですが「こんにち…」と最後の(は)を言う前に青信号に変わったので逃げるように自転車をこぎました。
その日、おそるおそる彼女のブログを見たら「運命的なものを感じる。私はたまたまこの道を選んだ、私たちは出会った」などと書いてありました。
(挨拶もほどほどに逃げるように行ってしまった失礼な女)と書かれているのなら、まだ分かります。第三者が見れば、私の行為は失礼なものに映ったでしょう。しかし、それを咎めることなく会えたことを喜ぶ。(何でもいいから私と会いたいんだな)、(どこまで私に執着しているのだろう)と考えると、背筋が寒くなる思いでした。
■衝撃のブログ「一回だけでいい 抱きたかった」
街中で会ってからは、それまで以上に会うことが怖くなりました。外出時は大きなツバの帽子に、マスクをつけて完全に顔が分からないようにして出かけるようにしていました。周囲の人には「どうしたの?」「そんなに花粉症が悪いの?」みたいに聞かれました。多分、私も相当、変に思われていたのでしょう。
そして2014年12月20日。ブログを見て、強い衝撃を受けました。そこにはこう書かれていました。
タイトル:枕にちゅー
ぐっすり寝た。お布団でもぞもぞ。
いちばんに◯(※Vさんのイニシャル)さん思い出した。隣に居ればいいのにと思った。
寝てたらきっと ずっと見つめてしまう。触りたいと思いつつ怒られるから 触れずにいるはず f(^^;
いやそれか我慢できず ちゅーしてしまい抱きたいと言ってしまうかな。
…
触れたかったな。満足してもらえるかわからないけど
一回だけでいい抱きたかった。
あたし ただのへんたい
ほんとうは えろえろなのです f(^^;
おとコはきらいだけど。
「抱きたかった」という文字を目にした時、あまりの生々しさに、吐きそうになりました。2年前のお風呂の件も思い出しました。本当に一緒にならなくて良かったと。嫌です、そんな目で見られると思ったら、絶対に。
(結局、性欲だったんだ、あの人は自分の欲望を私に押し付けてきただけなんだ)、そう思いました。こんな目で私を見ていた人と1年近く同じ時間を過ごし、信念をもって臨んだボランティア活動を利用されたような怒りも湧いてきました。裏切られたような気持ちはありましたし、もちろん気持ち悪いです。
その後、彼女のSNSでの書き込みには「私はバリタチ」とカミングアウトする言葉や、「ノンケ(同性愛に興味がない人)に3年恋した」と私を対象にしたと思われる言葉もありました。そして、彼女が他の女性と肉体関係を持ったのでしょう、「女の身体に貪りついた」という言葉を見た時には目を覆いたくなりました。舌なめずりして迫ってくる彼女に体を貪られている自分の姿を想像すると、耐えられない恐怖です。
■私は甘かった 26か月正体を見破れず
お風呂には気をつけようと言われたのが2012年10月、そして彼女の正体に気づいたのが2014年12月。26か月、気付かなかったのかと言われると、本当に自分の甘さを思います。
26か月、何を思っていたのかといえば「彼女はレズビアンだろうな」というのは感じていましたが、私の身の回りにレズビアンがいないことから、そんなハードなものではないだろうという認識でいました。
たとえば、一緒にベッドに横になってテレビを見て、キスぐらいはするが、そこまで。すごく仲のいい女友達、肉体ではなく精神的なつながりが中心という程度のイメージを持っていましたが、彼女の欲望はそんな甘いものではなかったのです。彼女の12月20日のブログを見て、ようやくそれに気がつきました。
私は甘かった。その一言です。ただし、私はLGBTを否定しているわけではありません。むしろ理解はある方だと思っています。その点は次回、お話したいと思います。
(次回最終回)