24年後もサバイバー 中島瑞果(8)謎めく発言
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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日本版サバイバー(TBS系)に出場した中島(現姓・丸山)瑞果氏は、いよいよ優勝に手の届くところまでやってきた。キープレーヤーらが追放され、優勝を狙うメンバー間でギリギリの戦いが繰り広げられた。その際に各メンバーが発した言葉には、それぞれの内心の葛藤がにじみ出ているかのようである。
◾️女性3人対男性1人の構図
残り6人となった時点で、小野郷司氏(当時32歳=会社経営)というカリスマ性のある強力なゲームメーカーが追放されたことの影響は小さくなかった。中島氏は言う。
「エリちゃん(蓑島恵利氏)が望むような穏やかな、自然を愛でるような空気、生活に変わりました。今後はみんな、追放を恐れて隙を見せずに行動する必要もありませんでしたし、『もう、誰が勝ってもいいかな』という感じの緩い空気が流れていました。」(以下、断りがない限り、コメントは中島氏)
もっとも、負の影響を受けたメンバーもいた。特に顕著だったのが黒岩敦夫氏(当時56歳=元漁師)である。黒岩氏は他の4人と決定的に対立し、小野氏追放の次の審議会で4票を投じられて追放された。その事情は次回第9回で触れるとして、残るは4人となった。
★中島瑞果(当時30歳=珈琲豆専門店店員・累積票0)
★蓑島恵利(当時28歳=ダイビングインストラクター・累積票0)
★松尾純子(当時36歳=レストランプロデューサー・累積票4)
★吉野大輔(当時30歳=元僧侶・累積票8)
吉野氏は中島氏と強い敵対的関係にあり、松尾氏とも敵対的な関係にあった。蓑島氏とは良くはないが、悪い関係でもなかったようである。そして女性3人は良好な関係を保っていた。そのため、女性のうち誰かが追放免除ゲームに勝てば、問題なく吉野氏に3票が投じられる状況であった。
ところがこの回の追放免除ゲームは、海上に設置されたステージ上で綱引きを行う「水上綱引き」という、腕力のある男性に有利な競技で、順当に吉野氏が追放免除の証しを手にする。中島氏は「その時は『ゲームの内容を性差の面からも考えてほしい』と、スタッフサイドに不信感を抱きました。誰を残したいのかバレバレじゃないですか」と振り返る。
もっともその結果として、3人の女性が、常に追放候補の吉野氏を追い出すというありきたりな展開が避けられ、仲のいい3人が切り付け合うという見ている者が胸が痛くなるような流れとなった。その分、番組としては盛り上がりを見せることとなった。
◾️3人が残した謎の言葉
吉野氏を追放できなくなった段階で3人の女性は、自分以外の2人の女性のどちらかに追放のための票を投じる必要が出た。この時点で吉野氏が最も追放したいと考えていたのは中島氏である。小野氏追放の後、吉野氏は番組内で面と向かって「勝者像ということから、全くかけ離れている」と言い放っている。
中島氏は「よっしーは、やっと私に言いたかったことが言えたのでしょう。コバンザメ、金魚のふんなど。言われたことのない言葉のオンパレードでしたね」と、放送された場面以外でも、その発言はバーバル・アビューズと言っていいレベルであったとする。
この状況の中、中島氏と松尾氏はファイナルに残った時に強敵となる蓑島氏をターゲットに据える。一方、蓑島氏は、次の審議会で松尾氏に投票することを本人に伝えた。その理由を「中島さんの方が生活に対しても自分で色々楽しみを見つけたり、ゲームに対するやる気もやっぱり楽しく、でも頑張ってやろうってのがすごい伝わってきていたので。そういう姿勢で臨む人の方が私の理想とするサバイバー像には近いのかなと」と説明している。
この段階での各自の予定される投票行動は以下。
中島⇨蓑島
松尾⇨蓑島
蓑島⇨松尾
吉野⇨不明(希望は中島追放)
吉野氏の態度次第で追放者が決定する状況となったが、本人が最も追放したい中島氏に1票を投じたら、蓑島氏が追放になる。蓑島氏に入れても同様。逆に松尾氏に1票を投じれば、蓑島氏と松尾氏が2票ずつで並ぶ。つまり、この段階で吉野氏は中島氏を追放したくてもできない状況に陥ってしまい、それでも感情に任せて「中島」と投票用紙に書けば、最も残したい蓑島氏を追放する結果になってしまうのである。
結果的に吉野氏が選んだのは松尾氏で、投票数が同数のため累積票の勝負となり、0票の蓑島氏に対して松尾氏は累積4票のため追放が決定する。
そして、4人が身を切られるような思いで投票したであろう審議会で、各自が謎めいた言葉を残した。
吉野氏:この名前を書きたくなかったです。でも、より強い、より尊敬する人を残すための確実な一手はこれしかないんです。(投票時)
蓑島氏:私にとってサバイバーはゲームとして割り切ることはできませんでした。(投票時)
松尾氏:今、追放されて本当に良かったと思っています。1位になっていたら悔いが残っています。(追放決定後)
この謎めいた言葉を読み解いていくと、この追放審議会における各自の考え方が明らかになってくる。
◾️蓑島氏の割り切れない思い
最もわかりやすいのが、吉野氏である。「この名前(松尾氏)を書きたくなかったです。でも、より強い、より尊敬する人(蓑島氏)を残すための確実な一手はこれしかないんです。」と言っている。これは「中島」と書き、中島氏を追放したいが、蓑島氏を残すためには、書きたくないが「松尾」と名前を書くしかない、と言っているのである。
一方、蓑島氏が、サバイバーをゲームと割り切れなかったと言って松尾氏に投票したことは、裏返せば「ゲームと割り切れば中島氏に投票する」に他ならない。仮に「中島」と書けば、吉野氏が中島氏を追放したいと考えているのは明らかなため、確実に中島氏に2票。松尾氏が勝ち馬に乗ってくれば3票に増える。
もし、中島・松尾連合が蓑島氏に票を揃えても、2対2の同数で累積票もゼロ同士のため、最後は何らかのゲームで決着をつけることになる。いずれにせよ、自身が生き残る可能性は50%はある。
ところが、松尾氏に投じたらどうなるか。中島・松尾連合の2票が自身に投じられ、吉野氏が追放したいと考える中島氏に投じれば、蓑島氏は「即死」である。優勝を考える、ゲームに勝つことを考えるのであれば、吉野氏が「松尾」と書いてくれるのを期待するしかない。ところが、吉野氏は小野氏の名前を3回連続で書いているように、最も追放したいと考えている人の名前を書く傾向があり、とてもではないが、そのような危ない橋は渡れない。これが蓑島氏の言う「ゲーム」と「割り切り」の関係であろう。では、なぜ割り切れなかったのか。
中島氏は「私たちはいつも貝でチョーカーを作ったり、全く柔らかくならない海藻を煮て食べて笑いあったり、新発見に喜んだり、無邪気な無人島ガールズトークをしたり、今思い出しても楽しい話しかしませんでした。まだ一緒に楽しみたいと思ってくれたのかなと思います」と蓑島氏との極めて良好な関係を口にする。そして「エリちゃんは私のことを参加者の中で唯一『みずっち』ではなく『みいちゃん』と呼んでくれていました。帰国してから、エリちゃんが私をある意味評価してくれていたというのを知って、びっくり&超嬉しい!でしたね」と振り返る。
蓑島氏にすれば、こうした特に親しい関係にあった中島氏を、中島氏が嫌っている吉野氏と票を合わせて追放することなどできないと考えたのではないか。吉野氏が「松尾」と書く可能性もないわけではなく、自身が「即死」するかもしれないが、そちらに期待をかけた方がましだ、と考えたのかもしれない。
中島氏にすれば、蓑島氏とはもちろん、松尾氏ともある種、スポーツのライバル関係のようなもので追放を画策したこともあるが良好な関係にある。仲の良い2人のうちどちらかに追放のための1票を投じなければならないのであれば、ゲームと割り切って、より強敵となると思われる方を追放するしかない。中島氏もまた、辛い立場ではあった。
◾️松尾氏が選択しなかった方法
こうして第1回の優勝者になりたいと公言していた松尾氏が追放された。誰よりも優勝への思いが強かったと言っていい同氏が「今、追放されて本当に良かったと思っています。1位になっていたら悔いが残っています」との言葉は最も謎に満ちている。多くの視聴者は戸惑ったに違いない。
この難問は、4人の投票行動を考えればある程度合理的な説明がつく。最終的な投票は松尾氏・蓑島氏ともに2票ずつで、累積票の違いで蓑島氏が生き残った。松尾氏にすれば蓑島氏から「あなたに投票する」と言われた状況でも、かなり高い確率で助かる手はある。
それは中島氏に対して「蓑島氏を落とそう」と呼びかけて投票させ、吉野氏に対しては「中島氏に入れるから」と言って中島氏を落とすことで手を結ぶのである。
中島⇨蓑島
松尾⇨中島
蓑島⇨松尾
吉野⇨中島
吉野氏が中島氏を追放したがっており乗ってくる可能性が高い。そのため二重の同盟を組み、一方を裏切って落とす作戦が可能となる。
中島氏とは「それがゲームだ」と分かり合える関係なのかもしれず、また、自分も中島氏から一度は狙われたのであるから、そうしたことをしても道義的に許されるのかもしれない。しかし、松尾氏はそれを選ばず、吉野氏が中島氏に入れることを期待する作戦に出て、玉砕したのである。
「そんな人を裏切るような真似をして優勝しても、後になって『本当に良かったのか』『讃えられるべき勝者と言えるのか』という悔いが残るに違いない。それをするぐらいなら、正々堂々と勝負を挑んで負けた方がマシだ。」
そんな思いがあったのではないか。真実はわからない。ただ、そのように考えると、一見矛盾している松尾氏の言葉に合理的な説明が可能となる。
◾️松尾氏の散り際
こうした松尾氏の行動は「花は桜木、人は武士」といった風情で、散り際の美学を体現しているかのようである。
松尾氏は言い終わると、中島氏の前まで歩いていき、2人は立ったまま抱き合った。時に対立し、追放しようとしたこともあった2人であるが、最後は涙を流しての抱擁。優勝を目指して倒すべき相手ではあるが、1か月以上、生活を共にした仲間でもある。そうした2人にしか分からない強い結びつきがあったことは容易に想像がつく。松尾氏が一言、二言、言葉をかけると、中島氏も何か答えた。
マイクがうまく拾えなかったやり取りは、「頑張んなよ」「うん、ありがとう」という短いやり取りであったと、中島氏は24年前の会話を明かす。
この4人による追放審議会は屈指のエキサイティングな審議会であり、松尾・中島涙の抱擁は、サバイバー日本版全4シリーズを通じて、最も美しいシーンであると思う。醸成された人間関係の中、優勝を目指して自分なりの美学で戦った結果の残酷な結末が、2人の姿に凝縮されているかのようである。
「今、動画を見ていても奥歯を噛み締めて涙してしまいます。松明を消されるのは、命の象徴が消されることを意味するので、辛かったです。姐やんからすれば、私は妹のような、可愛い子分だったのかもしれません。私も姐やんが大好きでした。姐やんを落とすなら、私がゲームで落としたかったです。さよならも言えないまま、姐やんが消えるのはどうにも辛かったです。」
中島氏はこの時のことが、今でも強烈なイメージとして残っているという。
24年後もサバイバー 中島瑞果(9)へ続く








