同性婚 × は合憲 東京高裁判決に拍手
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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東京高等裁判所(東亜由美裁判長)は28日、同性婚を認めない民法等の規定が違憲として国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、当該規定を合憲と判断した。これまでに同様の訴訟で東京高裁を含む各高裁で5件の違憲判決が出されていたが、ようやく、多くの国民が納得しうる判決が示されたといえる。
◾️24条・14条に反せず
今回の判決全文は入手できていないので報道をベースに判断する。判決要旨を朝日新聞電子版が伝えているため、それを参照とする。特に憲法上の問題を抜き出すと以下である。
・憲法24条1項の合憲性…同性同士の家族に関する法制度が、直ちに憲法24条1項の婚姻と全く同一のものに定まり、国会による制度の選択決定が憲法上許されない、と解する合理的な理由は見当たらない。
・憲法14条1項の合憲性…同性同士の家族に関する法制度は、その性質上、憲法上保障された権利を実現するものではない。国会が立法を怠っているとみたとしても、現時点では、そのことで直ちにその立法不作為が憲法14条1項に違反するとはいえない。
・憲法24条2項の合憲性…民法や戸籍法の規定が、同性同士の家族に関する法制度を含まないものでも、直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量を超えるとはいえない。
(以上、朝日新聞電子版・【判決要旨】同性婚は「憲法上、保障されていない」 東京高裁、2025年11月30日閲覧)
以下、関係条文を確認する。
14条【法の下の平等、貴族の禁止、栄典】
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
24条【家族生活における個人の尊厳と両性の平等】
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
②配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
本件訴訟は他の訴訟とは異なり、幸福追求権(13条)に関する主張はされなかったもようで、同条に関する判断は示されていない。
◾️「両性の合意」「夫婦」の文言の持つ意味
同性婚の問題を考える時に、直接的に婚姻の要件を定めた規定は上記の通り、24条1項であり、その条文は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として…」とある。日本語において「両性」とは異性同士であることは言うまでもない。「①両方の性。雄性と雌性。男性と女性。②二つの異なった性質。」と明記されている。さらに「夫婦」は「①夫と妻。めおと。…②【法】適法の婚姻をした男女の身分。」とある(以上、広辞苑第7版 p3095 新村出編 岩波書店)。
極論すれば、同性婚を認めろという主張は憲法24条1項の両性は同性同士を含む、夫婦は同性同士でも成立すると解釈せよと言っているも同様。これが許されるなら憲法は日本語の解釈を捻じ曲げて、好きなように解釈できてしまう。
過去の5件の判決について、明確に24条1項に反するとしたのは札幌高裁判決のみである。判決文を見ると、「憲法24条1項は、人と人との間の自由な結びつきとしての婚姻をも定める趣旨を含むものであって、異性間の婚姻のみならず、同性間の婚姻についても、異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当である。」としている。ここだけを読むと(そんなこと書いてないだろう?!)と考えるのが通常の思考と思われる。
札幌高裁もさすがにそこは、無理筋と考えたのであろう、同項は同性間の婚姻を許していないという文言上の解釈を認めた上で、そのことにより「個人の尊厳を成す人格が損なわれる事態となってしまっている。」とし、さらに「同性婚を認めた場合の不利益、弊害の発生はうかがえない」とし、世界の趨勢や地方公共団体によるパートナーシップ認定制度では同性婚ができない不利益が解消されていないから、(2項)を含めた24条に違反するという判断を示している。(以上、札幌高裁判決令和6年3月14日から)
これが罷り通るなら、解釈次第で憲法は無効化されてしまう。さすがに他の高裁は24条1項に関しては合憲(福岡・大阪各高裁)、判断せず(東京1次・名古屋各高裁)としている(産経新聞11月29日 1面)。24条1項に関しては、札幌高裁だけが、有体に申せば、”ぶっ飛んだ”解釈をしている。
◾️弁護士は恥を知れ
今回の東京高裁(2次)判決ではその部分では「憲法24条は、伝統的な婚姻形態である両性、すなわち異性間の永続的な精神的、肉体的結合を目的とした人的結合関係を『婚姻』と定めたと解される。…同性同士の家族に関する法制度が、直ちに憲法24条1項の婚姻と全く同一のものに定まり、国会による制度の選択決定が憲法上許されない、と解する合理的な理由は見当たらない。同性同士の結合関係が憲法24条の『婚姻』に含まれるとは解されない。同性の者同士が憲法上『婚姻』の自由を保障されているとはいえない。」としている(前出の朝日新聞電子版から)。
これが普通の解釈であろう。
当該判決を伝える報道で、原告の代理人弁護士は以下のように語っている。「これまでの5つの高裁判決を全く無視した社会的に事実にも反し、論理的にも破綻した極めて不当な判決と言わざるを得ません。」(TBS NEWS DIG・【同性婚認めない規定は「合憲」】東京高裁が判決 他の5高裁では「違憲」も…原告側は上告の方針 「私たちは決してあきらめません」)。
依頼人の利益になるように行動するのが弁護士であるから、そう言っているだけなのかもしれない。もし、本気で思っているなら、今回の東京高裁判決を何度も読み返して自らの主張の非論理性を恥じるべきではないか。
◾️最高裁が統一判断か
婚姻は家族制度の基本であり、家族制度のあり方は国家の根幹に関わる。要は、婚姻に関する規定はどのような社会を構築するかということであり、憲法で明確に定める必要がある。
筆者はやみくもに同性婚に反対するものではない。こうした国家の根幹に関わる事態は憲法で定め、多くの国民が同性婚を認めるべきだと考えるのであれば、憲法を改正すべきと考える。国会の3分の2以上で発議し、国民投票で過半数を得れば24条1項は以下のように変えることができる。
改正24条【家族生活における個人の尊厳と両性の平等】
婚姻は、両当事者の合意のみに基いて成立し、当該当事者が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
憲法は時代の移り変わり、社会や個人の意識の変化によって変えていくのは当然のことである。これは筆者の単純な印象ではあるが、主に9条を念頭に「憲法は不磨の法典、一言一句変えるな」と主張する人が集団的自衛権の行使を「違憲だ」「解釈改憲だ」と騒ぎ出すのに、24条1項については「解釈改憲しろ」と言っているように感じる。
同性婚を望む人は憲法改正を訴えればいい。同性婚が可能になって利益を得るのは専ら性的マイノリティではあると思うが、LGBT理解増進法が成立しているのであるから、国民の多数の支持を得られるかもしれない。なぜ、そう主張しないのか、あるいはそう考える政党がなぜそうしないのかが、わからない。
この後、違憲とした5つの判決とともに、最高裁が統一判断を示す可能性がある。個人的には最高裁は合憲判断を示すと予想する。今回の東京高裁の判決は、最高裁の判断に多少なりとも影響を与えると考えている。
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基本的に同意します。
またぞろ福島瑞穂氏が「判決文は、さまざまな家族や生き方を分断し、差別するものだ」とか言っていますが、裁判所は民法が違憲かどうか判断するのが役目で、余計な政治的判断を入れてはいけません。これが三権分立の立て付けで、批判は的外れです。
「憲法は絶対に変えてはならない」という前提に立つから無茶な解釈変更の主張につながります。世の中が変わったのなら、それに合わせて憲法も変えなければつじつまがあわなくなるのに、左翼の中で憲法原理主義者の発言力が強いのでしょうね。