CLPは詐欺罪か 津田大介氏らが抗議した理由

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 ジャーナリストの津田大介氏ら5名が5日、ネットメディアのCLP(Choose Life Project)に対する抗議文を公開した。同プロジェクトが公共メディアを標榜しながら、立憲民主党から資金提供を受けていたことを秘匿していたことに抗議するもので、5人は出演者としてプロジェクトに協力していた。CLPの集金法は詐欺の疑いがあり、津田氏らが抗議を行ったことの理由を推測してみる。

■公共のメディアを目指す

写真はイメージ

 CLP(共同代表:佐治洋・工藤剛史)はそのホームページによると、テレビの報道番組等を制作する有志で始めたプロジェクトで、ページトップには「自由で公正な社会のためにー公共のメディアを目指す」という理念のようなものが掲げられている。

 その上で「About」にはその考えが掲載され、今の時代に問われているのは「“自分さえ良ければ良い”という考えではない、『公共』の概念」とし、その上で、「自由で公正な社会のために。『私たちのメディア』を一緒に作っていけたら嬉しいです。」と唱えている(「私たちのメディア」を目指します ほか)。

 媒体はYouTubeを用いていたようで、確認できるところ、2016年7月4日に最初の動画(「7.10参院選」vol.1 是枝裕和監督)がアップされている。

 資金については「広告に依らない、市民スポンサー型のメディアを目指します。皆さんのご寄付が、自由で公正な社会を共に作っていくための発信を、一つでも多く、一日でも長く、できることにつながります。」という呼びかけを行なった(「Choose Life Project」のサポーターになりませんか?)。

 その上で2020年7月11日から9月10日までクラウドファンディングのcamp-fireで目標額3000万円のプロジェクトを実施し、一般の人から3147万8500円の支援を集めている(camp-fire・自由で公正な社会のために新しいメディアを作りたい)。

■クラウドファンディングにサポーター制度

津田氏の抗議文(同氏のブログから)

 こうした幅広い人々、市民から支えられて誕生したメディアであったが、津田氏は自らのブログで「Choose Life Projectのあり方に対する抗議」という文章を掲げ、エッセイストの小島慶子氏、前新聞労連委員長の南彰氏、東京新聞の望月衣塑子氏、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏の4人と連名で抗議文を公開したのである。

 それによると、CLPにはマンスリーサポーターから毎月数百万円が入り、さらに「この度私たちの調査により、2020年春から約半年間にわたり大手広告会社や制作会社をはさむ形でCLPに立憲民主党から「番組制作費」として1000万円以上の資金提供があったことが確認されました。」とのこと。

 公共メディアを標榜しつつ、実際は公党からの資金で番組制作を行なっていた期間があったこと、その関係を秘匿し、一般視聴者から資金を募ったことが問題であるとし、「その事実を出演者及びクラウドファンディングの協力者、マンスリーサポーターなどに一切知らせていなかったことは、重大な背信行為」として抗議をした(以上、Choose Life Projectのあり方に対する抗議)。

 この点についてCLPはツイッターで今日6日にも経緯を説明できるように整理しているという趣旨の投稿を行なった。

■協力者を欺く行為

CLPの番組出演時の津田大介氏(左上、同番組画面から)

 CLPの行為は津田氏が指摘するように協力者に対する背信行為、もっと言えば欺く行為である。

 市民によるメディアを目指す、公共メディアを目指すとしながら、特定の政党から資金援助を受けて動画制作をしていたのであるから、編集方針が政党の意向をダイレクトに反映するものになっているのではという疑念は浮かぶ。

 こうしたCLPの一連の集金法は、詐欺罪(刑法246条1項)の疑いがある。いわゆる1項詐欺の構成要件は以下の通り。

(1)人を欺いて(欺罔)

(2)財物を交付させたこと

 これを細かく説明すると、欺罔行為によって錯誤に陥り、交付行為があり財物が移転。財産上の損害が相当因果関係の関係にあり、故意により包摂されていることとされる。

 クラウドファンディングの支援者やマンスリー・サポーターは、「市民スポンサー型メディア」(クラウドファンディング内)、「広告に依らない、市民スポンサー型のメディアを目指します。」(マンスリー・サポーター内)の文言に惹かれ、趣旨に賛同し資金を提供したはず。

 ところが実際は立憲民主党から1000万円の資金提供を受けており、その事実を知っていれば資金提供しなかったと思われる。つまり、CLPの説明(政党から支援を受けていることを伝えないという不作為)によって「政党から資金提供を受けていない」「市民がスポンサー」という錯誤に陥り、資金を供与したことになる。

 立憲民主党からの資金提供を明らかにしないという不作為が欺罔行為となるかは微妙であるが、一般に不作為による欺罔行為は成立するとされている。「事実を告知しないことにより、相手方が既に錯誤に陥っている状態を継続させ利用する場合も、詐欺罪は成立し得る。」とされ、不作為が欺罔行為となるためには「不作為犯が成立するための法的な告知義務が行為者に認められる場合であることを要する(大判昭和8・5・4集12-538)。法定な告知義務が認められる場合としては、法令に規定されている場合…のほか、契約上、慣習上、条理上認められる場合であることもあり得る…」(条解刑法 第2版 p719 編集代表 前田雅英 弘文堂)とされている。

 実際に立件されるかどうかは別として、講学上、1項詐欺の成立の可能性はある。

■なぜ津田大介氏は抗議したのか

 仮に詐欺罪が成立するとすれば、立憲民主党との”共犯”と言っていいかもしれない。昨年末、いわゆるDappi問題で自民党とDappiの関係が問題視されたが、Dappiはツイッターの1つのアカウントに過ぎない。一方、CLPは公共のメディアを標榜し、事情を知らない人々から資金を集めていた、立憲民主党はそれを知りながら資金提供の事実を明かさなかったのであるから、かなり悪質である。

 こうした事情を考えると、津田大介氏らが抗議した理由が見えてくる。つまり、CLPが詐欺的な手法で市民から資金を集めており、それに出演していたのであるから、もし、事情を知っての出演であれば詐欺罪の共犯として刑事責任を問われる可能性があるからと考えたものと思われる。

 (我々は全く知らなかった、CLPに利用された)という立場を明らかにして、刑事責任を免れる意図があるように思える。実際に抗議文では、立憲民主党からの資金提供について「この度私たちの調査により、…資金提供があったことが確認されました。」という事情を明示している。

 津田氏らが実際に資金面での事情を知らなかったかどうかは今後の調査等によるが、CLP問題はDappi問題とは次元が違うレベルの深刻な問題であることは間違いない。

"CLPは詐欺罪か 津田大介氏らが抗議した理由"に3件のコメントがあります

  1. 通りすがり より:

    津田以下
    >エッセイストの小島慶子氏、前新聞労連委員長の南彰氏、東京新聞の望月衣塑子氏、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏の4人と連名

    何ですかね?この怪しいニオイしかしない連中。
    後で知った風を仄めかしてますが、大方最初から知っての上で加担し、それが何某かのリークによって明らかにされる前に沈む船から逃げ出す鼠のような状態ではないかと思いますけどね。
    CLPが何らかの釈明を今日行うという事ですが、真相に迫れる内容ではないでしょうね。
    立憲共産党には当然説明責任がありますし、事と次第によってはDappiゲートどころの騒ぎでは済まない案件です。

  2. 海軍大将 より:

    立憲民主党はChooseLifeProjectにこっそり1000万渡して、自民党のDappi疑惑を叩く番組を作らせてたと判明しています。(それも出ているのは小西と杉尾)
    Dappi疑惑は、Dappiの回線契約会社が自民党に別のサービスを納入していただけで、Dappiアカウントと自民党は無関係(Dappiは二階と茂木を叩きまくっている)なのでどう考えても自民党は冤罪被害者です。
    それに対して、立憲民主党は番組制作費名目で金を出していたのだから明らかにクロしています。その上、ChooseLifeProjectが立憲から裏金貰いながら。「市民スポンサー型メディア」「広告に依らない、市民スポンサー型のメディアを目指します。」を謳ってクラファンもやっていたのを、見ぬふりをしていた立民は完全にクロですね。
    もはやブーメランを飛び越して、「落書きやめろ」という落書き、「誹謗中傷やめろ」という誹謗中傷のレベルです。
    このCLP、どうせチャンネル登録者6万台(参考 Dappiは現在17.9万)でパヨが内輪で日本叩きして溜飲を下げてるだけだろと思っていましたが、テレビの報道番組やドキュメンタリーの製作者が有志で作った組織だそうです。
    つまり、立憲民主党の金が、CLPを通じてテレビの報道番組やドキュメンタリー制作者にこっそり流れていたということです。この問題の重要性を認識すべきです。
    因みに福山哲郎は、「番組内容などについて関与したものでない」と言っています。確かに資金支援期間は終わっていたとはいえ、資金提供したあとに立憲の代表候補4人出演させて好きなだけ喋らせておいて「内容に一切関与してません」は余りにしらじらしい嘘ですね。
    最後に蛇足ですが、アメリカだと中絶反対派をPro-life、中絶賛成派をPro-choiceと言います。最初にChooseLifeProjectって聞いた時、何か中絶絡みの宗教系団体だと思いました。Chooseとlifeを組み合わせたら、それが中絶の縁語だとは思いつかない程度の知識の連中が、国際社会を語っているんだから失笑しかできませんね。
    立憲民主党が金出しているChooseLifeProjectってどんな番組作っているのかなと思ったら、「さよなら資本主義 」なんてもの作ってました。
    結局立憲民主党の目標は、共産主義社会を作ることだとよく分かります。

  3. HIROMARO より:

    単純にパヨクの仲間割れにしか映りません
    津田氏らは自分達の保身の為に抗議文を出した
    しかしそれが事実に基づくかどうかは第三者機関が調査するべきと
    考えます

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