メルケルを絶賛、安倍こき下ろし教授の信頼度
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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ドイツのアンゲラ・メルケル首相が10月28日、新型コロナウイルスの感染症対策で11月2日から緊急で部分的なロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表した。既に死者数は1万人を超えるドイツだが、実は半年前に各国指導者のコロナ対策でメルケル首相を断然の1位とランキングした大学教授がいたのである。
■ドイツは危機的状況 再度の都市封鎖へ
ドイツは危機的と呼んでいい状況に陥っている。秋に入って第二波に襲われ、「感染者数は過去24時間に約1万5000人増加し、累計46万4000人に達した。死者も累計1万人を超え、医療機関の逼迫が懸念されている。」(Newsweek電子版 10月29日公開:ドイツ、11月2日から1カ月の緊急ロックダウンへ 飲食店閉鎖・旅行自粛も要請)とされている。
メルケル首相は「現在の感染ペースが続けば、対応能力は数週間以内に限界に達するだろう」(同)と、2度目のロックダウンの理由を語った。ウイルスの封じ込めに失敗し、このままでは医療崩壊という最悪の事態も迎えかねない状況をつくった行政の責任は重大と言わざるを得ないが、このメルケル首相のコロナ対策を絶賛していた大学教授がいる。上智大学国際教養学部の中野晃一教授である。
中野教授は「AERA dot.」で4月22日公開の「コロナ禍と戦う世界のリーダーの「通信簿」発表 5点満点を叩き出した首相は…」という記事で、主要6か国の指導者の決断力、実行力、情報発信力、責任感、市民の支持の5項目を各項目5点満点で採点。メルケル首相を5項目全てで最高の5点で1位とし、最低の6位には総合1.4点の安倍晋三首相(当時)とした。
■コロナ対策の成否は死者数ではないのか
この時にも当サイトでは記事の疑問点を指摘している(参照:コロナ対策で日本を最低評価の教授 正気か?)。評価項目である責任感や情報発信力など、どのように数値化したのかが全く分からず、また、どんなに感染者数、死者数が増えても、「市民の支持」「責任感」などは高い評価をし得るという点でおよそ非科学的な内容となっているのだから、それは当然であろう。
コロナ対策の成否の鍵は感染者数、さらに言えば死者数の多寡であるはず。感染しても快癒する可能性はあるが、死んだ人間は元には戻らない。死者数を減らすためには感染者数を減らさなければならず、コロナ対策を評価するのであれば、それが最大のポイントになるのは間違いない。
そのような目で、あらためて表を見ていただきたい。死者数が最も少なく、200日以上国内感染者がゼロの台湾の蔡英文総統がコロナ対策に最も成功した指導者であるのは疑いがない。それが封じ込めに失敗して都市再封鎖に追い込まれたメルケル首相が全項目5点満点である。
記事内で中野教授はメルケル首相に対して「極端にドイツだけを守るのではなく、EU全体の国にも目配りしながら、非常に冷静な対応に終始。久しぶりにドイツの底力を見た思いがしました。」と絶賛しているが、その対策の半年後に都市再封鎖を決定しているのだから、この教授の眉毛の下についている黒いものは何なのだろうという話ではないか。
■1位ドイツ、最下位日本の位置付けに不自然さ
死者数に注目していただきたいのだが、2位から5位までは死者数が少ない順に並んでいる。あれこれ理由をつけているが、このあたりは死者数の多寡で順位を決めているように見える。
ところが1位ドイツと6位日本だけがその枠にはまっておらず、その点が中野教授の政治的思惑と感じる人は少なくないだろう。
ドイツが都市封鎖を発表した時点で、何らかの釈明があってよさそうなものだが、中野教授のツイッターを見ると、日本学術会議の話に夢中のようである。
上智大学教授職は、何とも気楽なご商売であると思う。