専修学校から大学編入する難しさ
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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専門学校や短大の卒業(見込み)資格で受験する大学編入試験がハイシーズンを終えた。この大学編入試験という制度、通常の大学入試とは違う難しさがある。実際に学生とともに合格を目指した立場から見た難しさをお伝えする。
■学校教育法123条 専門学校からの進学は年1300人程度
専修学校(いわゆる専門学校)の卒業(見込み)資格で大学に編入する制度は、学校教育法132条に基づく制度である。
【学校教育法】
第132条 専修学校の専門課程(修業年限が2年以上であることその他の文部科学大臣の定める基準を満たすものに限る。)を修了した者(第90条第1項に規定する者に限る。)は、文部科学大臣の定めるところにより、大学に編入学することができる。
改正学校教育法が1999年4月に施行されたことによって、専門学校生に各大学への門戸が開かれた。それまで大学編入(主に3年次から)は短大からや学士入学があったが、そこに専門学校が加わったわけで、専門的な技術を身につけようと思ったり、大学受験で志望する大学に合格できなかったりという理由で専門学校に入学した学生にも大学進学が具体的な目標として定められたのである。
とはいえ、専門学校経由で大学に入学するルートはメインの高校卒業からのルートに比べ、いかにも迂遠。実際に進学した学生の数は、2019年度で1383人に過ぎない。短大(3621人)、高等専門学校(いわゆる高専、2313人)からのルートも年間の大学進学者数およそ60万人から比べれば微々たるものであり、専門学校に至ってはその短大・高専に比べても、数はかなり少ない(データは文部科学省「学校基本調査」から)。
■小さいマーケットが編入試験を難しくする
専門学校からの大学編入試験の難しさは、この市場規模に起因する。編入学が可能になってから20年ほどしか経っておらず、しかも1年で1000人を超える程度の進学者しかいない上に、2年編入と3年編入があり、各学部で専門的な知識を問う問題を出題する。1300人程度の市場で、これだけ条件を細分化されたら、体系的に試験対策を行うシステムに学生を乗せる体制を築くのは困難。結局、学生一人一人の事情・希望を聴いた上で個別に対応していく以外に方法は考えられない。
そのような状況で筆者は勤務する語学系の専門学校で受験科目として重要な小論文を担当させていただき、進路担当として学生とともに合格を目指す仕事をさせていただく幸運に恵まれた。
3年編入を目指す場合、多くの大学は専門分野(経済学部なら経済学など)の試験があるため、語学系の学校なら進む学校は限られてしまい、外国語学部や文学部の語学系を狙うのが定石。しかし、語学系とはいえ、国際関連、法学・経済関連への進学を希望する者が少なくない。そこで狙い目となるのが2年編入である。この場合、専門的な知識を問われることが少なく、時事問題を中心とした小論文と英語、面接が受験科目になることが多い。
英語は専門的に学んでいる学生ばかりなので他の学校の生徒に比べ、基本的にアドバンテージはある。また、小論文は1年時から担当させていただき、毎週、起案することで2年がかりで力を付けてもらった。面接では志望動機、入学後の学修計画、将来の希望をしっかりと語れるように学生と直に話をして、学ぶことのモチベーションの高さをアピールできるように心がけた。
前述のようにマーケットが小さいだけに、学生ひとりひとりの進路希望に合った対策を取るしかなく、手間はかかるが、地道に続けることで宇都宮大学、神奈川大学、日本大学などに合格者を出すことができたのである。もちろん、2年編入だけでなく3年編入も含まれている。
大学が2年編入をするのは、大学受験では受験準備が間に合わずに不合格となったものの、その後、専門学校などで学業を重ね、基礎学力をアップした学生を「敗者復活戦」的に取りたいという希望があるように思う。そのような大学の需要にうまく合ったという側面もあるのかもしれない。
小規模市場の受験だけに、現段階でどこもこれといった決定的なノウハウを有していない状況と思われ、それゆえ早めにノウハウを持った学校が他を圧倒することも可能であろう。さまざまな意味で可能性を秘めたマーケットであるというのが、この1年、進学担当として携わっての感想である。
■学生に言いたい 頑張ってくれてありがとう
筆者が送り出した学生が合格したのは、何より学生が頑張ってくれたからである。「絶対に合格する」という強い思いを持つ生徒ばかりだったから、合格はある意味、当然だったと言えるかもしれない。学生には「よくぞ頑張ってくれた」「よくぞ合格してくれた」と感謝の言葉をかけたい。
いずれにせよ、この専門学校からの大学編入ルートは、もっともっと注目されていいルートであると思う。大学も多様な学生を取るという点では多く採用してほしいと思う。