中国人の謎の言葉「自本」に日本人納得・中国人苦笑・その他外国人は”ポカーン”

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 週に何度か講師として日本人と外国人に小論文を教えている。多い時で週に100通以上の答案を添削しているが、日本語ではない不思議な言葉「自本」を使う中国人が多い。添削するたびに(何だ、これ?)(あ、まただ)と思っていたのだが、その謎が今日10月30日、ようやく解けた。

■小論文を添削していると頻繁に出てくる「自本」

中国語で「自分」は「自己」などを使うようである

 今日、外国人の学生にホワイトボードで文章を書かせて、クラスで添削をしたのだが、その時にある中国人が「自本」という単語を使っていた。この「自本」という単語、小論文を添削していると、非常に多くの中国人学生が使用する。そして、中国人以外は使うことがない。

 最初に見た時は「何だこれ?」という感じで、前後の文脈から「『自分』ということ?」と赤ペンで修正していたが、これが打ち合わせでもしたかのように何人も「自本」と書いてくる。どうやら彼らは「自分」という単語を「自本」と表記しているようである。

 どうにも気になったので調べてみたが、日本語の「自分」は中国語では「我」「自己」「本人」などを使うらしい。中国語の辞書で「自本」は発見できなかった。「何で自本?」と謎だったのだが、特に聞くまでもなく赤ペンで「自分」と直して答案を返していた。

■音から入ると「Zi-běn(自本)」

 今日の授業で「自本」と書いた学生に「これ『自分』だろ?」と言うと「そうです、そうです。間違えました、すみません」と笑っていた。そこで「中国の学生さんは、よく『自分』のことを『自本』と書くけど、何で?」と聞くと、彼女は笑いながら説明してくれた。

 日本語の「自分」は、ローマ字表記すると「Ji-bun」である。そこで中国人は音をそのまま頭の中で変換するらしく「自」は「 Zi」であるから日本語と大差なく、すぐに「自」の文字が出てくる。「Zi-bun」と言いながら書くと、「bun」は「běn」に発音が近く、ついつい「本」と書いてしまうそうである。

 つまり「Ji-bun」を「Zi-běn」と頭の中で変換して「自本」と書いてしまうというのが真相らしい。

■日本人納得、中国人苦笑、他の国の学生は”何のこっちゃ?”

 辞書で調べると「分」は「fèn」という発音のようである。中国人学生が「Ji-bun」と言いながら書くと「自分(Zi-fèn)」は音からは絶対に出てこない。音から出てくるのは「Zi-běn(自本)」の方である。

 なるほど、そういう理由で中国人の小論文には「自本」が頻出していたのかと長年の謎が解けて嬉しくなった。授業中に中国人学生とそうした会話をしていると、中国人学生は一様に苦笑し、他の国から来た学生は(何の話だ?)みたいな表情をしていた。

 こうして僕自身も日々、勉強させていただいているのはありがたい。貪欲に様々なことを吸収しようと思う。

 もっとも、今回の話は中国語を解する方には、ネタバレしていたかもしれない。そうであれば、退屈な話で失礼しました。

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