何から何まで横山典弘騎手のダービーだった
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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ダノンデサイルが第91代ダービー馬に輝いた。G1東京優駿が26日、東京競馬場で行われ、単勝9番人気の伏兵を操った横山典弘騎手が史上最年長56歳でのダービー優勝を果たした。単勝1番人気に推されたジャスティンミラノは2馬身差の2着と敗れ、3着にはシンエンペラーが入った(JRA・東京優駿全着順)。
◾️2ハロン標識手前の攻防
勝負を分けたのは直線残り400m手前の攻防であった。エコロヴァルツとシュガークンの2頭が並走する直後に内にダノンデサイル、外にジャスティンミラノが並ぶ。ジャスティンミラノは前の2頭の外に進路を取り、ダノンデサイルはエコロヴァルツの内に潜り込んだ。
インを突いた横山典ダノンデサイルが早めに先頭に立ち、外に出したジャスティンミラノとの差を広げ、そのままゴールへ飛び込んだ。残り400m標識で横山典騎手としては、戸崎ジャスティンミラノがシュガークンの外のスペースを進むのは分かるため、シュガークンとエコロヴァルツの間か、エコロヴァルツの内を突く2つの選択肢があった。
パトロールビデオを見ると(どちらに行こうかな)という感じで前を見て、徐ろに内を突いている。サラブレッドはラチを頼りに走りたがるもので、普通は内ラチに寄っていく。実際エコロヴァルツはダノンデサイルが内から迫った時に少し馬体を寄せている。馬も苦しくなり、内ラチに向かおうとしていたのであろうし、交わされてからはラチ沿を走っている。
横山典騎手が迷う時間がもう少し長かったら、内にもたれるエコロヴァルツに進路を塞がれていたと思われる。その場合、いったん立て直してシュガークンの内(エコロヴァルツの外)を進み、結果、ジャスティンミラノが優勝、ダノンデサイル陣営は「あの不利がなければ…」と悔やまれる2着という結果になったのではないか。
単勝9番人気だから一か八かのイン突きが出来たのかもしれないが、そこは馬の反応が良かったので、エコロヴァルツがもたれて来る前にインに入り込める計算があったと思う。
レース後のインタビューでは「(4角まで)とてもいいリズムでこられたので、後は直線、進路さえ見つかればちゃんと伸びてくれると思っていたので」と話している。
そして、もう1つ忘れてはいけないのがエコロヴァルツの外が武豊シュガークンであったこと。シュガークンが内にもたれてきたらエコロヴァルツを押圧することになり、結果、ダノンデサイルが狙う内の進路を消されてしまうが、「武豊なら真っ直ぐ走らせるから大丈夫」という確信が持てる。その通り、武豊騎手はゴールまで定規の上を走るかのように真っ直ぐ進路を取っている。
それらを一瞬で判断し、内を突く時にはおそらく大声で「内、いるよ!」と前の岩田騎手を牽制していると思う。岩田騎手はモタれないように左ステッキを振るっている。もう余力があまりない状況で、大ベテランから声をかけられて内にモタれて進路を塞ぐわけにはいかないから当然と言えば当然。
武豊騎手が真っ直ぐに走るという確信があれば、エコロヴァルツが内にもたれた時にできるスペース(前の2頭の間)を突く考えもできたかもしれないが、そうなると仕掛けはワンテンポ遅れる。最終的にジャスティンミラノとの差は2馬身あったので勝利は収めたかもしれないが、0秒1か0秒2ぐらいはタイミングが遅れて、もっと際どい勝負になっていたであろう。
◾️皐月賞直前での決断
このように2f(400m)標識手前の攻防が明暗を分けたことになるが、ほんの一瞬で最適解を導き出した横山典弘騎手が素晴らしかった、今日はノリちゃんの日だったと言っていい。
思えば前走、皐月賞では馬場入場後に右前肢跛行で競走除外になっている。大一番を前に辞めるのは、山頂直前で登頂を諦めるに等しい行為。そこを馬のキャリア全体を考えて回避した、その判断も素晴らしい。そこで「せっかくここまで来たのだから使いたい」と無理に走っていたら、東京優駿には出走すらできなかったはず。
その点は「皐月賞を跛行で、微妙なところだったんですけど、あの時にレースを辞めさせてもらって、(その後、馬体を)改善して今があるので僕のやってること、調教師さん、厩務員さんの作り方に間違いはなかったので、今日、それが結果となって表れたので、最高のレースでした」と語っている。
競走馬としての長いキャリアを考え競走除外を選び、レースでの一瞬の判断でベストルートを取る、もうこれ以上はないというぐらい56歳の凄さを見せつけるダービーとなった。
◾️悔いなしジャスティンミラノ
ジャスティンミラノは力を出し切れたと思う。外枠から無難に前につけ、4角を回る時は勝ち馬のすぐ横。直線ではサンライズアースが下がったことでシュガークンの外を伸びる理想的な展開で、それでも負けたのは、上述の横山典騎手の鮮やかなイン突きがあったから。2頭の実力差はそれほどないと思われ、人気がなく大胆な競馬ができた方が勝ったという評価でいいのではないか。
逆に全く競馬にならなかったのは2番人気のレガレイラ。内枠でモマれる展開となり、後方からの競馬となった。前半1000m62秒2のスローペースの中、4角13番手ではお手上げ。直線では内から大外に持ち出すロスの大きい競馬となり、メンバー中、上がり3f最速の33秒2を記録しても5着が精一杯であった。
シンエンペラーは4角9番手からよく追い上げて3着。強豪相手に常に上位に入ってきた力は本物であったということであろう。秋が楽しみになった。シュガークン7着も初の一線級相手に力を出し切ってこの着順、現時点ではここが精一杯で、こちらも秋以降の成長が楽しみになった。少なくともこのメンバーで大負けしていないことはポテンシャルの高さを示すものと言えるのではないか。
サンライズアースはスローと見て向正面で仕掛けて17番手から4角2番手にまで押し上げた。池添騎手の好騎乗もあって4着を確保。
コスモキュランダ6着、シックスペンス9着は、ジョッキーのチョイスからして妥当なところと言えるかもしれない(参照・牝馬レガレイラ東京優駿へ視界良好)。ダノンエアズロックはひょっとしたら、と思わせるものがあったが結果は後方のまま14着。こんなものだったのかもしれないし、体調が万全ではなかったのかもしれない。
◾️レガレイラ秋は天皇賞に行きたいね
個人的にはレガレイラを最も高く評価していたものの5着に終わったのは残念と言うしかない。ルメール騎手でもこういうことがあるのか、という思いである。上がり最速の33秒2の結果を見ると(外目の枠だったら…)という思いはあるが、枠も考えての予想だけに言い訳にならない。
秋はどこを使うのか分からないが、どこかでG1を勝ってくれるのではないかと期待している。54kgで出られる秋の天皇賞など面白いと思う。
ちょっとした裏話を。
安田翔伍調教師の父親と言えば、安田隆行元調教師ですが、騎手時代にトウカイテイオーでダービーを制しています。
父は騎手で、息子は調教師と変わった立場でありますが、父子でダービーを制したことになります。
昨日のコメントの続きみたいなものになりますが、トウカイテイオーがダービーを制して以降、栗東所属馬が現在に到るまで優勢となり、美浦所属馬は現在に到るまで辛酸をなめ続けている事になります。
さて、オーナーの野田順弘氏にとって悲願のダービー制覇となりましたが、その表彰式にプロゴルファーの青木功氏も参加をされていたそうです。
その青木氏ですが、ジャスティンミラノのオーナーである三木正浩氏とは対立関係であったそうで、週刊新潮にその事が報じられたことがあります。
「青木功会長が泣き出してしまい…」日本ゴルフツアー機構で“クーデター”が 資産4千億円の大富豪副会長と対立 デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/03011132/?all=1
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/03011132/?all=1&page=2
なお、三木氏は昨年の2月に日本ゴルフツアー機構の副会長を辞任しています。
青木功会長と対立報道の三木正浩副会長は2月末に辞任、ABCマート創設者 日刊スポーツ
https://www.nikkansports.com/sports/golf/news/202303220001095.html
因みに、青木氏の弟子である西川哲氏は、東京ホースレーシング元代表であり、異母兄にあたる西川賢(山田太郎)氏もオーナーブリーダーで、日本馬主協会連合会会長を務めています。
ジャスティンの馬主さんは何かと話題になることが多いようです。
他の方が書いていた生産者とのトラブルについてもそうです。噂によると、そのトラブルの直接の原因になったのが実はダノンであったという人もいるようです。真相は知りませんし、実際にあったことなのかも知りません。全くの噂です。
馬はそんな人間の事情は知らずに懸命に走るわけですが、人間の方でそういった様々な背景に思いを致しながら見るのが競馬の面白さでもあるように思います。
三木正浩氏といえば他にも元日本テレビアナウンサーの上重聡氏のパトロンだったという件がありましたね。
上重氏の所有する車を三木氏が買ってあげたという噂ががありましたし、これを暴露したのが立教大学の同期で、高校時代はライバル同士でもあった多田野数人氏だという噂もありました。
この噂が出た理由は、多田野氏が後輩2人と一緒にゲイビデオに出演していた事、その事を暴露したのが上重氏ではないかという憶測からだとされています。
但し、上重氏と多田野氏は大学卒業後も親交があるそうで、一緒に試合観戦をするなどしていますから、上記の噂は根も葉もない事だと考えてもいいと思います。