文化人放送局が認否保留 著作権侵害訴訟始まる

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 当サイトが著作権を有する画像を無断で使用したインターネット番組の「文化人放送局」(代表・屋代雄三氏ら)に対する損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が19日、東京地方裁判所(澁谷勝海裁判長)で開かれた。被告側が欠席する中、原告の当サイト(主宰・松田隆)は、文化人放送局のここまでの誠意のない態度を指摘、和解ではなく判決を求めた。

◾️「欺く行為」への怒り示す

東京地裁中目黒庁舎(撮影・松田隆)

 東京地裁中目黒庁舎、通称ビジネスコートの民事第29部法廷で行われた第1回口頭弁論は、まず、原告が訴状および訴状補正申立書を陳述し、被告側の陳述擬制がなされた。その上で本件を弁論準備手続に付し、その手続きを受命裁判官が行うこととし、その裁判官を指定した。

 調書には書かれなかったが、裁判長から和解の可能性について打診がなされた。それに対して「判決を求めます。和解は望みません」と明言した。その理由についての問いに対して「文化人放送局は、ここまでのやり取りの中で欺く行為と言っていい言動があり、許し難いと感じます。そのような相手との和解は考えられません。著作権侵害の有無という実体判断を求める訴訟ですから、判決を求めます」と説明した。

 これに対して、澁谷裁判長は弁論準備手続の中で和解の勧試があることを告げた。これは「裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。」という民事訴訟法89条1項に基づくものと考えられる。原告は「その場合は、検討はいたします」と答えるにとどめた。

 なお、被告は請求棄却を求める趣旨の答弁書を口頭弁論の直前に提出したものの、認否については明らかにしなかった。著作権侵害はないという主張なのか、あったとしても損害がないという考えなのか、あるいは全く別の発想なのか、どのような争い方をしてくるかはわからない。そのため、次回の期日より前に認否を明らかにするように裁判所が命じるとした。

 その後、次回の期日を決定し、時間にしておよそ20分で終了した。

◾️請求額は60万円

 当該訴訟は文化人放送局が2025年7月10日に公開した文化人デジタル瓦版(以下、動画①)、同13日のThe Q&A(同、動画②)という2つの番組で、当サイトが著作権を有する画像を無断で使用したことについて、その損害賠償を求める訴えである。

 請求額は60万円で、提訴は9月24日付。少額訴訟(民事訴訟法368条以下)を利用したが、東京簡裁では通常の手続きによる審理及び裁判をする旨が決定され、東京地方裁判所へ移送された。

 無断使用された写真は、昨年7月にトルコに強制送還されたクルド人のユージェル・マヒルジャン氏が実質的に経営する会社の前で立つ写真で、当サイトでの初出は2023年5月22日の記事「川口市在住クルド人に聞く(後編)」である(参照・文化人放送局に著作権侵害の疑い 動画削除申立て)。

 当サイトでは著作権侵害に気付き、YouTubeに削除依頼を提出、問題の2本の動画は削除された。同時に文化人放送局に事情の説明を求めるメールを送付。メールに対して、侵害の事実を認め謝罪をする返信が送られてきた。さらに9月になってから、ある人物を通じて、文化人放送局側に瑕疵があり謝罪したい旨の連絡を受けた。

 このように著作権侵害を認め、謝罪や、謝罪の意向を明らかにしながら、文化人放送局ではYouTubeに対してカウンターノーティフィケーションと呼ばれる異議申し立てを行なっている。これは直訳すると「反論通知」または「異議申立通知」であり、米国著作権法第512条に定められた、「著作権侵害には当たらない」「動画の削除は誤りである」と偽りのないことを宣誓した上で主張する法的手続と考えてよい(参照・コーネル大学法科大学院 :17 U.S. Code § 512 – Limitations on liability relating to material online)。

 カウンターノーティフィケーションが提出された場合、2週間以内に削除された動画が復活するシステムになっている。つまり、文化人放送局は、当サイトに著作権侵害を認め、謝罪をしながらも、YouTubeに対して著作権侵害の動画を復活させようとしていたのである(参照・文化人放送局を提訴 著作権侵害で損害賠償請求)。

◾️文化人放送局「チャンネル閉鎖危機」

 原告として法廷で「ここまでのやり取りの中で『欺く行為』と言っていい言動があり、許し難い」と述べたのはそのような、侵害を認めつつ、YouTubeに対して著作権侵害の動画の復活をするように働きかけていた事実を指している。文化人放送局によるそのような行為によって、当サイトでは著作権侵害の動画の復活を防ぐためにも提訴をせざるを得ない状況となった。

 当サイトにこのような様々な負担を負わせながら、他方でメールで謝罪し、第三者を通じて謝罪の意向を示してきた行為は当サイトを欺く行為であると判断せざるを得ない。そのような相手との和解は難しいことを、この日、法廷で裁判所に伝えた次第である。

無断で使用されたマヒルジャン氏の写真(撮影・松田隆)

 現在、文化人放送局では一部の番組で「依然、チャンネル閉鎖危機が継続中」であるとのアナウンスや、フリップで示すなどしている。

 これは著作権侵害で2週間にわたってライブや新規動画の公開を禁じられながら、番組をサブチャンネルに移行させて処分を免れるという、いわゆるBAN回避と呼ばれる行為を行ったことで、YouTubeから処分を受ける可能性ありと考えているものと思われる(参照・文化人放送局に新たな違反“BAN回避” 今週にも処分か)。

 この裁判がそれにどこまで関係するのか、その点は不明であるが、全くの無関係とも言い難いのも、また確かである。当サイトとしては、著作権侵害が行われたことを裁判所に認定していただき、それによって生じた損害を文化人放送局に支払わせるよう、法廷での争いを続けていく。

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