24年後もサバイバー 中島瑞果(7)味方だけの島
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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2002年放送のサバイバー日本版(TBS系)に出場した中島(現姓・丸山)瑞果氏の連載第7回は、ゲーム終盤を振り返る。2つのチームが合流して10人の「シルス賢者」チームとなり、少数派を1人1人追放していった旧デレブチームだが、残り6人となった段階で中島氏を含む旧チーム内の争いへと移行した。
◾️消えた敵の存在
若松泰恵氏(当時27歳=自営業手伝い)が戦いの場を去り、旧デレブから続く6人だけとなったことで、新たな段階を迎える。これまでは内部で対立があっても、「旧デレブで結束していこう」という合言葉でまとまることができたが、旧ベケウが1人もいなくなったためにそうした「敵の存在によって味方で固まる」ことができなくなったのである。
6人の関係は、放送内容や中島氏の認識をベースにすると、概ね図表に示した通りになる。
中島氏は小野郷司氏(当時32歳=会社経営)と蓑島恵利氏(当時28歳=ダイビングインストラクター)の関係について「2人で話し込むことはあまりなく、たまたま同じクラスになった同級生のような空気感でした。小野っちは、お父ちゃん(黒岩敦夫氏、当時56歳=元漁師)に頼めばエリちゃん(蓑島氏)の票をもらえるという意識でいたと思います」と話している。
さらに自身と黒岩氏との関係については「友好的であったと思います。元気な娘っぽく振る舞い、『こら、中島! バカ者!』『お父ちゃんごめん、テヘヘ』みたいな関係ができていました」と説明する。
また、「そもそも小野っちと姐やん(松尾純子氏、当時36歳=レストランプロデューサー)がお互いを落とそうとしているのは、周囲には『丸見え』の状態でした」と、両者の緊張関係を明らかにしている(参照・24年後もサバイバー 中島瑞果(6)票を戻せ)。
6人から2人を選ぶ組み合わせは15通りあり、それぞれの関係を「友好的」「敵対的」「中立的(どちらでもない)」で色分けすると、6:5:4となる。ここで友好的=+1、敵対的=-1、中立的=0として6人のポイントを計算すると以下のようになる。
★ 中島=+3 黒岩=+2 蓑島=+2 小野=0 松尾=-1 吉野=-4
黒岩氏は小野氏追放後、人が変わったようになり、4人全員を敵に回して”満票”で追放されており、吉野大輔氏(当時30歳=元僧侶)と同レベルのポイントに陥ったと言える。その点を考えると、ポイントの高い中島・蓑島両氏が最終的にそれぞれ3位、1位となっているのは興味深い。サバイバーはいかに敵を作らないかということが、上位進出の条件となるゲームと考えられる。実際、敵対的関係が1つもない蓑島氏が優勝している。
一方で、敵対的関係が多かった吉野氏が2位なのは、終盤、追放免除ゲームを制したことや、旧ベケウのメンバーの追放が優先されたことが原因と考えられる。「いつでも追放できる、反吉野ですぐに仲間が集まる」と追放が先延ばしになるという、ポイントの低さゆえにゲームの死角に入り込むことができた結果、ファイナルまで生き延びたという見方が可能であろう。
◾️松尾純子氏の勝利のダンス
前回の追放審議会では、松尾氏追放プランが実行直前に漏れて白紙に戻された。若松泰恵氏によるリークがなければ、松尾氏が追放されていたのは間違いなく、本人もそれなりに危機感を抱いていたのは想像に難くない。
この時の追放免除ゲーム(片足耐久)では松尾氏が優勝し、初めてその証しを手にした。吉野氏、蓑島氏と3人が残る中、30分近く海上に設けられた足場で片足バランスを取り続け、優勝が決まると足場の上でダンスをするパフォーマンスを披露している。
中島氏はその時のことをよく覚えている。「さあ、ビーチに帰ろうとなった時に姐やんが『もうちょっと喜んでくれないわけ? あたしが勝ったんだよ?』と言ったんです。私からすれば、あまりの喜びように、あからさまにライバルに見せつけているような感じがしていました。でも、そう言われましたから、『おめでとう!』と手を叩きました。すると『えーっ、何かちょっと違うなぁ』と言って、結構な勢いで怒られました。もしかすると、『追放免除を取れなかったら、私に入れようと考えていたんじゃないの』と疑っていたのかもしれません」と振り返る。
この片足耐久で中島氏は早々に脱落し、砂浜に上がって、黒岩氏、小野氏とともにゲームの行方を見ていた。
「3人で(審議会を)どうする? と話していました。姐やんは海上の足場の上で、それに気付いて『あそこに3人一緒にいさせるの嫌だな』という感じで、こちらを見ていました。」
こうして松尾氏が追放免除を獲得したことで、小野氏、黒岩氏、中島氏で吉野氏追放で意見がまとまった。中島氏にすれば、吉野氏追放は本人のためでもあると感じており、本人のための追放という思いがあったという(参照・24年後もサバイバー 中島瑞果(5)君のための追放)。吉野氏はこれまで体調を崩して撮影を止めたり、4人での同盟から離れてチームから孤立したり、かなりストレスが溜まっているように見えたとのことであった。
「その時期になると、精神的に目に見えて危険な状態であるように思えました。生活場所にはナタがあったので、夜中にそれを持って暴れるのではないかと心配になり、撮影スタッフに『よっしーが危なそうだから、夜はそっちで持っていて』とナタを隠していたほどです。それぐらい危険な感じでした。この時の審議会の前にエリちゃんには『よっしー、帰った方がいいね』と話した気がします。」
◾️存在感を増す蓑島・中島氏ら
この時の追放審議会は吉野氏と小野氏に3票ずつ投じられ、累積票の勝負で小野氏が追放とされたのである。小野氏に投票したのは吉野氏と松尾氏、そして蓑島氏。松尾氏は自身が追放免除を勝ち取った時の他のメンバーの反応が薄かったことや、前回の投票で若松氏に『仇は取る』と言ったこと、以前から小野氏追放の意向を持っていたことなどを考えて、小野氏追放へ舵を切った可能性はある。
一方、中島氏にすれば、これまで誰が追放されるか、事前の票固めで全て把握していたが、初めて自身の予測を裏切る結果となった。
「小野っちが安心し切っていて、追放のチャンスが生まれたのでしょう。その動きには気がつきませんでした。エリちゃん(蓑島氏)だからこそ、絶好のタイミングで票を投じられたのだと思います。この頃からエリちゃんは快適な無人島生活を特に望んでいるようでしたから、『(小野氏と吉野氏の)どちらに投票するのかな』と思う部分はあったのですが、それでも今回は順当によっしー(吉野氏)じゃないの、と思っていました。それと、この時の投票結果全般に関してですが、『誰かを帰らせてあげる』みたいなことではなく、『みんなゲームをちゃんとやっていたのだな』という感想も持ちました。」
なお、中島氏によると、小野氏は追放後に「みずっちに裏切られた」と憤慨していたそうであるが、後に蓑島氏の1票で追放されたと知り、最終投票(ファイナル)で蓑島氏を真のサバイバーと認める投票をしている。
小野氏から裏切ったと思われた中島氏であるが、実際のところはその結果に涙を流している。「思い出がたくさんありましたから。自分にとってお兄ちゃんがいきなりいなくなるのはやはりショックでした。受け入れにくい現実ではありました」とのことであった。
小野氏の追放は、ゲームメーカーという立場が自身の安全を担保する一方で、反感を買うことも多く、リスクを抱え込みやすいことを示しているように思う。人数が多い段階では多数派工作も比較的やりやすい。敵対的関係にある者に対しても、共通の敵を設定することで戦略的に手を結ぶことが可能になるからである。
もっとも、それを続けていると敵対勢力からターゲットにされやすい。それを防ぐために全方位外交を進め、ほとんどの人と友好的関係を築いていけば、友好的関係にある人を落とさざるを得ず、結果「笑顔で近づき、情け容赦なく落としていく人間」として全員から信用を失う。
そうしたゲームメーカーのジレンマに陥る中、敵対勢力を消していくと、味方の中から新たな標的(敵)を作り出していかなければならず、ゲームメークのリスクは飛躍的に高まっていくのであろう。小野氏はサバイバーというゲームが持つシステム上、生じる制約と戦っていたと言えるように思う。
その点、満遍なく友好関係を築く中島氏や蓑島氏が終盤になって存在感を示してきたのは、ある意味、必然であったのかもしれない。
いよいよゲームは最終盤へと向かっていく。
24年後もサバイバー 中島瑞果(8)へ続く







