コロナ経済対策 振興五倍券に長蛇の列
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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台湾政府発行の振興券「振興五倍券」の使用が開始されました。また五倍券以外にも国内旅行やスポーツ観戦等を対象とした追加振興券も抽選で発行されることになっています。紙製振興券受け取り初日、各地では人々が長蛇の列ができました。コロナ禍で落ち込んだ消費への刺激剤となるか、注目です。
■振興五倍券は外国籍者も取得可
新型コロナウイルスの国内感染拡大で打撃を受けた経済への対策として導入された振興券「振興五倍券」の使用が10月8日から開始されました。振興券はデジタル版と紙製の2種類、使用期限は2022年4月30日までとなっています。
昨年発行された三倍券では「三倍」とあるように1人当たり1000元(約4000円)を自己負担することで、3倍の3000元(約1万円2000円)の消費ができる振興券を取得することができました。
今回の五倍券も発表当初は三倍券と同様に1000元の負担で5000元(約2万円)の振興券を取得できるよう設定されていたのですが、疑問や不満の声が相次いだことから(政府は「コロナ禍での社会行動規制による国民の経済的負担増加を考慮」と発表)、後に国民1人当たり1000元の自己負担を政府が賄うことになりました。これにより国民は自己負担なく5000元分の振興券を取得することができるようになりました。
購入資格は、中華民国国籍を持つ国民と、永住権を有する外国籍者及び居留ビザを有する外国籍配偶者となっています。昨年の三倍券発行時には永住権を有する外国籍者が振興券購入資格条件に含まれていなかったために欧米の外国籍者を中心に「台湾で働き台湾の人々と同じく税金を納めているのになぜだ」といった不満や抗議の声が多く挙がりました(参照・台湾版Go To Eat 独身日本人男性にも恩恵)。在台歴15年で永久居留証保持者のドイツ国籍の友人(独身)は、一昨年末に台湾の女性と結婚した同じ職場のアメリカ人が振興券を購入できたことに納得がいかず、冗談半分に「税金返せ」と嘆いていました。
なお振興三倍券は発行開始から3か月を経た後に「永久居留証を有する外国籍の者」を購入資格者に加えました。今回の五倍券では発表当初から「永住権を有する外国籍者」と「居留ビザを有する外国籍配偶者」を購入資格対象に加えており、前回のような外国籍者に対する待遇の差異という問題は起きていません。
■8割がコンビニで予約
五倍券は9月22日から公式ウェブサイト、コンビニエンスストア、郵便局で予約が始まりました。コンビニエンスストアでは、各店内備え付けの情報端末器にICチップ付きの健康保険カードを挿入し予約操作を行います。私もコンビニエンスストアで五倍券の予約を行いました。
健康保険カードを挿入し引き換え期日が記されたレシートを取得する、という2ステップで簡単に予約できました。「国民マスク購入システム」に端を発する、健康保険カードでのコンビニエンスストア情報端末器予約システム、その処理速度や使い勝手に向上・進歩を感じました。
なお、9月30日時点での五倍券予約者は国民の半数近い1000万人に達し、そのうち80%がコンビニエンスストアの情報端末器を通じて予約を行ったということです(中央通訊社 2021年9月30日)。
■追加振興券も抽選で発行 消費の促進を
今回の振興五倍券では中央政府や各地方政府から抽選で発行される「加碼 (ボーナス)」券も話題となっています。中央政府は飲食店で使用可能な「好食券」(500元)、博物館や演芸場、芸術関連施設を使用対象とする「藝FUN券」(600元)、ホテルや旅館の宿泊料金に適用される「國旅券」(1000元)、スポーツ関連を対象とした「動滋券」(500元)など8種類の振興券1236万枚を五倍券購入者から抽選で発行します。各地方政府からは宿泊クーポン券や飲食割引券が抽選発行されます。いずれもコロナ禍により落ち込んだ消費に刺激を与えることが狙いです。
小売業界では前回の三倍券と同様に振興券の使用に割引サービスなどをつけ、売り上げの増加を図っています。大手スーパーでは振興券1000元使用で10%のポイント還元サービスや家電を対象とした優待割引を実施しています。各百貨店では毎年9月中旬から始まるセール期間「週年慶」を、振興券使用開始の10月8日以降に延期、振興券5000元使用で最大3500元の商品券贈呈や最大25%の割引を行うなど例年にない大盤振る舞いで話題を集めています。
また、宿泊者の減少で打撃を受けているホテルや旅館では大々的なキャンペーンが行っています。多くの宿泊施設では振興券併用で二泊三日以上宿泊の場合に二日目の宿泊を無料、さらに滞在中の食事も無料提供とするなど特別優待セールを実施、利用者の呼び込みに努めています。なお経済部(日本の経済産業省に相当)では五倍券やボーナス券の発行による2000億元(約8000億円)の経済効果を見込んでいます(自由時報 2021年9月1日)。
■紙製振興券の受け取りに長蛇の列
振興券受け取り開始初日となった10月8日、各地のコンビニエンスストアには長蛇の列ができました。私も初日の午前中に、予約をした近所のコンビニエンスストアへ受け取りに行ったのですが、到着時には20人以上が受け取りに並んでいました。
台湾は10月9日から建国記念日による3連休を控えており、連休中に早速振興券を使おうと計画をしている人々が殺到したのかもしれません。
報道では午前9時の振興券受け取り開始から2時間で100万人近くの人が台湾各地のコンビニエンスストアに押しかけたということです。またコンビニの前で購入者を出待ちし、4500元の現金で5000元分の振興券を買い取る事案も発生しています。経済部ではこの行為が振興券の使用に際し定められた「転売の禁止」に反する違法行為だとして、ルールを守って正しく使うように呼びかけています(TVBS新聞網 2021年10月8日)。
昨年の三倍券と異なり振興五倍券は購入に際し自己負担の必要ありません。つまり政府が全国民を対象に一人当たり5000元を振興券として無償で給付したことになります。「5000元のボーナス」が生活行動制限措置の緩和により活力を取り戻し始めた台湾社会での消費の促進と経済の活性化に繋がることを期待しています。ちなみに私の振興券の使い道ですが、妻と共同で某北欧家具店の小型ソファを購入予定です。
台湾は、もう完全にコロナ禍を脱したのでしょうか?マスクもしなくていいのですか?もしそうなら、どうやって、脱したのでしょうか?日本はまだマスクをしていますし、一応緊急事態宣言は解除されたものの、密を避ける行動は皆とっています。
もう完全に脱したのなら、その方法は良いですね!日本は前に、一人10万円の給付金が支給されましたが、貯金に回した方もおられると思います。勿論、生活が困窮している方になら、現金が一番いいと思いますが、消費拡大なら、振興券の方がいいですよね。日本ももう少し収まったら、台湾を見習ってほしいものです。
いつも、タメになる情報を、ありがとうございます。
名無しの子様
いつもコメントをくださりありがとうございます。
台湾では振興券を手に入れた人々が早速の消費行動に動き出しています。
有効期間が半年しかないことも振興券使用の後押しになっていると思います。