中居氏”新たな被害者”報道 問題の根源フジの体質
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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中居正広氏のスキャンダルに関して週刊文春が最新号で「新たな被害者(女性アナ)が爆弾告白」という記事を掲載している。フジテレビの編成部長がいかがわしい飲み会を企画、実行し、女子アナが被害を受けたという内容。中居氏が9000万円を支払って示談が成立したとされる女性との間のトラブルとは基本的には別の問題で、新たな被害者報道と中居氏の案件は1つ1つ精査する必要がある。
◾️女性アナの告白の概略
週刊文春最新号は、現役のフジテレビの女性アナという水谷愛子さん(仮名)の告白が中心となっている。水谷さんは2021年冬に行われた飲み会について語っている。
(1)編成部長のA氏が中居氏らとの飲み会に水谷さんが誘われる。
(2)当日、六本木のグランドハイアット東京に行くと、A氏の部下からスイートルームに案内された。スイートルームにはA氏以外にも多数のスタッフがいて準備をしていた。
(3)水谷さんはタレントが座るソファの横に座った。タレントと中居氏の間に入る形で女性アナの2人(D子、E子)が座る。
(4)次第に人が出ていき、A氏も仕事で抜けると言って、中居氏とタレント、水谷さんとD子さんの4人になった。
(5)中居氏はD子さんを口説いていた。タレントは水谷さんに密着して太ももを触ってきたため、水谷さんはトイレに避難した。
(6)水谷さんが部屋に戻ると寝室に移動したタレントが全裸で手招きをしたので、水谷さんは拒否して寝室を後にした。
(7)やがてタレントがリビングに戻り、4人で話をすると、部屋を出ていった他の参加者の戻ってきた。
(8)散会になったのは午前3時頃。水谷さんはこの飲み会をプロデュースしたA氏に怒りの矛先が向いている。
(以上、週刊文春2025年1月23日号・SEXスキャンダル追及③中居正広 新たな被害者(女性アナ)が爆弾告白「私もAさん(フジ編成幹部)に”献上”されました」から)
こうした卑劣な飲み会を企画、実行したA氏と、それを許していたフジテレビに対しては、報道が事実であれば許されることではない。17日に港社長が会見をするが、当然、使用者責任が厳しく問われることになる。
中居氏とX子さんの9000万円と言われる示談金を支払ったとされる案件(以下、X子案件)でフジテレビは「記事中にある食事会に関しても、当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません。」との見解を発表した(フジテレビ・一部週刊誌等における弊社社員に関する報道について)。フジテレビの発表が事実であれば、X子案件はあくまでも中居氏とX子さんの間のトラブルということになる。
しかし、水谷さんが告白した上記の案件(以下、水谷案件)では、A氏が参加し、スタッフが準備をしていたことから、フジテレビが全面的に関与していたのは疑いない。この時点で、X子案件と水谷案件は全く異なる性質を持つことは明らかである。
◾️女性アナの中居氏に関する描写
水谷案件では水谷さんが怒りの矛先がA氏に向いていると明記されている。タレントが全裸で寝室から手招きというのは聞くだけで悍ましく、そのタレントに対する怒りも当然あるとは思われる。
ただ、ここでの中居氏の行動について、水谷さんは「自分で持参した焼酎をぐびぐびと飲み始め、上機嫌だった」「『新聞は全部読む、MCなら当たり前』と発言」「D子をロックオンし、口説いていた」としか語っていない。
タレントが水谷さんにわいせつな行為をすることに見て見ぬふりをして、その行為を側面から援助するような不作為であったなら”同罪”であるが、焼酎をぐびぐび飲んで酩酊状態であって、タレントの行為を認識すらしていなかったのかもしれない。そのあたりは分からないが、水谷さんが中居氏について行為を援助するような不作為(笑いながら見ていた等)であったと感じていたのならば言及するであろうし、それが記事のメインになるはず。この件で水谷さんの中居氏に対する評価は分からないが、少なくともタレントのわいせつ行為の”共犯”とするような発言はしていないと判断できる。
X子さんの知人はこう証言している。「その日、彼女(筆者註・X子さん)は中居さんから『みんなで鍋パーティをやろう』と誘われました。今まで三回ほど中居さんとAさんを交えて飲み会をやっていたので、彼女は『Aさんがセッティングしている会の”延長”だ』と認識し、中居さんの家を訪問。ところが、二人きりになって意に沿わない性的行為を受けた。…」(前出の週刊文春の記事から)
ここに書かれているのが事実であれば、X子さんが中居氏の自宅での会食にフジテレビ編成幹部のA氏が関与している、業務の延長であると錯誤に陥っているのである。
ところが、同誌の前号では「X子さんはタレントの中居正広(52)、フジテレビの編成幹部A氏を交え、複数人で会食を行う予定だった」(週刊文春2025年1月16日号・中居正広 X子さんの訴えを握りつぶした「フジの3悪人」)と報じている。この点は誤報であったとして、週刊文春自身が最新号でX子案件にフジテレビが関与していなかったことを訂正した形になっている。
そうなると、前号でX子さんの上司であったアナウンス室部長の佐々木恭子アナが「大変だったね。しばらく休もうね」と言ったのは、組織の人間として、上司として、それ以前の人間として言える精一杯の言葉と思われる。組織が関与していない案件で、被害者であるX子さんの錯誤に基づく発言に乗って「フジテレビの会社としての責任は免れない」などと言うような人間がいたら、管理職としての資質、人としての判断力を疑われる。
個人的に週刊文春の報道には敬意を表する部分はあるが、結果として誤って報じた部分のせいで責任を問われるべきではない佐々木恭子アナが極悪非道な上司のように扱われてしまったことは看過できない。フジテレビにも真面目な局員は存在するはずで、今回の件を苦々しく感じている層もいると思われる。
佐々木恭子アナにすれば他の不心得な局員のせいで自身が当事者、二次被害の加害者であるかのように責められるのでは、たまったものではない。この点については、週刊文春はメディアとしてしっかりと対応すべき。少なくとも「フジの3悪人」の1人に佐々木恭子氏を含めているのであれば名誉毀損となり得ることは意識した方がいい。
同時に、水谷案件とX子案件は現実的な繋がりに欠けること、水谷案件とX子案件での中居氏の責任は別問題であることもはっきりとさせるべきであろう。
◾️フジテレビの”予防線”
結局、フジテレビがX子案件で発表したコメントのうち「一方で、出演者などステークホルダーとの関係性のあり方については改めて誠実に向き合い、弊社のコンプライアンスガイドラインの遵守により一層努めてまいります。」(フジテレビの前述の発表から)という部分は、X子案件以外に水谷案件があることを認識しており、そこへの予防線を張っていたということなのであろう。
17日の港社長の会見でどのような内容が出てくるのかは分からないが、おそらく、X子案件は会社として無関係、水谷案件は会社として対応する、第三者委員会を設置して調査をして、しかるべき措置をとり、今後の体制づくりを行うという程度の話ではないか。
ここまでの経緯からは、あくまでも問題にされるべきはフジテレビの女性をものとして扱うような風土、テレビ局員という立場への驕り、一部社員の人権に対する意識の欠落などである。
中居氏の案件はそのことと全く無縁とは言わないが、責任という点においては詳細な状況を踏まえて考えなければならない(参照・冷静になろう中居正広氏案件 伝聞証拠と守秘義務)。既に当事者同士で示談に達していることであり、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い的なネットリンチのようなことは問題の解決に資することはないと考える。