悪文の典型を示す朝日新聞(8月11日の社説から)
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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8月11日の朝日新聞の社説は「自民党総裁選 安倍1強を問う論戦に」というタイトルで、石破茂・元幹事長が自民党総裁選に立候補を表明したことについて論じている。
一政党の総裁選びにあれこれ言うのも、事実上の次の総理大臣を決めるからなのは言うまでもない。その中で活発な議論が展開されることを望むのは、自民党員ではない、われわれ一般国民にしても当然のことである。
その意味で朝日新聞の社説が言うように、活発な議論が行われることは好ましい。しかし、実際に読んでみると、どうにも気になる部分がある。具体的に抜き出してみよう。
①「森友・加計問題で、行政の公平・公正に対する信頼が失墜し、野党の質問に正面から答えようとしない首相の不誠実な対応に批判が集中したことが念頭にあるのは間違いない」
②「期限を切って、強引な国会運営」
③「総裁選後の党役員・閣僚人事を見据え、こぞって首相にすり寄る姿は、1強の下、活力を失った党の現状を物語る」
④「実質的な首相選びにふさわしい論戦にできなければ、政治の信頼回復にはつながらない」
まず、①について「森友・加計問題で、行政の公平・公正に対する信頼が失墜し」とあるが、その根拠が示されていない。朝日新聞の揚げ足取りのような報道に嫌気がさしている国民も少なくないと思う。それを「失墜し」と断言している根拠は示されていないのである。
②の国会運営については野党が一方的に審議に応じず、論戦したくてもできなかったという経緯についての評価がない。国民の批判が強くなると審議に復帰し、今度は「議論が十分ではない」などと主張する国会議員こそが問題だと思うが、その点に全く言及していない。
③が最大の問題。「党役員・閣僚人事を見据え、こぞって首相にすり寄る姿」「活力を失った党の現状」と断定する根拠が示されていない。そのことは朝日新聞が頭の中で想像しているだけであって、それを客観的事実のように断定するのであれば根拠を示さなければならない。その根拠が示されていない以上、朝日新聞は自分の思い込みと客観的事実の区別がつかないと言われても仕方がない。
④も同じようなもの。「政治の信頼回復」とあるが、いつ政治の信頼が失われたのか。朝日新聞の8月の世論調査では内閣の支持率38%、不支持率は41%。まさか不支持率が支持率を上回るから信頼が失われていると言うのではないと思うが、念のため不支持の人の理由は「首相が安倍さん」が18%、自民党中心の内閣が28%だった。つまり不支持の人のうち、安倍首相、自民党だから支持しないというアンチ票が半分近くを占めているのである。政治の信頼が失われたというよりも、最初から何があっても支持しない人たちと考えるのが通常の思考法であろう。つまり、ここでも根拠なしに政治の信頼が失われていると断言しているに等しい。
断定するからには根拠を示さないといけないのは、文章を書く上での鉄則。素人でもできることができない新聞の社説に何の価値があるのか、僕には分からない。