防犯の必要性を諄々と説く盗人の如く(1/14朝日新聞社説)
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
最新記事 by 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 (全て見る)
- 無理筋か 旧ジャニーズ事務所に3億ドル請求 - 2024年12月19日
- 少子化対策の基本に還れ 保険適用化で医大教授発言 - 2024年12月16日
- マスメディア沈黙の事情 分娩費用の保険適用化 - 2024年12月15日
1月14日は成人の日の朝日新聞の社説は、主にその新成人に向けてのものになっている。タイトルは「成人の日に 思考の陰影感じる世界へ」。
まず中身を見てみよう。オーストラリアの人気風刺画家のキャシー・ウィルコックスさんが描いた作品「怒りの時代に、ニュアンスある議論へ与えられた空間」が示されている。これはノートの見開きのような長方形があり、左が真っ黒、右が真っ白、そして真ん中に細いグレーのゾーンがあるもので、そのグレーのゾーンこそが「ニュアンスある議論へ与えられた空間」だという。この「ニュアンスある議論」について「あなたの意見に共感はできないが、意図するところは理解する――。そんな結論に至ることができる意見交換」という作者の説明を紹介している。
ここで朝日新聞は現代の社会の問題に触れるのである。米国の大学の心理学者の話を借りて、ネットの世界では「いいね」で共感を表明する人たちと意見交換に終始する傾向が強く、異なる考えの人たちは無視し合うという傾向を指摘。その上でこう書いた。
「賛成と反対、好きと嫌い、敵と味方。社会には二択では決められない、微妙で複雑な感情があふれている。ツイートに積み上がる「(いいね)」の陰には、いろいろなサイレントマジョリティーの思いがあることを想像してみてほしい。」
朝日新聞の社説でもたまにはいいことを言う。新成人にそのように語りかけているのであろうが、実は、それを最も感じなければならないのは、あなた方、朝日新聞ですよ! そこに気づいていないのであろうか。
年が明けてからの社説だけでも、「どうにかしなさいよ」というものが少なくない。例えば、1月11日の社説、いわゆる徴用工問題では、韓国の国際法違反に対して「あくまでも二国間の話し合いで合意を築くことを諦めるな」と書き、1月10日は憲法論議で「憲法に縛られる側の権力者が自ら改憲の旗を振るという『上からの改憲』が、いかに無理筋であるかを証明したといえよう。」と書き、1月5日の社説は選挙に関して「首相はこれまで、与党に有利なタイミングを狙った政略優先の衆院解散を繰り返してきたが、解散権の私物化は決して許されない。」と書いた。
もし、この日1月14日の社説で「いろいろなサイレントマジョリティーの思いがあることを想像してみてほしい。」と書くのであれば、こうしたおそらく少数派の声を代弁しているような一方的な決めつけはやめようよ。そして、サイレントマジョリティーの思いがあることを想像しなければならないのは、まさに君たち、朝日新聞であることに気付きなさい。
言葉は悪いが、この日の社説は、盗人が防犯の必要性を諄々と説いているように感じる。盗人だけにそれが非常に説得力があるというのは皮肉である。朝日新聞は従軍慰安婦に関する報道では32年間、読者を欺き続けてきた。それが物言わぬ多数派どころか、物言う多数派、ボーカルマジョリティーとでも言うのか知らないが、そこから攻撃されて、ようやく記事を削除するという状況になった。
新成人に贈った言葉は、まず、君たち朝日新聞が心すべきである。