「だが、ちょっと待ってほしい」朝日は五輪スポンサー

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 朝日新聞が12日付けの社説で東京五輪・パラリンピックに関し、政府の「開催ありき」の姿勢を批判した。言論・報道機関として1つの考え方であるが、同時に同社は東京2020オフィシャルパートナーとなっている。大会中止を主張するなら、スポンサーを降りてから言ってはどうか。

■社説で東京大会の中止等を主張

朝日新聞は東京五輪を支える立場(撮影・松田隆)

 朝日新聞が掲げた12日付けの社説は「五輪の可否 開催ありき 破綻あらわ」という、タイトルからして、かなり強烈。10日に参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫議員が菅義偉首相に厳しく迫った主張にほぼ沿う形になっている。

 菅首相らの答弁を聞き「わかったのは、滞りなく大会を開ける状況にはおよそないという厳然たる事実」とした上で、「世界から人が集い、交流し、理解を深め合うという五輪の最も大切な意義を果たせないことが確実になるなか、それでもなぜ大会を開くのか。」という問いに政府も主催者も説得力のある発信がないと断定。

 「『開催ありき』の姿勢が随所に不信と破綻(はたん)を生んでいる。」と、開催ありきの姿勢を改めるよう主張し、文章を締めている。

 朝日新聞も言論・報道機関であるから、どのような主張をするのも自由である。五輪・パラリンピックを中止、もしくは延期(以下、中止等)せよと叫ぶのもどうぞ勝手に、という話である。

 「だが、ちょっと待ってほしい」

 朝日新聞はJOC(日本オリンピック委員会)のオフィシャルパートナーではなかったのか。

■朝日新聞はJOCオフィシャルパートナー

 朝日新聞は東京2020大会のオフィシャルパートナーとなっている。通常1業種1社が原則だが、契約カテゴリーの新聞に関しては、読売新聞社、毎日新聞社、日本経済新聞社の3社と同時にパートナーとなった。これは国際オリンピック委員会と協議の結果、特例として認められたものである。

 この時、当時の朝日新聞社の渡辺雅隆社長は「公正な報道を貫き、平和でより良い社会を目指す大会の理念に共感し、協力したい」と最大限のサポートを約束している(以上、電通報2016年1月22日:2020年東京大会 新聞4社がオフィシャルパートナーに決定)。

 期間は当初2016年1月21日から2020年12月31日までのおよそ5年とされていたが、大会が延期された結果、契約延長の話し合いが行われ、東京2020大会パートナー68社の全社と基本的な合意に至った(アドタイ2020年12月24日:東京2020大会パートナー68社の契約延長 追加協賛金は約220億に)。

 当然、現在、JOCのホームページのオフィシャルパートナーには朝日新聞も名前を連ねている。つまり、朝日新聞は現在でも東京五輪・パラリンピックを支える立場にある。実際、同社のプレスリリースには「より健康で文化的な暮らしができる社会の実現につながる活動を展開し、東京2020の成功、未来に向けたレガシー(遺産)創造への貢献をめざします」とある(朝日新聞プレスリリース:「東京2020オフィシャルパートナー」に朝日新聞社 多面的に大会支援)。

■五輪スポンサーになることの効果

東京五輪について質問する蓮舫議員(TBS NEWS画面から)

 一般的にスポーツ大会におけるスポンサーの存在は大きく、大会主催者はスポンサーの意向を無視できない。ただし、五輪やサッカーワールドカップクラスになると、スポンサーにしてもらうだけでも大変で、「お金を出させていただく」立場であると聞く。

 五輪やW杯のスポンサーになれば世界的な知名度に繋がり、社会に認知される効果は計り知れない。朝日新聞はスポンサーとして金銭を出しているが、それによる恩恵は小さくない。

 そのスポンサーという地位による果実を享受しながら、一方で自社の主要商品(新聞)の中で五輪開催に疑義を唱える姿勢に違和感を覚える人は少なくないはず。スポンサーとなった当時の渡辺社長は「平和でより良い社会を目指す大会の理念に共感し、協力したい」と言っている。しかし、「世界から人が集い、交流し、理解を深め合うという五輪の最も大切な意義を果たせないことが確実になる」と当該社説は断じており、もはや、大会の理念の実現は困難であると言っているに等しい。

 スポンサーになった最大の理由が実現できないと判断しているのなら、違約金を支払ってでもスポンサーから降りるべきであろう。それが言論・報道機関としての筋の通し方。一方で「大会を支えます」としながら、他方で大会中止等を訴えることのおかしさを感じないとしたら、社会人として決定的に理解力、判断力が欠けていると言われても仕方がない。

■スポンサーを降りてから中止等を主張せよ

 朝日新聞は東京五輪・パラリンピックの中止等を訴えることで社是とも言える反政府を貫きながら、政府が開催を強行すればスポンサーとして社会的認知度を高める果実を得ることができる。

 朝日新聞が報道機関として五輪・パラリンピック中止等を訴えるなら、「もはや東京2020大会は理念なき大会となるのは確実。当社はスポンサーを降ります」と宣言してから言うべき。それをせずに「1粒で2度おいしい」を狙う姿勢でいるから朝日新聞は信用されないということに、いい加減、気付いたらどうかと思う。

4 thoughts on “「だが、ちょっと待ってほしい」朝日は五輪スポンサー

  1. アバター ちはやふる より:

    「だが、ちょっと待ってほしい」には笑えました。朝日新聞社説の常套句ですね。

  2. アバター 高山椎菜 より:

    こんにちは。
    最近朝日新聞と日刊ゲンダイの区別がつかなくなっているのはわたしだけでしょうか?

    もうじき朝日新聞3面にセクシー女優の裸が載る日も近いかも?

  3. アバター ryo.co より:

    いつもながら、ごもっともな論説だと思います。
    「イジメをやめろ」というテレビがお笑い番組で「イジる」と言いながら容姿を侮辱したり無理やり熱湯風呂に入れたりするのと同じ構図。
    もうひとつ、これは提案なのですがサイトトップにある筆者欄ですが、これは文末にすることは出来ないでしょうか?
    松田さんの写真がニュースの内容かと毎回勘違いしてしまいます。意図をお持ちなのだとは思いますが、文頭には不要な気がします。
    これからも切れ味鋭い論説を楽しみにしております。

  4. アバター ちょっと待てお兄さん より:

    だがちょっと待ってほしい
    松田様素晴らしいですね笑

    界隈がまた反五輪キャンペーン強化してますね。
    池江さんへの攻撃とかやればやるほど逆効果ではと思ってましたが、なるほど朝日はそもそもスポンサーなんだから中止だろうが決行だろうが得をするわけですね。

    「中止だろうが決行だろうが菅退陣」という界隈の主張を見たところでしたが、朝日はどっちでも得とは。

    宝島社の広告も無理矢理話題になってましたが、竹槍を揶揄したつもりのはずがバカにしてたのは薙刀だったとか、写真はネットから拾ったという驚くべき事実とか、広告制作に関わったのが立民議員の関係者だとか、そちらもかなり香ばしい展開ですね。

    松田様もお忙しいとは思いますが、これからも大メディアが忖度する存在への切れ味鋭い指摘に期待します。

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