僕なら迷わず「展示認めず」あいちトリエンナーレ大村知事の絶望的な政治センス
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で8月13日、大村秀章知事が定例の記者会見で説明を行った。それによると事前に展示を辞めるように働きかけたが相手側が聞き入れず、妥協案として「SNSには投稿しない」ということで展示に踏み切ったという。これではっきりしたことは、大村知事が実行委員会の会長として一連の混乱を招いた責任は免れないということ。僕なら、裁判覚悟の強攻策で行ったと思う。
■会見で明らかになった大村秀章知事の政治責任
会見での話を聞いて明らかになったのは、大村知事が法律面と行政面の2点から展示にゴーサインを出したということである。法律面は、展示内容への要望を出すことで芸術監督の津田大介氏が企画展をやめるという事態になれば、憲法21条1項の表現の自由を侵害することになると考えたということ。行政面としては、予定された開催を円滑に行うためにギリギリの妥協案でゴーサインを出したということである。
この判断が誤っているのはこれまで書いてきたので置いておくとして、結果として大きな混乱を招いたのだから大村知事の責任は免れない。では、大村知事はどうすれば良かったのか。細かい条件はあるにせよ、司法の場での決着も辞さない覚悟で事に当たるべきであったというのが僕の答えである。
■僕が愛知県知事なら、司法の場の決着も辞さない
僕が大村知事なら、内容を知った時点で津田大介氏に「いかなる条件でも、この内容の展示は認めない」とはっきりと展示を拒否する。理由は3点である。
(1)作品には強い政治主張が認められ、仮に芸術性が存在するとしても、公金を使って特定の立場の人々の意見を代弁することになる展示は認められない。
(2)国家の象徴、国民統合の象徴である天皇陛下の肖像を焼き、それを踏みにじる行為は、仮に芸術性が存在するとしても公序良俗に反し、公金を使って展示することは認められない。
(3)名古屋高裁金沢支部平成12年2月16日判決は、公権力に対して芸術家が自己の製作した作品の展覧会での展示を求める憲法上の権利を有しないとしている。その考えに立ち、展示を認めない。
この場合、津田大介氏が「表現の不自由展・その後」を中止するというのであれば、それは仕方がない。1か月半前の中止であれば、そのための対応は可能であろう。会場のスペースの割り振りの変更等を行い、HPなどで告知を出す。
同時に、津田大介氏の方が、何らかの訴訟を提起してくることに備える。「表現の不自由展・その後」がどのような形で中止になるのかは分からないが、取消訴訟のような行政訴訟かもしれないし、民事上の問題として損害賠償請求をしてくるかもしれない。いずれにせよ津田氏のこれまでの行動からすれば憲法21条1項を正面から争う形の訴訟をしてくる可能性は十分にある。
それを行政の長として受けて立つ覚悟を持ち「表現の自由の問題は司法の場で決着しましょう」というスタンスを崩さない。後は司法が結論を出してくれるであろう。裁判所が仮の義務付け、仮の差し止め(行政事件訴訟法37条の5)を認めることは、この案件ではまずないと思うという判断がベースになっているのは言うまでもない。
■大村知事の失敗は2点、津田氏の起用と覚悟の不存在
結局、大村秀章知事の失敗は、①津田大介氏を起用したことと、②展覧会が中止になってでも行政の長として果たすべき責務を果たす覚悟がなかったことの2点である。俗っぽい話をすれば「こんなアブないヤツを何で起用するのか」という思いは誰しもが持つであろう。
しかし、選んだ以上、うまくコントロールするしかない。暴走しかかっている「アブないヤツ」に対して、自分が傷つくことを覚悟で止めなければならない。それが行政の長というものであろう。それをしなかったから、開催からわずか3日で中止という最悪の選択肢を選ばざるを得なくなったのである。一言で言えば政治センスが悪すぎる。こうなったのも、自業自得というものだと思う。
■大村秀章知事の記者会見での発言
最後に、記者会見での大村知事の話を、そのまま文章にしてみよう。彼のこの件に対する覚悟のなさがはっきりと感じられると思う。
大村秀章知事:繰り返しますけど、私が、内容を、どうもこういう内容があるようだというのを事務方から聞いたのは、6月半ばでありましたから、その段階で、『これ本当にやるのか』ということで、津田監督を通して、津田監督にも、津田監督を通してですね「まあ、これについてはどうか」と「この点についてはやめてもらえんか」とかですね、「これはこうじゃないか」とかですよ、例えば「実物ではなくパネルにしてくれたらどうか」とかですよ、それは中は写真を撮っちゃダメだと、入って見てもらうだけだ、いうこととか、色んな要望、希望は申し上げましたよ。強い要望、希望。
しかし、それを一線越えるとですね、越えると、だから、まあ、多分その憲法21条の話になってしまう虞れがあるわけですよ。ましてや、ましてや、ましてや、その8月1日からの事前ですからね。
ですから、そういう意味で途中段階で私が申し上げて、強い要望・希望、もうその点はね、もう実物ではなくパネルでいいじゃないかとか、いうような話もした、「それだったらこの企画展全てやめる」とかいう話をされたりしてですね、そうなるとまさに憲法21条、そのものの話になってしまうということなんですよね。
ですから、そういう意味で、この内容について我々としてですね、この施設の管理・運営を安全に円滑にやっていくということからですね、強い希望・要望は申し上げました、強い要望、希望は。
ただ、それ以上のこと、これはどうしても、こういう対応でやりたいということで、最後、まあ、ぎりぎりあれしたのは「SNSやめてくださいね」と言ったところで、しかし、みんなやられちゃいましたけどね。あれはだから写真を、写真撮っちゃダメとしないとですね、そら守ってくれないっすよね。
あった!みつけた!トリエンナーレ記事!!
松田さんは、どんな風に考察されるだろうかと過去記事を探していたところです。
記者会見での大村知事の話の部分、思わず笑ってしまいました。大丈夫か、この人。
政治判断もダメダメですし、知事へのリコール請求は、当然だったと思います。
なのに、どうしてどうして、署名の偽造なんかしたのかと実行者には、怒りで一杯です。
これで、大村氏が知事としての資質に欠けることを責めることが出来なくなりましたね。
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