高市早苗首相誕生と予想「天の時」到来

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 自民党総裁選は菅義偉首相が出馬しないことが決まり、混沌とした情勢になってきた。現時点で出馬を表明しているのは岸田文雄元外相(64)、高市早苗前総務相(60)で、出馬の意向を固めている河野太郎行政・規制改革相(58)に加え、石破茂元幹事長(64)、野田聖子幹事長代行(61)なども出馬の可能性があると報じられている。9月5日時点での個人的な予想だが、高市早苗氏が勝つと予想しておく。

■菅首相の総裁選不出馬で情勢は混沌

菅首相は総裁選不出馬(産経新聞紙面から)

 自民党総裁選は9月17日告示、同29日投開票となる。その直後の10月21日に衆議院議員の任期が満了するため、任期満了前の解散総選挙もしくは任期満了選挙となる。いずれにせよ新しい首相・総裁の下での衆院選となる。

 総裁選は国会議員票383票、党員・党友票383票の合計766票で、過半数(384票)に達する候補者がいない場合、上位2名の決選投票(国会議員票383票+都道府県連票47票)で決することになる。

 石破氏、野田氏が出ても出なくても1度で過半数に達するのは難しいと思われる。決選投票になった場合、決選投票に残れなかった候補を推した国会議員票がどこに回るかが勝敗の帰趨を決する。

 こうした場合、2、3位連合を組むなどの事前の動きも出てくるので流動的な要素は強いのだが、今回は直後に衆院選が控えているだけに、表立って2、3位連合を組むなどの工作はやりにくい。なぜなら、仮に勝てても(裏で手を組んで、第1回の投票で負けたのに総裁になった)というイメージがつきまとい、衆院選に悪い影響を与えかねないからである。

■総裁選びは選挙の顔選び

写真はイメージ

 自民党の多くの衆院議員が考えるのは、「誰が総理・総裁になったら、自分は次の選挙で当選できるか」ということ。もし、菅首相が総裁選に出馬することになっていれば、「まだ、岸田氏の方が目新しい分、勝ち目がある」と多くの議員が考え、おそらく岸田氏が勝ったと思う。

 しかし、菅首相が不出馬ということになり情勢は一変した。「今なら(出馬に必要な)推薦人20人が集まるし、岸田氏が相手なら勝てる」と考える人が出てくるのは当然。石破氏、野田氏が推薦人20人が集まるかどうかわからないが、可能性のある5人の候補を考えてみよう。

 選挙の顔としての総理・総裁ということになると、岸田氏は他の4人との比較では地味でアピールに欠け、石破氏は評価は分かれると思うが、多くの人を惹きつけるというタイプではない。どちらも実務的な国会答弁で力を発揮するタイプ。総選挙までに時間があれば2人でもいいが、今回は地道な仕事ぶりをアピールする前に選挙となるだけに難しいと思う。

 残る3人を見ると、野田氏は選挙の顔という点では悪くないが、状況としては苦しい。夫の文信氏が反社会的勢力に属していたとされ、同氏が新潮社を訴えた裁判で認定されたと、週刊新潮が伝えたことは、ここに来て致命的なものとなりかねない。

 野田氏は週刊新潮の取材に対し、文信氏の過去は「事実ではございません」と否定し、判決後には「裁判中につき回答は控えます」と野田聖子事務所が答えている(デイリー新潮:野田聖子の夫は『元暴力団員』と裁判所が認定 約10年間組員として活動)。

 特定危険指定暴力団の工藤会の野村悟被告に死刑判決が下され、暴力団の問題が世間で注目を集めているその時期に、元暴力団員と裁判所に認定された配偶者が首相になることを自民党の議員が歓迎するとは思えない。野党は選挙前、そこを徹底的に突いてくるのは目に見えている。立憲民主党の枝野代表がこう叫ぶ姿が目に浮かぶ。

 「今回の選挙は、表の社会と裏の社会との戦いでもある」

 それで選挙が戦えると考える自民党議員がどれだけいるか。野田氏はまず、この点をクリアにしないと推薦人20人を揃えることすら難しいと思う。もちろん郵政民営化法案で見せた「変節」を政治家としての資質の問題ととらえる人も少なくないはずである。

■平時なら河野太郎首相だが…

 残るは河野氏と高市氏。どちらも選挙の顔として戦うには文句なし。新しい自民党の時代が来たという印象を多くの自民党支持者に伝えられると思うし、また、少なからず国民の期待も集まると思われる。

 この2人の比較であるが、平時であれば河野氏であろう。父親とは対極の位置にある保守思想は、保守層には受けがいいと思われる。唯一の不安は女系天皇も検討に値するという趣旨の発言で、これによって一部の保守層からは疑いの目を向けられたのは事実。個人的には旧宮家の男性と女性皇族の婚姻を念頭に置いているのではないかと思うが、それが真意だとしても、多くの国民(保守層)にその真意は正確には伝わっていない。

 もちろん、この点は総理・総裁になった時に軌道修正していくことも可能で、致命傷ではない。そうなると河野氏が勝つ可能性は少なからずあると考えるべき。結果的に派閥の領袖の麻生氏がどこまで本気でプッシュするかに関わってくるのではないか。河野氏が総理・総裁になると麻生氏の政治的な影響力にかかわるという声もあるのは気になる点ではある。

■高市氏が野党のおじさん議員”殺し”

高市早苗首相誕生か(同氏HPから)

 こうして考えていくと高市氏が最有力ということになる。まず、選挙の顔として女性宰相の下で戦えるのは大きい。枝野氏・福山氏ら野党の「おじさん」の攻撃に対して、女性が立ち向かうという構図ができる。「男中心の政治を打ち破ります。私に力を」と叫べば、少なくない数の女性票が期待できる。しかも二世ではなく、苦労して政界を渡り歩いてきた点も新しい自民党をアピールできる材料となる。野党側は「高市首相だけは勘弁してほしい」と思っているのではないか。

 一方、支持基盤となる保守層からは高市氏が頻繁に靖国神社に参拝し、今年も8月15日に参拝していることへの安心感はある。気になるのは政治的に未知の部分も多く、抽象的に表現すれば「高市早苗で大丈夫?」という声が自民党内部から出てきそうな部分。その点は安倍晋三首相が支援に回ることになったことで解消できそう。これも抽象的に言えば「おかしくなりそうになっても、安倍さんがコントロールしてくれるだろう」という安心感がある。

 安倍首相が高市氏を支援するとしたのは、自身の政治信条に近いということのほかに、次の選挙を考えてのことと思われる。衆院選が直後に控えるというあまり例がない時期だからこそ、選挙の顔として集票力を最優先とした結果、「今回は高市、次が河野」という流れがベストと判断したのではないか。

■高市早苗氏にとっての「天の時」

 河野氏は仮に負けても「次は河野」の流れが生まれやすく、出馬することのメリットは大きい。一方、高市氏は、ここで負けたら、総理・総裁の道はほぼ絶たれると思っていい。仮に将来、今回のような特殊な状況が生まれても、「似た状況で負けた人だから」となれば、選挙の顔とはなりにくい。

 以上のように考えて高市首相が誕生すると(素人)予想する。今回でなくてもいい人と、今回しかない人との争いなら、後者が有利という単純な理屈でもある。

 今、世間では高市氏は最有力という評価ではない。しかし、衆院選を直後に控え、現総理の退陣が決まっているという特異な状況は、まさに高市氏にとって「天の時」であると指摘しておこう。

    "高市早苗首相誕生と予想「天の時」到来"に7件のコメントがあります

    1. 月の桂 より:

      〉高市早苗氏が勝つと予想

      松田さんの予想が当たりますように…(^人^)
      高市首相誕生を切望します。

      ずいぶん前になりますが、議事堂に入る高市氏(当時は大臣)と遭遇したことがあります。秘書や護衛に囲まれた高市氏を通す為、通路の端に寄った私に「あ、見学の方?(通行を)邪魔してごめんなさいね」と会釈し笑顔を向けてくれました。たまたま上京し、たまたま参加した国会見学ツアーで、大臣に声を掛けて頂き、舞い上がったことを覚えています。品のあるお綺麗な方でした。靖国参拝も欠かさず、派閥に入って群れるようなこともせず、政治家として信念もおありのようです。高市氏にとって、今が「天の時」であって欲しいです。

    2. MR.CB より:

      》》ジャーナリスト松田様

      元日刊スポーツの『穴の松田』らしい予想ですね。もちろん様々なエビデンスを分析された結果だと思います。
      素人ながら私の高市氏の印象は、軍事、安全保障においては安倍元総理以上にタカ派的な考え方。一方で経済政策ではコロナ対策として、思い切った財政支援を考えていらっしゃるようですね。また弁が立つ方であることは、様々な討論番組で知られるところです。なので兜町界隈の金融筋では意外(すみません)と高く評価する専門家も多いようですね。
      魑魅魍魎の巣食う永田町の理論は全くもって分かりませんけど、自民党総裁選をメディアも盛り上げていくでしょうし、政局の流れが一変しました。一時は低迷していた株価も、ここにきて3万円台に達する勢いを見せています。
      そして高市総理が誕生すれば、アメリカの民主党政権が東アジア構想を今後進める上で、連携しやすい良きパートナーとなるでしょう。アフガン撤退で大きく支持率を下げてしまったバイデン政権にも追い風となるかもしれません。

      どちらにしても立憲や共産などの我が国の野党勢力にとって、菅総理が立候補しない自民党総裁選は、実に苦々しい展開になったことは間違いないでしょう。後は二階幹事長の今後の動向が気になりますね。「外様」を実感された二階さんが今何を考えているのか、非常に気になります。

    3. より:

      高市さんについては良いんだけど、
      河野さんは芯のところで信頼できない気がする。
      記事の女系天皇にしろエネルギー政策にしろ、トップに立ったときは「軌道修正」とは反対の向きに動くような気がするなあ。

    4. これでは駄目でしょう より:

      >有力候補の一人に躍り出る可能性が出てきた高市早苗前総務相だが、ここにきて経済政策で金融所得税制の税率アップを構想していることがクローズアップされた。高市氏を熱烈に支持する保守層の中でも、この週末は、ツイッターで株式投資や企業経営の当事者たちがドン引きする声が増え始めてきた。

      兜町界隈ではブーイングの嵐です
      零細な投資家であろうともれなく増税という話だから
      そうなります

    5. あさやけ より:

      私は河野太郎は石破茂、野田聖子並に総理に相応しくない議員だと思います
      河野太郎は親中派議員で中国では河野太郎首相待望論が報道されています
      今でも緩い中国人ビザを大幅に緩和すると明言していますし
      夫婦別姓に賛成、靖国神社には参拝しない、女系天皇に賛成
      熱烈な脱炭素社会、脱原発支持者で小泉進次郎が炭素税の導入を検討すると報道がありましたがもし河野太郎が首相になれば炭素税の導入を推し進めるでしょう
      炭素税は第二の消費税だと思います
      彼は保守ではなく非常にリベラルな政治家だと思います。

      1. NA より:

        太郎は何と言っても、河野洋平の倅ですからね。血は争えません。
        岸田の親戚も宮沢だから、要注意人物ですが(共和党政権においても、GHQ占領下の官僚時代のご主人様・米民主党を忖度、歴史教科書で譲歩、北方領土返還の好機を放棄)。

    6. ふみ より:

      みなさんが真面目に世の中を考えているときに、こんな話題ですみません。
      高市さんが、22年間もトヨタ社の「スープラ」に乗られていたと言う記事を読んで
      呑気にも程があるボケ助ですが、彼女のことを応援したくなってしまいました。
      なったらなったで、オレが総理にしてやったんだなんて言い出すひと
      考えて政策を語ったとしても、オレは聞いてないぞなんて言ってくる輩が出てくるだろう。
      だけど、頑張ってほしいと思うよ。
      ほかの記事もできるだけついていけるようになりたいです。

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