プーチン大統領のブラフにかかった橋下氏
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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弁護士の橋下徹氏がウクライナ国民に国外退避を勧める発言をして、批判を浴びている。国土防衛のために戦うウクライナ国民に敬意を表しつつも、ロシアが瓦解するまで国外に逃げて命を永らえた方が得策であるというもの。この発言はロシアのプーチン大統領のブラフにかかった証左であり、元政治家、弁護士、コメンテーターとして致命的な判断ミスと言えるのではないか。
■国外退避も選択肢の1つと主張
橋下氏はウクライナ情勢について、ここ2、3日、ウクライナ人は国外退避をすべきという主張をしている。3月3日の「めざまし8」(フジテレビ系)に出演時は「祖国防衛のために命を落とすということが一択になるのは、僕は違うと思うんですね。…ロシアが瓦解するまで、ちょっと国外へ退避してもいいじゃないですか。…国外退避することが恥ずかしいことだ、やっちゃいけないことなんだ、売国奴だという批判をおそれてしまうような空気は、僕はおかしいと思う」「国外退避も選択肢の1つとしてあるんですよ」と主張した(東スポWeb・橋下徹氏 ウクライナ人に国外退避のすすめ「祖国防衛のために命を落とす一択は違うと思う」)。
さらに6日には「日曜報道 THE PRIME」」(フジテレビ系)で「ある意味、究極の災害なんだから、できる限り多くの人が逃げる、国外退避させることに西側諸国は力を入れないといけない」(スポーツ報知・橋下徹氏、ロシアのウクライナ侵攻で解決策を提言「国際社会がプーチンと話をする…政治的な妥結しかない」)と、同様の主張を繰り返した。
橋下氏はロシア軍が侵攻し、多くの犠牲者が出ている現状で、国土防衛のために死ぬのではなく、国外に逃げて国を明け渡して命を永らえ、プーチン大統領が死ぬのを根気強く待つことが得策と考えているようである。
理由にならない理由で一方的に侵攻し、多くの市民を殺害している相手に「戦わずに逃げろ」と言っているのである。国家の独立、国民が平和に生きる権利を放棄しろというのは、人間として生きるのを諦めなさいと言っているに等しい。また、方法論としてもウクライナのような地続きの国家なら国外退避も容易であるが、日本のような島国の場合は逃げられない。その場合「日本人はロシア人の奴隷になっても生き延びるのも選択肢」と言うのであろうか。
橋下氏がこのような主張をするのは、弁護士としての思想が根底にあるものと思われる。民事訴訟は権利の帰趨を決定するものであり、相手が無謀と思われる行為であっても、自分が納得して譲歩することで紛争解決になり、一件落着する。裁判所もおりを見て和解を勧試するのはそのためで、橋下氏には国家としての存続や、民族自決など、ある意味、個人の命をも上回る概念の存在を軽視し、損得の計算を優先させているものと思われる。
その点は橋下氏の個人の考えであり、それを発表すること自体は表現の自由の保護の範囲内であろうから、「今後、国政に直接関与してくれるなよ」と言う以外に言葉はない。
■橋下氏の致命的な思慮の浅さ
ここで考えたいのは、橋下氏の発言はプーチン大統領のブラフにまんまとハマっているのでは、ということであり、元政治家、弁護士、コメンテーターとしては致命的な思慮の浅さのように思えることである。
僕は国際公法は勉強したが、国際政治学は学んでいないので、ここから先は素人の意見であることを前提に読んでいただきたい。
大量殺傷能力を有する核兵器は、その性質から実際に使うことは極めて難しい。一発で1つの都市を壊滅させることができる兵器は相手にとって大きな脅威となるが、それは核保有国やその同盟国、支援する国に対しては「使用すれば報復され、使ったのと同等以上の被害を受ける」ことを意味し、実質上、使うことが極めて難しい、使うことができない兵器と言っていい。
今回、プーチン大統領は2月24日の演説で「攻撃を直接加えれば、どのような攻撃者であっても敗北は免れず、不幸な結果となるのは明らかだ」と核兵器の使用を仄めかした。それに対し、バイデン米大統領は2月26日公開のネット番組で「選択肢は二つある。ロシアと戦争して第三次世界大戦を起こすか、国際法を犯した国にその代償を払わせるかだ。」(毎日新聞電子版・米大統領「選択肢は制裁か第三次世界大戦だ」 制裁の重要性訴え)とし、ジョンソン英首相は訪問先のワルシャワでの記者会見で「ロシアとの直接の戦闘は想定しない。そうなれば事態を制御することは極めて難しくなる。」(TBS NEWS・ウクライナ女性が英ジョンソン首相に涙ながらに詰め寄る)と話した。
つまり、「核を使うぞ」というプーチン大統領の発言をベースに、NATO(北大西洋条約機構)側は「相手が使いそうなので、使わない」と勝負を避けたことになる。橋下氏の主張・発言も同様の考えがベースになっている。「相手が殺しに来ているから、戦うのをやめて逃げた方がいい」という考えはNATO側と大きな差異はない。
■ポーカーに似た国際政治
ここで問題になるのは、プーチン大統領は本当に核使用のスイッチを押す気があるか、という点。独裁者が口にした限り可能性が存在するのは間違いないが、「『使う』と言うこと」と「実際に使うこと」の間には大きな壁が存在する。プーチン大統領はスイッチを押した瞬間、NATO側の反撃で自分の命がなくなるのはほぼ確実で、その後はロシアという国すら存在し得ないかもしれないことを考えれば、簡単にはスイッチは押せない。
こうした国際社会の微妙な駆け引きは、ポーカーに似ている。ポーカーは相手を疑心暗鬼にさせ、あるいは錯誤に陥らせ、正常な判断をさせないようにした者が勝利を手にできる。その戦略はごく単純である。
(1)自らの手役が強く相手と戦っても確実に勝てる状況であれば、可能な限り自分の手役は弱いものであるように見せかけ、相手に勝負させる。
(2)自らの手役が弱く相手と戦ったら負ける状況であれば、可能な限り自分の手役は強いものであるかのように見せかけ、相手が勝負を避けるように仕向ける。
基本的にはこの2つしかない。今回のロシアの手役はNATO側からは「核兵器を本当に使う」「核兵器を使うと脅す」のどちらかであるように見えている。一方、プーチン大統領は「実際に使うぞ」と公言し、相手の目に「核兵器を本当に使う」と映るようにしている。そこまでは客観的事実である。
もちろん、まともな神経、思考回路を持っていれば確実に自分達も滅ぶ道を選ぶはずがないと考え、「プーチンの手の内は『核兵器を使うと脅す』に違いない」と判断する。しかし、自滅に繋がりかねない軍事侵攻を行い、さらにプーチン大統領の精神状態に異常があるのではという分析がなされていること、あるいはそのような分析がされるように仕向けることで「相手はまともな判断力を失っている」「気が狂った独裁者なら、核兵器のスイッチを押しかねない」とNATO側を疑心暗鬼にさせている。
プーチン大統領の手の内は分からないが、もし、ブラフ(bluff=脅し)であるなら、ここまでは成功している。橋下氏はそれにあっさりかかり、「本当に撃つ気だぞ、早く逃げろ」と主張しているのは、ある種、滑稽な姿である。百戦錬磨のロシアの大統領と、弁護士出身の元大阪市長では勝負にならないのは当然かもしれない。
■NATO側の”ブラフ返し”
NATO側もあっさりとプーチン大統領のブラフにかかっているとしたら大問題である。しかし、考えようによっては、NATO側はブラフにかかっているように見せかけているだけなのかもしれない。この先”ブラフ返し”をする可能性がある。
たとえば、プーチン大統領が核兵器の使用をさらに鮮明にしてきた場合、「核兵器の使用は人類への犯罪。悲劇的な結末を避けるため、悲劇が欧州に及ばないようにするため、いかなる手段をも使って阻止する」とNATO側が宣言したらどうなるか。
プーチン大統領にすれば、あっさりブラフにかかって勝負を避けた相手が瀬戸際になって「こちらも核兵器を使うぞ」と言ってきたら、(本当に使ってくることを決意したのかもしれない)と疑心暗鬼に陥ってしまうであろう。NATO側は先にブラフにかかっているように見える分、ブラフ返しは相手を混乱に陥れる効果は低くない。
互いに疑心暗鬼になった結果、一方が(勝負から降ります)と宣言したのが1962年のキューバ危機でのソ連である。今回も同じような結末にならないとも限らない。
■勉強できる人がハマりやすい陥穽
こうした状況の中、前述の「日曜報道 THE PRIME」」(フジテレビ系)で橋下氏とともに出演した自民党の高市早苗政調会長は「(ウクライナ軍に)最後まで戦ってもらうしかない」と断言した(DMC BD・日曜報道 THE PRIME 2022年3月6日【高市早苗氏に橋下徹が問う!ウクライナ攻防と日本】)。
このことは、ロシアのブラフによって橋下氏のようにダウンするのではなく、勝負の場から逃げないと言っているに等しい。これが相手のブラフと思われるやり方に対する正しい対処の方法であろう。
今回の橋下氏の一連の言動は、客観的にはロシアのブラフに恐れてNATO側に「勝負から降りろ」と主張している言動であることは意識した方がいい。「勉強ができるお●●さん」がハマりやすい陥穽に見事にハマった姿であるように、僕には映る。
>自民党の高市早苗政調会長
>(ウクライナ軍に)最後まで戦ってもらうしかない
まぁそうなんだけど、
ウクライナ軍(=ウクライナ人)に勝って欲しい、勝たずとも長期に戦線を維持してロシア軍を疲弊させて欲しいのであれば、我ら日本人が『すべき事』は何だろうか。
同意します。
是非、松田さんと橋下さんの対談をお願いしたいです。彼に「勉強ができるお●●さん」であることを自覚させて下さい。
橋下氏は、常に自分が正しいという強気姿勢。相手を論破するのを楽しんでいるようにも見えます。政治家は辞めたのですし、弁護士に専念したら良さそうなものですが、メディアは、炎上商法のごとく、彼を人寄せパンダとして起用しているのでしょうか。
私は、橋下パンダは生理的に無理~~です。
高市氏のお話の方が、説得力はあります。
では今、日本は何をすべきなのでしょうか。
>ロシアが瓦解するまで、ちょっと国外へ退避してもいいじゃないですか。
それはウクライナの崩壊を意味する。
ジェレンスキー大統領が何故とどまっているのか? それ故いかなる力がウクライナに働き国家としての命脈を保っているか、それは国民の意思にも同じくであり、それは見えざる民族としての巨大な共同想念となり運命を切り開く。
日本人がすべきは何なのか? 面白い問いかけだ。問いかけた本人の答えを聞きたい。
答えは前にコメントした。
>小室氏が提起した日本の問題が問われ始めた。誰に?
>日本を真に憂う者達に、その憂いは日本のみならず世界へと通じる。
隗より始めよ。自由を守るため各々が今ある立場で戦えばよい。
後は単純に義勇兵としてはせ参じればよい、出来ぬなら金を出せ。
真にウクライナの人々を思うなら問いかける前にその他を実行している又提言している。
>その憂いは日本のみならず世界へと通じる。
その意味で橋下氏の提言は自由を破壊せんとする世界の者の提言だ。
その主張、価値観はウクライナのみならず当然日本へも働かせようとするだろう。
今ロシア、ウクライナに関し単純な二元論以外に陰謀論が語られている。
山口敬之氏の解析は中々のものがある、山口氏がいうステレオタイプの陰謀論に陥るなとの陰謀論ともいえない、山口氏は自らのキャリアにのっとり主張している。
いずれにせよ橋下氏は山口氏が言うところのロシア、ウクライナ共の崩壊を望む世界に連なる人物だろう、今般の主張のみならずそれがうかがえる。
ご返信は不要です。
義勇兵や募金は誰でも思いつく。皆、やれることは実行しているだろう。それ以外で、日本人が『すべき事』は何だろうかと問うているのだと読めた。あなたのように長文を書ける人間ばかりではない。長ったらしい文章をじっくり読める人間ばかりでもない。短文でもコメントしてくれるだけで、いいね!に値すると思うがどうだろう。コメント欄だけでも平和でありたい。
返信不要。
匿名さん
>義勇兵や募金は誰でも思いつく。
誰でも思いつかないよ。
●勝たずとも長期に戦線を維持してロシア軍を疲弊させて欲しいのであれば、我ら日本人が『すべき事』は何だろうか。
上記の発想に違和感を感じた。
よって
>面白い問いかけだ。問いかけた本人の答えを聞きたい。
とコメントした。
義勇兵としてはせ参じればよい、募金(武器弾薬資金として)も、とコメントした。
アイロニーが込められているのはわかったかな。
●勝たずとも長期に戦線を維持してロシア軍を疲弊させて欲しいのであれば、我ら日本人が『すべき事』は何だろうか。
上記はロシアを経済的に疲弊させる、その他の圧力をかける等ではなく、血が流れ命が失われる戦闘の継続支援の発想だ。(私としては反対)
匿名さんは
同意であり、
>義勇兵や募金は誰でも思いつく。
日本人が直接、人を殺しに行き戦線を維持することに賛成なんだ。
武器弾薬購入のための募金も賛成なんだ。
やはりそういう発想をする者がいるということか、私は反対だ。
>あなたのように長ったらしい文章は~
この物言いはコメント欄に平和を望む者のとしてはいかがなものか、平和を望んではいない証でしょうね。
そして返信不要はね。
う~ん短くまとめようとしたが、まだ長文だな~
ウクライナが仮に戦うことを止め、降伏したとしよう。
その後の占領軍が穏便に事後処理を行う保証がどこにあるのか。
仮にプーチンが膠着状態の長引く間に何らかの事由で鬼籍入りしたとしよう。
後継者の大統領が矛を収める保証がどこにあるのか。更なる非人道的な行いに出ない保証がどこにあるのか。
ハシゲは絶対にそこまで考えていない。
ことなかれ式に希望的観測でいい加減なことを言ってるだけだ。
ウクライナが何とか持ちこたえている間に、考え得る限りの経済制裁を総動員し、ロシアという国家を身動きが取れなくなるほど経済破綻させるより他に道はないのが現状だと思う。
無論必需品や、抵抗するためのデバイスは供給を続けるべき。