宗男氏がゼレンスキー大統領を異常者扱い

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 鈴木宗男参院議員(日本維新の会)が1月6日、自身のブログでロシアのプーチン大統領を礼賛した。ロシア正教のクリスマスにあたる7日に36時間の停戦を命じたことを称えたもの。一方でウクライナのゼレンスキー大統領については、あたかも異常者であるかのような表現で批判している。政治家の主義主張は自由であるものの、その価値観は一般人には理解が難しいものとなっている。

■プーチン大統領に「人としての心」

鈴木宗男氏(同氏ブログから)

 プーチン大統領は6日正午(日本時間同日午後6時)から36時間の停戦を命じた。これはロシア正教会を含む東方正教会の正月が1月7日であることにより、ウクライナにも同調することを求めたが、ゼレンスキー大統領は応じていない(朝日新聞デジタル・プーチン氏、ウクライナ侵攻でクリスマス停戦指示 6日から36時間 ほか、2023年1月7日閲覧)。

 これに対して鈴木宗男氏は自身のブログでプーチン大統領について「ロシア正教のクリスマスは1月7日である。祈りの時間を与えようと考えるプーチン大統領は、いかなる状況であっても失ってはならない人としての心が感じられる。」(花に水 人に心 ムネオオフィシャルブログ・1月6日(金))と称賛した。

 称賛する理由としては「ウクライナにも熱心なロシア正教の方が沢山いるので、プーチン大統領は配慮しての36時間停戦を発表したと私は受け止めている。」(同)という点も指摘。このようなプーチン大統領の思いを大事にすべきという考えからか「プーチン大統領の新年のお年玉とも言うべき『停戦』を、G7、G20の首脳は重く受け止め、停戦を実現してほしいものである。」とした。

 一方的にウクライナに侵攻し、多くの民間人を殺害しているプーチン大統領が、一時的な停戦を申し出たことをもって「失ってはならない人としての心が感じられる。」というが、失ってはならない人としての心があるなら、そもそも他国に軍事侵攻し、核兵器の使用を口にして他国を威嚇することなどしないはず。

 他国、他国民の権利を一方的に侵害して一切悪びれることのない政治的指導者がクリスマスを理由に停戦を呼びかけるのは、ゼレンスキー大統領が言うように「ロシアは停戦を利用して自軍の態勢を整えようとしている」(産經新聞2023年1月7日・露「36時間停戦」命令)と解釈するのが通常の思考であろう。あるいは、国内向けのプロパガンダ。一方的に停戦を命じ、その間に攻撃を受けたらウクライナを批判できるという計算もあるのかもしれない。その程度の分析もできずに停戦はプーチン大統領の良心が形になったものと本気で思っているのであれば、鈴木氏の政治家としての資質に問題があると言わざるを得ない。

■弱いウクライナが何を言う?!

 鈴木氏はプーチン大統領を称賛する一方、ゼレンスキー大統領をこき下ろしている。「ウクライナ側はこの停戦を評価するどころか『偽善は自分の中に留めておけ』と極めて強い口調で批判しているが、闇雲に批判するゼレンスキー大統領の頭づくりはどうなっているのだろうかと首を傾げざるを得ない。」(前出オフィシャルブログから)。停戦の申し出を受け入れないゼレンスキー大統領を「頭づくりはどうなっているのだろうか」と常軌を逸した人間、精神的に異常をきたしている人間扱いである。

 その上で「そもそも論だが、ウクライナは自前では戦えない国で、アメリカ、イギリスから武器や資金援助を受けてかろうじて戦っているのではないか。自分の力で戦えない国がどうして大きなことを言えるのか。その感覚がウクライナ問題の根源である。冷静に大局観を持って対応すべきではないか。」(同)と、しており、要は「お前らは弱い国が何を偉そうにしている。他人から武器をもらわないと戦えない国が一端(いっぱし)の口を叩くな」と悪態をついているのである。

 鈴木氏は軍事的に弱い国は強い国から攻められたら、弱い国の政治家が大局観をもって戦いをやめるべきという考えのようである。鈴木氏のいう大局観は「相手と喧嘩をしても勝てないから、殴られたら地べたに這いつくばって許しを乞うべき」と言うに等しく、国際社会に街のチンピラの理論を持ち込むようなものである。

 一体、鈴木氏は国家の独立や人権というものをどう考えているのか。奴隷のように生きることを拒否し自由に生きたいと願って、権力に対して命をかけて戦った市民革命の歴史、国家として他国からの支配を拒否し、命をかけて独立を勝ち取った第二次大戦後のアジア・アフリカの旧植民地の諸国の戦いをどう感じているのか。

 普遍的価値を持つ自由、基本的人権を守るのが政治家の務めであろう。こうした政治家として最も大事な部分がスッポリ抜け落ちている理由は分からないが、北方領土などロシアとの関係に利権を有している鈴木氏にとって、その既得権を維持することが政治家としての理念より優先していると思われても仕方がない。

 前科前歴をもって鈴木氏を貶める気はないが、同氏は受託収賄罪(刑法197条1項後段)、あっせん収賄罪(刑法197条の4)などで懲役2年、追徴金1100万円の判決が確定し、収監されている。公民権停止中は同姓同名の新人を当時の所属政党(新党大地)から立候補させて「鈴木宗男と書いてくれ」と訴えるなど、全く反省した様子がない。

 結局、鈴木氏は自らの利権、既得権を維持するのが最大の政治目標であり、民主主義のため、独立のため落命した人々への思いなど二の次、三の次という意識ではないかと思われる。

■ブログに集まる賛同の声

 こうした鈴木氏の主張に対し、当該ブログには、賛同の声が寄せられている。以下、抜粋する。

「今となっては、ウクライナはロシアいじめを楽しむ西側のゲームエリアであり、兵器の実験場でしかないことを、ゼレンスキーはわかってるんでしょうか。」

ミサイル攻撃を避けるためキーウの地下鉄に避難する父と娘(ウクライナ大使館ツイッターより)

「私もプーチン大統領の配慮は粋だと思います。ゼレンスキーには、わからないのでしょうか。理解に苦しみます。早く停戦して欲しいです。」

「東方教会に限らずクリスマスは主の降誕を祝う場のはずで、プーチン大統領が呼びかけたならば少なくとも停戦協議はしたらいいのだと思います。キリスト教徒ではないエルドアン大統領すら停戦を後押ししてくれているのに、戦争を続ける理由を探し続けるゼレンスキー大統領の発言は理解できません。」

 ブログの読者がどう考えるのも自由ではあるが、こうなると、カルト宗教の信者と大差ないように感じる。

■米国はプーチン大統領に懐疑的味方

 クリスマス停戦の命令の後、米国は懐疑的な見方をしている。クーパー国防次官補代理は6日の記者会見で「停戦の時間帯に入ったが、ウクライナでは戦闘が起きている。プーチン大統領の発言は疑わなくてはならない」と語った(NHK NEWS WEB・ロシア主張の“クリスマス停戦” アメリカは懐疑的な見方、2023年1月7日閲覧)。

 おそらく鈴木氏は「ウクライナが攻撃しており、ロシアが命を守るために応戦している」とでも言うのではないか。もはやロシアのスポークスマンと言ってもいい鈴木氏の発言を客観的な政治家の見解と思うことは、大きな間違いであると指摘しておく。

"宗男氏がゼレンスキー大統領を異常者扱い"に3件のコメントがあります

  1. BADチューニング より:

    2014年からのドンバス紛争(ウクライナのドンバス地方での内戦)を、ロシアが「露骨に」支援をして以来、ウクライナ正教会はロシア正教会から距離を取り始め、同じ“正教系”でも「モスクワ総主教庁系統からは独立」したウクライナ正教会の教会もある。

    ※昨年末の(キリスト教徒の)クリスマスの頃にも、『ウクライナ正教会の一部は、12/25を“クリスマス”で祝う事になった』というニュースがありましたよね?

    それにしても、『ロシア利権のムネオ』、揺るぎないw

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

       おっしゃる通り、揺るぎない利権政治屋。比例で当選している人間ですし、こうなると有権者も手の施しようがありません。困ったものです。

       この記事をTwitterで紹介したら、維新を支持するという人間から「どうおかしいのか、その具体的な根拠まで示さなければ、ただのプロパガンダメディアです。」という返信がありました。

       この本文を見て、根拠を読み取れない人間もいるというのは驚きでした。カルト信者のような支持者もいるということがあらためてわかりました。

  2. xxx より:

    鈴木宗男氏は2002年の証人喚問において
    ・島田建設からの資金提供が政治資金規正法に違反していない旨
    ・島田建設に秘書給与肩代わりに関知していない旨の証言
    ・モザンビーク共和国への国際緊急援助隊の派遣や洪水災害について、私が反対するだとか、私がどうのこうの言うということは考えられない
    が偽証として議院証言法違反で起訴された。

    秘書給与肩代わりについては、2002年3月の証人喚問では、以下のやり取りがあった。
    原口一博衆院議員「桟橋を受注した島田建設から証人(注:鈴木宗男)は秘書給与を肩がわりをされたということが報じられておりますが、(略)これは事実でございましょうか。」
    鈴木宗男「今この秘書給与の肩がわりという話が出ましたが、私もきょうの新聞報道で初めて知ったことでありまして、どういう事実関係かは、私は承知しておりません。」と証言した。

    実際には、鈴木宗男は秘書給与について証人喚問の朝に秘書給与の肩代わりを受けていたことを電話で報告を受けてことが判明し、衆院予算委員会の告発を経て東京地検に偽証罪で起訴された。

    その時の鈴木宗男サイドの弁明は、新聞には秘書給与の肩代わりについて「18年間」という文言があったので、18年間にわたる島田建設の秘書給与肩代わりの質問という認識からの証言であるので、偽証罪は有罪ではなく無罪していた。裁判所からは尋問の中には「18年間」という文言は全く出ておらず、単に島田建設から秘書給与の肩代わりを受けたか否かを質していることは明らかであり、所論のようには到底理解できないとして、この件について偽証罪で有罪をした。

    鈴木宗男擁護派は世間に結構いるし、斡旋収賄罪や受託収賄罪については検察による証人テストで想定問答集を作成していたとかあり、「検察オイオイ」と思うことはあるけれど、少なくとも島田建設秘書給与肩代わりについての偽証罪については無罪にできるとは思えないです。

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