ゴジラの方が科学的 共産党支配の学術会議
石井 孝明🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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日本学術会議の一部の人たちが、まだ騒いでいるらしい。2020年に菅内閣が学術会議会員の6人の任命拒否をし、その後に政府が改革を政府が求めたことに反発している。この会議は日本のために科学的知見を役立てることに専念してほしい。私は自分の関わった福島の放射能、原子力、安全保障でこの会議の行動を見たが、役立たずどころか「有害」だった。(元記事は&ENERGY・「役立たずの日本学術会議-福島、安保では有害」)
◆政治活動が目立つ日本学術会議
日本学術会議は、各国にあるアカデミーの日本版だ。会員任期は6年だ。政府の諮問に応え専門家による提言をまとめる。今も年間20〜30の提言を出すが、社会にそれほど影響を与えていない。同会議を日本共産党が1950年代から事実上「乗っ取り」、政府は相手をしなくなった。
科学哲学者の村上陽一郎氏が初期の学術会議を「長年ある政党に完全に支配された状態」と苦言を述べた(WirelessWire News:村上陽一郎・学術会議問題は「学問の自由」が論点であるべきなのか?)。アゴラ研究所所長の池田信夫氏が「学術会議は共産党の活動拠点だった」と解説している(アゴラ:池田信夫・学術会議は共産党の活動拠点だった)。
影響力は減ってもこの会議を使う価値はまだある。2000億円もの科研費が効率的に使われず、特に文系では研究者のふりをした左派の活動家が使い放題になっていると批判を受けている。それを指摘した杉田水脈・自民党衆議院議員は学者に目の敵にされた。
分配では学会ボスが就任することの多い学術会議の会員らの影響が大きい。共産党や政治がかった学者が学術会議への政府による介入に抵抗するのは、この理由だ。
先日もこの文系会員などが集まる「安全保障関連法に反対する学者の会」などが会見を行い、学術会議の会員などが名前を使って政府批判をしていた。そこで「学術会議潰し」と元会長が政府を批判した。
◆異様な行動3例―福島、原発、安全保障
そこで私の関わった問題と学術会議の動きを紹介したい。2011年の福島第一原発事故と、それによって漏洩した放射性物質が人の健康ににどのような影響をもたらすか。これは科学知識が必要とされる大問題になった。私は、この放射線量では健康被害は起きないこと、デマや風評被害、過度な原子力エネルギーへの依存が復興を遅らせ、社会を混乱させる危険があることを繰り返し主張した。そして2023年になってその懸念通りの問題が起きている。
問題を是正する主張を続けているが、私は「御用記者」とか「原発推進派」と今でも罵られ続けている。この言論活動に社会的に助けが欲しかったが、味方は少なかった。特に学者、学会の動きは鈍く、学術会議は何もしなかった。
日本学術会議は2011年6月に政府の諮問に応じて、会長談話「放射線防護の対策を正しく理解するために」を公表した。そこで健康被害はないことを断言しなかった。そして2016年ごろに社会が落ち着いてから、健康被害の可能性は少ないと、いくつかの報告書を出した。福島での提言の数は少なすぎ、積極的ではなかった。
私は日本学術会議の事務局や管轄する内閣府に、同会議が「福島原発問題で積極的に科学的知見を示し安全であると社会に訴える活動をするべきだったのに、なぜしなかったのか」と、取材で聞いた。しかし担当者は「やっている」と言葉を濁すばかりだった。
ある会員だった医学者よると福島問題で日本学術会議が積極的に活動すべきという声はあったという。しかし2014年ごろまで反原発の動きは感情的で過激だった。学者の多くは、そうした罵倒や攻撃的な批判に慣れておらず、騒動に巻き込まれることを恐れた。そして事務局の役人も面倒を嫌がり、動かなかったという。
◆反原発活動には積極的
一方で日本学術会議は、反原発運動には積極的だった。原子力問題では、高レベル核廃棄物の最終処分場問題が、候補地が決まらず暗礁に乗り上げた状態だ。同会議は自発的に、この問題について、特別委員会を作り報告書を作成した。「高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言 – 国民的合意形成に向けた暫定保管」(2015年4月)という報告書だ。これは問題を知る人間にとって、間違いだらけで、あまりにもひどいものだった。
報告書の結論は要約すれば「最終処分場の問題を解決できなければ、原発を停止せよ」というもの。解決しなくても、保管方法はたくさんあり、原発を止める必要はない。同会議は公的機関で露骨に反原発を主張できないので、奇妙な論理を使ったのだろう。内容はおかしいのに、この報告書は反原発を支援するメディアに肯定的に、大きく取り上げられた。メンバーの学者たちも一生懸命広報をした。
この委員会には、原子力推進の立場の学者、実務者の参加はゼロだったという。メンバーは文系の学者で反原発活動をしていた人が多かった。驚いたことがあった。高レベル放射性廃棄物は、地下400メートルより深い岩盤に埋められ、金属容器、粘土層に囲まれる予定だ。しかし文系の委員長は、新聞のインタビューで次のように語った。
「地下深くの微生物に放射線が作用してその微生物を取り込んだ別の生物が地上に出てくるなど、人間界に及ぶ可能性はいろいろ想定できる」(日本経済新聞電子版・原発廃棄物、処分法に新提言)
つまり放射能を浴びた微生物が突然変異をしてそれを食べた別の生物が400メートルの岩盤をすり抜け、地上に出て、人間に害をなすと語っているのだ。そんなことはありえない。もしこのような「エイリアン」が生まれることを大人が信じているのなら、その人は中学生の理科レベルの科学知識がないということになるだろう。
「怪獣映画ゴジラの設定の方が科学的です。日本学術会議は大丈夫でしょうか」。このインタビューを知人の原子力学者や研究者、エネルギー政策関係者のネット上のコミュニティ2つにこう言って知らせたところ、参加者に笑いと困惑が広がった。その場で、学術会議関係者である原子力学者とやりとりをした。この委員会の参加を求めたのに「中立性を保つ」という名目で断られたという。
◆加計学園は生物化学兵器の研究施設?
同じような滑稽な話がある。安全保障問題でも日本学術会議は、反政府活動に忙しい。「軍事的安全保障研究に関する声明」(2017年3月)では、日本の大学での軍事研究の禁止を呼びかけている。その中心メンバーの元会員の天文学者は滑稽な妄想を公開していた。
安倍首相の友人が経営する故に設置を政府から支援されたと一部の人々が文句をつけた岡山理科大学獣医学部(愛媛県今治市)は、生物化学兵器を研究するために作られた可能性があるという。もちろん、それを証明する文章はどこにもなく、この人の妄想だ(Huffpost・加計学園問題と新たな軍学共同)。
陸上自衛隊には化学戦部隊、化学学校や防衛医科大学などの教育・研究機関があり、わざわざ外部に新設の研究機関を作る必要はない。自衛隊をめぐる初歩的な知識があれば、誰でもわかる。
学者は、ある分野ではトップクラスの学力があっても、他の部分では子供のような妄想を抱く、ちぐはぐな思考を持つ人がいるようだ。そういう人が、政策提言を、日本学術会議を使って行っている。
私の詳しい分野で見られた3つの異様な日本学術会議の動きを紹介した。同会議は社会に必要な活動はせず、滑稽な思考をする老人が反政府の政治活動をする場に堕落している。同会議は他分野でも、同じようなことをしているのだろう。
◆反政府の科学者機関は日本だけ
科学者と政府の関係において、おかしな科学者が政策を混乱させるというのは、日本独特の現象のようだ。他国では科学者や学会は政治的に中立的で、社会貢献に配慮し、政府と協力して社会問題の解決に向き合っている。
一連の騒動で、日本学術会議を廃止、民営化しろという過激な意見もネットでは散見される。しかし私はそこまでする必要があるとは思わない。福島の原発事故問題のように、また新型コロナウイルス感染症の問題のように、科学の知識を社会が必要とする場面は、日本でまた必ず発生する。その時に、学術会議に科学と社会の橋渡し役として活動してほしい。
しかし今のように役立たない組織であったら…。
その税金を投入する価値を日本学術会議が示せないならば、存在が問われかねない。解体して使われる公金を、就職難に苦しむ若手研究者に回した方が、はるかに日本のためになる。
※元記事は石井孝明氏のサイト「&ENERGY」に掲載された「役立たずの日本学術会議-福島、安保では有害」 タイトルをはじめ、一部表現を改めた部分があります。