共産党 ”組織ぐるみ”検証へ 調布市議不正アクセス

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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日本共産党が調布市議による不正アクセス事件について、組織ぐるみであるか検証していくことを明らかにした。当サイトの取材に対し、20日までに同党が回答した。田村ゆう子市議(39)が議員用のクラウドに閲覧権限のない元市議の男性(73)に対してIDとパスワードを伝えていた事案は田村市議単独の行為ではなく、共産党調布市議団ぐるみであることを認めざるを得ない状況となっているものと思われる。
◾️共産党調布市議団から事情説明
当サイトでは日本共産党広報部に対して不正アクセス事件に関する見解などを聞く質問状を送付、設定した期限前の20日夕に回答を得た。党本部が東京都調布・狛江・府中地区委員会に問い合わせ、同地区委員会からの回答を広報部経由で伝える形式をとっている。
田村市議が元市議の男性にIDとパスワードを伝えていた事案は15日に報道で公になり、同日、謝罪の文章を自身のXに掲載した。軽率な行為であったと反省し、お詫びしているものの、詳細な事情には触れていない。(田村ゆう子 調布市議会議員 3月15日午後1時40分投稿)。投稿は党の指示によるものと考えられる。
こうして共産党は、田村市議が1人で事件を起こし、反省し、謝罪したことで一応の決着がついたというところに着地点を定めたと言っていい。そのことは、当サイトが送ったQ01~Q03、Q05の質問に対する回答からも明らかである(本件事案を「調布事案」として質問)。
Q01:調布事案について、田村議員がアクセス権限のない者にIDとパスワードを伝えて、アクセスを可能にしていたことについて、貴党の見解をお聞かせください
A01:田村議員がアクセス権限のない者にIDとパスワードを伝えた件に関しては、本人も反省を明らかにしているとおり、適切ではなかったと考えます。
Q02:調布事案について、貴党調布市議団より事情説明を受けていますでしょうか、もしくは貴党が事情聴取を行いましたでしょうか
A02:本事案については、調布市議団より当地区委員会が事情説明を受けています。
このように地区委員会が既に事情聴取を行い、田村市議の行為が不適切であったと認めている。その上で信頼回復のために地区委員会が尽力するとした。
Q03:調布事案について、調布市民の中には不信感を抱く者がいると思いますが、党としてそうした人への説明や、謝罪などの対応をする考えはありますでしょうか
A03:市民のみなさんへのご説明や謝罪などに関しては、当地区委員会として丁寧に対応したいと考えています。
Q05:このようなルール違反の再発防止のため、党としてどのように対応するお考えでしょうか
A05:再発防止のためにも、情報管理を厳格に行うことを改めて徹底します。
◾️「今後検証する必要がある」が持つ意味
党が田村市議単独行為説を最終的な結論としていたことは、同市議の当サイトへの取材対応でも明らか。IDとパスワードを元市議の男性に伝えたことは認めているが、伝えた経緯については「記憶にない」で押し通した。
①自分から「使ってください」と言ったのか、②相手から「使いたいから教えて」と言われたのか、あるいは③田村市議が逆らうことができない第三者から「元市議の男性に伝えなさい」と言われたのか、記憶にないという説明には無理がある(参照・共産党市議団 組織ぐるみで不正アクセス(後))。
伝える方法を正確に答えれば田村市議単独行為説が崩れてしまうため、経緯を知らないと主張することで組織ぐるみ説を潰そうと考えたものと思われる。
ところが、当サイトの取材に対して岸本幹事長はIDとパスワードが元市議の男性に伝えられていたことを知りながら止めることなく行為を続けさせていたとする。当サイトの「党ぐるみでルール違反をしていたわけですね」という質問に「結果的にそうなっています。そういうことですね。」と認めた(参照・同上)。
この記事が公開されたのが3月18日。当サイトは19日に共産党に対して今回の質問状を送付している。岸本幹事長が組織ぐるみを認めた後だけに、共産党としても田村議員単独行為説を押し通すことは難しいと考えたのかもしれない。このことは、4つ目の質問と回答にも表れている。
Q04:当サイトの調べで、調布市議団の岸本直子幹事長は田村市議が元市議の男性にIDとパスワードを伝えていた事実を知りながら止めず、組織ぐるみでルール違反をしていたことが明らかになりましたが、その点について貴党としては調布事案は田村市議が個人で行ったルール違反なのか、それとも調布市議団という組織で行ったルール違反なのか、どのように判断されているのでしょうか
A04:今回の事案の党議員団の関わりがどうであったかも、今後検証する必要があると考えています。
田村市議が単独で行い、単独でX上でお詫びの文章を出して一件落着させた後で、「今後検証する必要がある」とするのは同党としては異例の対応と言える。
◾️市議会の対応が影響か
共産党が事実上、再調査を約束せざるを得なかったのは、調布市議会の正副議長の毅然とした対応に影響を受けた可能性がある。井上耕志議長は「うやむやにするなどとは、考えてもいません。法律的な解釈を専門家に確認をしていただいているところです。それと同時に警察の方に相談をする態勢についても、今、どうしようかということについては検討しています」と刑事告訴を視野に入れていることを明らかにした。
また、内藤美貴子副議長も「絶対にあってはならないことです。私たちはうやむやにするつもりはありません。…仮に今回、法的には難しいとなったとしても、議会としてこの不正を『あ、そうですか』というわけにはいかないということも含めて考えています」と厳しい姿勢で、この問題に臨む決意を示した(以上、調布市議会は刑事告訴視野 共産市議不正アクセス)。
正副議長のこのコメントが掲載された記事は19日に公開された。議会の強い決意を知り、刑事告訴される可能性が高まり、司直の手で組織ぐるみであったことが明らかにされた場合の組織が受けるダメージも考慮に入れて、(もはや田村市議単独行為説での決着は無理)という決断したとしても不思議はない。
各メディアは田村市議単独行為説で事件が決着したかのように、同市議のXへの謝罪の投稿がなされたことで報道が終わっている。
しかし、共産党自身が背後関係の検証が必要と認めたことで、新たな展開が予想される。少なくとも、市議会による刑事告訴の対象として岸本幹事長が加えられる可能性が出てきたことは間違いないと思われる。