船橋市消滅に相当 急激に進む人口減少

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 厚生労働省は3日、2021年の人口動態統計(概数)を発表した。昨年の出生数は81万1604人と80万人割れが目前に迫り、一方で出生数から死亡数を引いた人口の自然減は62万8205人と過去最高を記録。これは千葉県船橋市や埼玉県川口市が全ての人が1年で1人もいなくなったのとほぼ同じ計算になる。

■15年間で大阪市と神戸市消滅に相当

日本の出生数と人口の自然増減の推移

 発表された最新の人口動態統計によると、昨年生まれた子供(赤ちゃん)の数(出生数)は81万1604人で過去最少を記録した。死亡数は戦後最多の143万9809人で、出生数から死亡数を引いた自然減は62万8205人と過去最大の減少幅を記録した。

 この数値は概数で日本にいる日本人のみ(在外邦人・在日外国人は含まず)とはいえ、概ね現在の人口の動きをとらえていると思って差し支えない。人口の自然減は2007年から15年連続となり、人口減少社会に慣れてしまっている人が多いかもしれないが、これは考えてみると恐ろしい結果である。

 自然減がおよそ63万人ということは、1年間で千葉県船橋市(人口64万6330人=2022年5月現在)がまるまる消滅するにほぼ等しい数値と言っていい。2007年から2021年まの15年間の自然減を足すと432万6785人。これは大阪市と神戸市の人口の合計とほぼ同じになる。

 21世紀になってからの出生数と自然減の推移をグラフ(日本の出生数と人口の自然増減の推移)で示したが、ご覧のように出生数(水色)は年々下がり、逆に自然減(赤)は加速度的に増えているのが分かる。

 出生数は1993年に120万人を割り込み、2016年に100万人を割るまでに23年間かかっている。ところが2019年には90万人を下回り、2022年には80万人を割ると予想され、そうなると、今度は6年で20万人減少することになる(産経新聞6月4日付け・少子化加速「重大な危機」)。

 死亡数に関して言えば、団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が高齢期に入っているのが大きい。戦後間もない時期に生まれた3つの世代では年に250万人以上が誕生しており、これは2021年の出生数の3倍以上。その団塊の世代が2022年には70代半ばに差し掛かっており、今後、さらに死亡数が増えることが予想される。

子供の数は減り続けている

 2021年の死亡数は143万9809人で、出生数81万余の1.77倍以上。近い将来、死亡数が出生数のダブルスコアとなるのは確実。「ご愁傷さまでした」が「おめでとう」の2倍という社会から明日への活力が生まれるかと問われると難しいものがある。

 目に見える少子高齢化は、冠婚葬祭時に感じることが多い。子供の頃、親戚の葬儀があると父母の兄弟姉妹が集まり、各家庭に子供がいて、わいわいと葬儀そっちのけで賑やかに話をしたものである。

 それが昨今は葬儀があっても集まるのは高齢者ばかり。子供は数えるほどしかいない。そんな時に「我々やその下の世代で葬儀をする時には集まる人がいるのだろうか」と漠然とした不安を感じた人は少なくないと思われる。

■生涯未婚率の上昇

 出生数が少ない原因の1つが男女とも未婚率が増えていることにある。50歳時の未婚率を見ると1970年に男性1.7%、女性3.3%であった。それが45年後の2015年には男性23.4%、女性14.1%へと上昇。男性は5人に1人は50歳で未婚である(内閣府・平成30年版 少子化社会対策白書 少子化対策の現状)。

 50歳で未婚の人を見る社会の目はどうだろうか。誤解を恐れずに表現するなら、大阪万博が行われていた時代には「50歳になっても結婚しない男女は、相当な変わり者」と見られていたと思われる。今ではとても口にできないが「男は所帯をもって一人前」と言われていた時代。地方には親戚の中には若者に結婚を勧める世話好きなおばさん・おじさんがいて、婚姻率アップに寄与していた。

 ところが、あたり前のように未婚男性がいる現代、個人的な感覚ではあるが社会がそうした人を見る目も変わってきていると思う。おそらく多くの人は「マイペースを貫いて生きてきたのだろう」「結婚しない人生を選んだんだね」といった感じではないか。

写真はイメージ

 実際、僕の周囲にも50歳で未婚(事実婚をしている人も含む)の男性は少なくない。それは別に珍しいことではなく、また、彼らが変わっているとも思えない。人生は人それぞれである。

 そうした価値観の多様化が婚姻する男女を減らし、少子化へと繋がる一因となっていると思われる。もちろん原因はそれ以外にもある。

 晩婚化、出産年齢の高齢化、女性が子供を産む社会的環境が整っていない、子供を産み・育てるだけの経済的裏付けがない、など。

 松野博一官房長官は3日の会見で少子化の進展について最優先で取り組むべき課題としたが、どこまで効果のある対策ができるか疑問であるし、それができていなかったから今の状況がある。

■今の若者に伝えたい結婚の魅力

 日本経済の成長が止まり、世界の中でその地位が相対的に下がっているのは大問題であるが、それは人口減少による部分は少なくない。人口減少が続けば国内消費が減少するのは当然で、経済全体がシュリンクする方向へとベクトルが働く。

 我々はそういう時代に生きていると諦めるしかないが、今の子供たちが将来に夢を持てないような社会になることは阻止したいと思う。

 可能な範囲で、若者たちに恋愛し、結婚し、子供を産み・育てる人生も悪くないことを伝えていきたいと思っている。

"船橋市消滅に相当 急激に進む人口減少"に5件のコメントがあります

  1. オーバーカッセル より:

    少子化は将来の国の衰退化に繋がるので大きな危惧を抱いている一人です。何か面倒くさい世の中になってしまったものだとも感じています。出産や子育てに大きな影響を与える女性のポジショニングが変わってしまった事、今の若者達にとって恋愛が普通ではなくなって来てしまい、結婚をしない人数が増えたり結婚の高齢化が進んでいます。時間的にも経済的にも余裕がなくなり、また子育ての煩わしさにより子供を作らない、作っても一人っ子の家庭も多いですね。

    我々の時代と何が違うのだろうか?良し悪しはともかく結婚するのも子供を作り育てるのも当たり前と考え、男は馬車馬の様に働き女はしっかり家庭を守るという感覚だったでしょうか。待機児童という単語も存在していませんでした。それが今は時代の変化で欧米化が進み女性も仕事をする男性も男女同権だから子育てを担う義務があるという世の中に変わりました。でも欧米で生活していた私にとってとっても大きな違いを感じます。うまく説明は難しいのですが、例えば欧米では働き手側にも職場側にも時間的な余裕や子育てに対して自然に理解する風土があってストレスは比較的少ない様に思います。男性の私もアメリカ駐在時代には子供の学校に頻繁に出入りして先生達との話し合い、学校行事への参加も当たり前に行っていました。

    日本だと働き方改革とか制度や各種の仕組みが形式的に作られていて実際の生活感との乖離が大きいのではないでしょうか。個人の権利や義務とか主張し合うのではなく、もっと自然な形でお互いを尊重し合いながら気持ち良く人間関係を形成したり子育て、子育て支援の出来る社会になってもらいたいものです。

    残念ながら今の日本では政策を作る側の方々自身が全く余裕がない(身を削る生活を強いられている)ので、頭でっかちな結果になってしまうのでしょう。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

       生涯未婚率を見ると、半世紀で人々の結婚の認識が全く異なるのがわかります。1970年には男性1.7%、女性3.3%でしたが、2020年には男性で25.7%、女性で16.4%です。男性の4人に1人は生涯結婚しないわけでして、「男は所帯をもって一人前」という価値観が崩壊し、多様化が進んだことが少子高齢化に大きく影響していると感じます。

      >>個人の権利や義務とか主張し合うのではなく、もっと自然な形でお互いを尊重し合いながら気持ち良く人間関係を形成したり子育て、子育て支援の出来る社会になってもらいたいものです。

       おっしゃる通りだと思います。特に権利ばかりを主張し、公共の福祉に頭が回らない人々の存在が社会を空虚なものにしているように感じます。

       結婚することはさまざまなものを背負い込むことでもあり、それから逃れるのは一時的には気持ちが楽というのはわかる気がします。それも個人の考え方ですが、そういう考えを含め多様化が進んだのが今の状況だとしたら、そこを改めて行くのは有効な対策の1つと言えるかもしれません。

       コメントをありがとうございました。

      1. オーバーカッセル より:

        松田さん、コメントありがとうございます。

        昨今はSNS等の発達もあり直接のコミュニケーションの欠如も大きな要因かも知れませんね。最近は大手企業でも新入社員の「あいさつ研修合宿」が行われていたり時代の変化は我々が考えている以上だと思います。

        一方で「良い子症候群」等、一見すると知識も常識もある様に見えても本質的な部分で自分の意見を持たない、表現出来ないという社会現象もあるとの事。男女関わらず変な事件も増えて来ていて、これも何かの歪みが原因の様に感じます。

        家庭、学校、社会のそれぞれで自然な形で人と人が触れ合い尊重し合いながら生活を楽しむ土壌が育っていって欲しいと切に願っています。 自分で出来ることは目先の現実社会の中で一つ一つこなしていくのみですが…笑

  2. 向日葵 より:

    》可能な範囲で、若者たちに恋愛し、結婚し、子供を産み・育てる人生も悪くないことを伝えていきたいと思っている。

    私も悪くはないと思います。でも、すごく良いものだとは伝えられない。
    私には娘がいますが、一人っ子なので、本人は選択的夫婦別姓を希望。
    それが叶わない現状で法律婚をする気は無いようです。法的に夫婦でない関係で子供を持つことは子供に対して無責任だと考えているようです。
    恋愛だけで終わるのか、子供無しの事実婚にするのか、親としては娘の生き方を尊重するつもりです。本人が幸せであれば、それが一番です。
    私の昔語りをさせて貰えば、女性は結婚した途端に出産を急かされます。無事出産すると次の出産を急かされます。婚家の家風は3人産むのが嫁の務め。その務めを果たせなかった私は、いまだに半人前扱い。義父母は老後の世話は嫁の義務と考える世代。施設に入る気などさらさら無し。
    若い人達が、結婚にシビアになるのも理解出来ます。姻族との付き合いは男女共に煩わしいと感じるかもしれません。老人も価値観を変えるべきだと思います。うちの義父のように肩書きが無くなって威張るところが無いせいか、役所に文句を言ったり、カスハラをするのは見苦しいです。
    子供を産まない人には年金支給するなーなどと馬鹿げたことを言う人もいるようですが、女性が子供を産むのが義務みたいな考え方には賛成出来ません。生き方はそれぞれですし、独身者は納税で社会貢献しています。
    なんだか、息苦しい世の中になりましたね。

    1. ピンクパンサ- より:

      >うちの義父のように肩書きが無くなって威張るところが無いせいか、役所に文句を言ったり、カスハラをするのは見苦しいです。

      私の父も同じです。脳の老化で感情抑制が出来なくなるようです。
      こういう暴れる系老人が増えて来たことでも高齢化社会を実感します。ネットで誹謗中傷するのも喧嘩売るのも中高年が多いとか。こういう人らを介護するのは大変です。共稼ぎしないと暮らせない時代で子育てだけでも大変なのに、介護も嫁の務めだなんていつの時代の話をしてるんだか。子どもが欲しいと思う若者が安心して子どもを産み育てられるよう、当事者の切実な願いを理解出来る若手の政治家が増えることを願います。

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