auで大規模通信障害 13時間以上通話不能
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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au携帯電話およびUQ mobile、オンライン専用プランのpovoが7月2日、全国的に音声通話もデータ通信も利用しにくい状況となっている。同日午前1時35分から始まった障害は、13時間を超えても復旧のメドが立っていないという。昨年10月にはNTTドコモが大規模通信障害を発生させたが、KDDIサービスでこのような大規模な障害は過去に例がないと思われる。
■auなど約3100万回線
KDDIでは2日午前1時35分から始まった通信障害について、HPで随時「au携帯電話サービスがご利用しづらい状況について」と題するお知らせを出しているが、2日午後3時のお知らせでも「…通信サービスが利用しずらい状況が発生しております。現在、復旧作業に努めております」という変わらぬ文言が公開されている(KDDI・(7月2日 15時00分現在)au携帯電話サービスがご利用しづらい状況について)。
au・UQ mobile・povoの回線契約数は今年3月末現在で約3100万回線。総務省はKDDIに早期復旧を指示した(産経新聞電子版・KDDI大規模通信障害 総務省は早期復旧を指示)。
実は僕自身がauのユーザーであり、今回の大規模通信障害の直撃を受けた。2日午前中に散髪に行こうと思い、ずっと通っているバーバーに電話をしたが、発信するとすぐに「接続できませんでした」というメッセージが出て、何度やり直しても掛からない。相手が通話中なのかとも思ったが、他の場所にも電話が掛からないため、ようやくauの不具合であることが判明した。
結局、ここ2、3年使用していなかった自宅の固定電話を利用して散髪を予約しなければならない羽目になった。自宅内はWi-Fiでネットにアクセスできるが、外に出るとネットも全く機能しない。家族との連絡は通常、LINEを利用しているが、それも使えない。「通信サービスが利用しずらい状況」どころか、全く利用できない状況である。
散髪の後でauショップを2店舗訪れたが、どちらも入口に大規模通信障害の状況が張り紙でお知らせされていた。店員に聞くと「復旧のメドは立っておりません。誠に申し訳ございません」と、マニュアル通りなのか同じ説明と謝罪をするのみであった。
幸いにも僕が訪れた2店舗は客が必要以上に押し寄せることもなく、静かな雰囲気を保っていた。利用者としては文句の一つも言いたくなるところではあるが、ショップの店員さんに文句を言ったところで不具合が解消されるわけでもない、ということをユーザーも分かっているのであろう。そのあたりは日本人も冷静に考えていると言っていいのかもしれない。
■総務省令の「重大な事故」
今回のような事態は法的にはどうなるかと言えば、電気通信事業法28条に「総務省令で定める重大な事故が生じたときは、その旨をその理由又は原因とともに、遅滞なく、総務大臣に報告しなければならない。」とある。今回の障害が「重大な事故」にあたるかどうかは、電気通信事業法施行規則58条に規定がある。
それによると、au携帯電話は「緊急通報を取り扱う音声伝送役務」であり、その場合、利用者の数が3万人以上で、障害の時間が1時間以上であれば、重大な事故になるとされている(同規則58条1項及び、同条下欄の表1号)。
au携帯電話はシェア27.0%で、契約者数は約6100万人とされているから、利用者数は軽くクリア。発生から13時間を超えても復旧がなされていないため、文句なく重大な事故となる。そうなると、後日、総務大臣に理由と原因を報告しなければならない。一体、どんな理由・原因なのか、はっきりと伝えていただきたいものである。
ちなみにNTTドコモの2021年10月の大規模通信障害については、発生から完全復旧まで約29時間かかり、影響を受けた人数は延べにして1290万人に達したと同社より発表されている(音声通話は約460万人)。当然のように総務省は上記の法令上の「重大な事故」と判断し、報告書の提出を受けている。
それによると通信障害の原因はIoT(Internet of Things)の端末を制御するサーバーの不具合であり、「サーバーの切り替え工事中に発生した不具合を直すために設備を戻したところ、IoT端末から大量の情報が流れ込むなどしてネットワークに負荷がかかった。」(日本経済新聞電子版・ドコモの10月通信障害、延べ1290万人に影響)とされた。結局、サーバーが負荷に耐えきれなかったという、ごく初歩的なミスが原因であったと思われる。
■命に関わる重大事故
今回の不具合で何らかの被害を受けたという会社、個人は後からKDDIに損害賠償を求める可能性はある。今回は土曜日のため株式市場は開いていなかったが、もし、平日であれば株式のデイトレーダーなどはスマートフォンをかなり使っていると思われ、本来、儲けが出るはずだったのに手にできなかった、あるいは早めに売りたかったのに、それができずに損が出たなどを主張してくることはあるかもしれない。
それも大変なことであるが、それ以上に深刻なのは、国民の生命に関わりかねないということ。たとえば、自動車で事故を起こした時にすぐに救急車を呼ぶことができない、警察にも連絡できない。周囲に人がいれば、ドコモユーザーであれば連絡してくれるかもしれないが、明け方に郊外で発生した事故で周囲に人がいない状況であれば本来救える命だったものが、救助できなくなってしまう可能性がある。そのため「緊急通報を取り扱い音声伝送役務」での重大な事故の認定が厳しくなされているのであろう。
ネット環境の進化で我々の生活は便利になっているが、システムが大掛かりになればなるほど、この種の事故は防ぐのが難しくなるのかもしれない。auには原因をしっかりと突き止めて、再発防止に努めていただくしかない。
携帯”電話”なのに本文である通話ができないのは痛かったな。救急呼べないもんな。
ネット使えなくても今すぐ命に関わる事案にならんし。
利用者さん、早く復旧するといいね。