慶大の子宮移植研究に反対の人に反対する
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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慶應義塾大学の子宮のない女性が出産できるように第三者の子宮を移植する臨床研究チームは25日、学内の倫理委員会に実施計画を申請したことを公表した。これが毎日新聞のスクープ記事として流れると、Twitterなどでは主に女性と思われる人々から反対の声が多くあがった。子供を諦めた女性に出産できる道を開く研究に、女性が反対するというのもよく分からない状況ではある。
■SNSであがったさまざまな反対の声
報道によると、慶大のチームは25日に国会内での超党派議員連盟の会合で実施計画の申請を公表した。子宮の提供者は母親などの親族を想定。ただし、提供者のリスクも大きいなど倫理的課題が多いため、将来は脳死提供者から移植できるように関係法令の改正を提言している(神戸新聞NEXT・慶大、子宮移植研究の申請公表 将来の脳死提供を提言)。
実はこの話題は毎日新聞が24日にネット上で公開しており、チームの木須伊織助教授の「動物実験などを通じ、技術的には問題はないと考えている。ようやく日本でも子宮のない女性の希望をかなえられる段階にきた」というコメントを紹介している。順調に進めばチームは2023年度にも移植手術を行うという。予定では3例で、生まれつき子宮のないロキタンスキー症候群の女性や、手術で子宮を摘出した女性が対象。夫がいることが条件で子宮提供は母親など親族に限るとしている(毎日新聞電子版・子宮移植、慶応大が計画申請 承認されれば国内初の実施へ)。
毎日新聞の記事には書かれていないが、子宮がない女性でも卵巣があれば卵子は採取できる可能性があるため、夫の精子を受精させて受精卵をつくれば、夫婦の遺伝子を受け継いだ生物学的にも「我が子」と言える子供が誕生できる。そして、日本の民法は出産した女性が母親であるとの前提に立っていることから、代理母のように遺伝学的には自分の子であっても嫡出子と認められないという事態は回避できる。
このニュースが流れると、SNSでは否定的な声が多く湧き上がった。その主な趣旨は以下のようなものである。
★<提供側のリスク>
・子宮を提供する側のホルモンバランスが崩れるのが心配
★<倫理的な問題>
・倫理に反する。神の領域であり、人間の尊厳を踏みにじる
・代理出産と同じ結果なのに、臓器移植をしてまで自分で出産したいというのは強欲
・金持ちは子宮も奪うのは怖い
★<社会への反発>
・女を産む機械にしたい意思を感じる
・どうせこういうのをやろうとするのは男
・アフターピルなど産まない権利は与えず、産む権利だけは推し進める日本は狂っている
・出生主義、出生賛美社会は恐ろしい
もちろん、賛成する声もあったが、反対の大きな声の前にかき消されるような状況である。
なお、慶大のチームが計画案を日本産科婦人科学界などに提出した際などには各紙取りあげており、産経新聞は社説で「生まれてくる子供への影響、子宮の提供者への影響も分からない。国民的な議論も深まっていない。技術的にできることと、医療で行うことは違う。慎重な対応を求めたい。」と否定的な姿勢を取っていた(産経新聞社説2018年11月19日・子宮移植 十分な議論を尽くしたか)。
朝日新聞も似たようなもので、「臓器を提供する側(ドナー)に重いリスクを負わせることの是非はもちろん、検討すべき課題は多い。今後も透明性を確保したうえで、慎重に歩を進める必要がある。」(朝日新聞社説2021年7月24日・子宮移植 課題解決 透明性もって)と、慎重な姿勢を強調していた。
■ロキタンスキー症候群の女性の言葉
実はこの子宮移植制度については、僕が教壇に立つ学校(専修学校、いわゆる専門学校)では既に2、3年前から授業で扱っている。その是非は学生たちの判断に任せているが、やはり僕自身の賛否は学生に示すべきであるから、自分なりの考えを明らかにしている。
個人的には賛成である。その理由の1つが、あるロキタンスキー症候群の女性の言葉。子宮移植についてノルウェーVG紙がリザさんという同症候群の女性の話を紹介した。
「小さい頃は普通に女の子のように感じていました。でも診断を受けて、自分は他の女性とは違うと思うようになりました。生理がない。セックスも難しい。自分の子どもを授かれない。他の女性たちと同じような思春期にもならなかったから。…成熟した女性になれたとは感じていないんです。自分の体が他の女性たちから置いて行かれたように感じていて…。子宮移植が可能になればとてもすごいと思ってます。私は多分もう間に合いませんが、後に続く女性たちの多くがそういう機会に恵まれることを期待しています。」(nexdsd JAPAN・子宮を失った状態で生まれて)
こうした女性を救う手段の1つが子宮移植である。当然、それに反対する声があるのは理解している。前述したSNSでの反対意見に対しては以下のように考える。
★<提供側のリスク>→純医学的な問題であり、技術力を高めることでリスクは軽減できる。
★<倫理的な問題>→たとえばデザイナーベビーのような自分好みの外見を持つ子供をつくったり、命の選別につながったりする行為とは異なり、臓器移植の範囲内。臓器の持つ固有の役割を移植という方法で他者に与えるものであり、他の内臓移植との大きな違いはない。
★<社会への反発>→子宮移植はあくまでも子供を産みたい女性、希望する女性が利用するもので、ドナーも基本的にリスクを覚悟して提供しているのであり、そのような女性の救済制度は(女を産む機械にしたい意思)とは全く別のもの。産まない権利は確かに刑法で堕胎罪(212条)が定められていることなどから制約があるように見えるが、そもそも一定の要件下で人工妊娠中絶が認められており、堕胎罪の存在が直ちに産まない権利を制約するものではない。アフターピルも同様である。
何より、子宮移植は出産を望みながら、肉体的な制約で不可能な女性を救うためのものに過ぎず、不特定多数の女性に臓器提供や出産を強要するものではない。希望者がリスクを覚悟した上で実施されるものであるから、それを希望しない人がやめさせる権利などないと考える。
■代理出産制度の合法化
子宮移植の最大の問題は医学的なリスクであろう。この問題は簡単ではないが、こうしたリスクを回避するためには代理出産制度を合法化することが考えられる。
代理出産はプロレスラーの高田延彦氏とタレントの向井亜紀氏夫婦が利用したことで知られている。向井さんは第一子を妊娠した際に子宮頸がんが見つかったために妊娠継続を断念して子宮を摘出。その後、代理母を利用して二人の遺伝子を受け継ぐ子を授かることを求めた。日本では認められていないことから、米国に渡り米国人女性と代理出産契約を締結。2003年11月28日に夫婦の遺伝子を受け継ぐ双子の子供を授かった。
ところが、生まれた子らは夫婦の嫡出子として認められなかった。夫婦は司法に救済を求めたが、最高裁は訴えを認めなかった。「懐胎し出産した女性が出生した子の母であり、母子関係は懐胎、出産という客観的な事実により当然に成立することを前提として規定を設けている(民法772条1項参照)」(最高裁決定平成19年3月23日)という基本原則を示して訴えを退けた。結局、双子は夫婦の養子という法的な処理がなされたと聞く。
日本では現在、代理出産が認められていない。仮に現在、子宮のない日本の女性が自分の子供を持とうと思えば、米国など代理出産が認められる国に渡って制度を利用するしかない。その費用は数千万円とも言われ、普通の人が出せる金額ではない。
子宮移植もかなり高額な医療費が予想されるが、健康保険を適用させれば一般の人でも何とかなるレベルに落ち着くことが考えられる。もちろん、それは代理出産も同様である。この代理出産が現行法で認められない以上、子宮移植を合法化するのが困っている女性を救う早道であろう。
前述の向井さんの最高裁決定は、訴えを退けた後に、以下の判断を示している。「遺伝的なつながりのある子を持ちたいとする真しな希望及び他の女性に出産を依頼することについての社会一般の倫理的感情を踏まえて、医療法制、親子法制の両面にわたる検討が必要になると考えられ、立法による速やかな対応が強く望まれるところである。」(最高裁決定平成19年3月23日)。
最高裁も自分の子供が欲しいと願う女性の思いを尊重し、医療法制、親子法制の検討が必要としているのである。
■神の領域と決めることの危うさ
子宮移植制度を論じる時に、「女を産む道具と考えるな」といった類のヒステリックな議論が出てくるのは残念というしかない。
そうした女性は、ロキタンスキー症候群のリザさんの言葉をどう感じるのか聞いてみたい。
医療と倫理は非常に難しい問題ではあるが、生命に関わる部分は神の領域で一切、手を加えるべきではないとする考えを突き詰めれば、救いを求める女性を見殺しにすることに繋がることをよく考えてほしい。
「女性の敵は女性」とならないことを願っている。
臓器移植は難しい問題ですね。
ただ、どうしても出産したいという方に、その道を選択できる方法を作ったという点では、画期的な事だと思います。
ただ、どんな臓器でもそうですが、ことに子宮は、左右二つある臓器と違い、一人ひとつしかない臓器ですから、自分がそれを手に入れるということは、誰かが永遠に子宮を失うということです。
その不可逆性を鑑みて、強制的に提供させられる被害者が出ないための法整備と、基本的には脳死患者からの提供に限る、などの制約は必要かと思います。
あとは提供者と貰う本人への入念なカウンセリングでしょうかね。
ある女性が友人Aさんから臓器を貰って健康になったのに、
「私の友達はBさんだけ」
との発言をして、なんという恩知らずな発言かと大問題になった、というニュースがありましたので。
臓器提供者が自分の知り合いとなると、その後の人間関係を良好に保つことはかなり重要ですし、こういった無神経発言は後々まで影響します。逆に、提供者と本人のあいだに歪な上下関係が出来てしまわないかどうかなど、定期的な精神面のケアが必要だと思います。
子宮移植に反対
子宮移植を簡単に容認してしまったら、そこからいろいろな問題が派生することが予想できます。
生物学的に男性のトランスジェンダーが「私は女なんだから子宮移植の権利がある」と主張したら、論理的には認めざるを得ないということです。
また、生物学的に女性のトランスジェンダーから摘出した子宮を希望者に移植するなんてことも予想できる問題です。「男の私にとって子宮は無価値で無駄な組織にすぎない。不要な物を必要としている女性に譲渡することに第三者からとやかく文句を言われる筋合いはない」というわけです。
どれも個別に対応できる問題です。
それを理由にロキタンスキー症候群で悩む人の解決策を閉じる理由とはなりません。
道理的には認めざるを得ないから反対
と言うが認めると何か社会にとって誰かにとって不都合があるのでしようか?
不愉快だから反対、程度では説得力が弱いですし、生物学的女性と競合する、と言う話ならそもそも移植を認めなければどちらも可能性が無いし、生物学的女性を優先する、あるいは提供者側の意見も参考にする、と言った対策は可能
提供側の意思ならば、医師がリスク判断して問題ないならこれも何も問題が無い
>>アフターピルなど産まない権利は与えず
これってなんのこと言ってるですかねー?
ネットでのお薬サイト検索すると
アフターピル一錠2000円弱で売ってたりするんですが
検索もできない人達なんですかね