江戸時代感じたくて”墓地ツアー” 今や明治も遠く
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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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1か月近く前にアップした記事が、9日から急激にアクセス数を伸ばしている。1月14日に公開した「明治生まれ国内10人 出生時に新選組永倉新八存命」の記事で、10日午前7時の時点でPVは20万に達する勢い。1万を超えれば十分という当サイトにとっては異例の大ヒットと言える。
◾️筆者が子供の頃は江戸時代生まれも存命
サイト運営のために毎日、前日のPVを管理画面で確認しているが、昨日9日は数字が一桁多く、(あれ?)という違和感を覚えた。サイトの人気記事ランキングを見ると、1か月近く前にアップした「明治生まれ国内10人 出生時に新選組永倉新八存命」の記事が1位になっており、4位までをそれに関連する記事が占めていた。
何で今頃「明治生まれ…」が読まれているのか理由が分からず、Xで「明治生まれ」で検索してみると、当該記事を引用したポストに凄まじい数のインプレッションがあるのが確認できた。10日の午前の段階でインプレッションはおよそ800万。記事を引用してくれたのは拾萬字鏡(じゅうまんじきょう)というアカウント名の方で、「とうとう指を折って数えられる人数になったか…」という文章が添えられている(拾萬字鏡氏 2025年2月9日 0:12投稿)。
この記事はもともと、2024年末に当時世界最高齢だった糸岡富子さんが116歳で亡くなったことに関連して明治生まれは最低でも112歳であり、既に男性は明治生まれの方は1人もいないことなどを書いたことに端を発する。筆者が子供の頃は江戸時代生まれの方が数名存命であったが、21世紀の今、明治生まれの方がかなり少なくなっているのは明らかで、一体、どれぐらいの人がご存命なのかと検討した(参照・明治生まれで存命は日本に何人?最低でも112歳)。
共同通信が取材を試みたところ、「国勢調査を担当する総務省は明治生まれのみの人口は集計しておらず、現状で国内に明治生まれが何人いるのかは分からなかった。」(47NEWS・明治生まれは無料で入れます…でも実際にいるの? 帝国ホテル玄関に新千円札・北里柴三郎の研究所も、「本物」展示にこだわる愛知・明治村の魅力に迫る)とのことであり、手掛かりは少なかった。
しかし、高齢者の方のニュースはネットに多く出ており、その結果、明治生まれの方は沖縄県に1人、鹿児島県には1人もいないということが判明。両県の人口を合わせた300万人の中で明治生まれは1人ということから、日本全体の人口に照らし合わせるとご存命の明治生まれは40人乃至80人ほどではないか、という推測を紹介した。
◾️たどりついた米サイト
ところが、その後、日本人の長寿ランキングが分かっているという方からコメントをいただき、最終的に米ロサンゼルスなどを拠点にする老年学研究グループ(Gerontology Research Group =GRG)という非営利団体が運営するサイトに辿り着いた。
同サイトには世界110歳以上長寿ランキング(World Supercentenarian Rankings List)が掲載されており、日本人名で日本在住の方の名前と生年月日、現住地等が英語で記載されたものが確認できる。現在、ブラジル在住の方を含め、明治生まれは11人、国内在住に限れば10人ということが判明した。
そこでその11名の方の名前を検索してみると、地方紙などのサイトで長寿の方のニュースとして11人全員が取り上げられており、名前の表記をそれに合わせて一覧表を作成した次第である。ちなみに最高齢の林おかぎさん115歳の「か」はいわゆる変体仮名(可が元になっている「か」)であったようで、NHKではそのように紹介されている。
拾萬字鏡氏のポストには「こんな一覧表をつくって個人のプライバシーはどうなっているんだ」という類の返信も見受けるが、全員の長寿に関する記事として公開されており、公になることを本人も承諾しているため、そうした批判はあたらない。
それはともかく、最高齢で115歳という凄さをどのように伝えるかを考え、同世代の人の名を並べてみたが、たとえば上原謙氏(加山雄三さんの父)と書いても、どうもピンとこない。そこで林さんが生まれた時に存命だった歴史上の人物を並べることにして、徳川慶喜、(暗殺される2か月ほど前の)伊藤博文などの名を挙げた。特に江戸時代に活躍した人がインパクトが強いということで、新選組の永倉新八をピックアップして見出しにしたという経緯である。
◾️江戸時代の元号に”萌えた”日々
筆者は1961年(昭和36)生まれ。前述したように子供の頃は江戸時代に生まれた人が数名であるが存命であった。明治100年と呼ばれたのが昭和43年(1968)であるから、それも当然のこと。120歳まで生きたとされる泉重千代さん(1865年ー1986年、その後、生年について疑義が生じた)がいた。確実に江戸時代生まれとされた河本にわさん(1863・文久3年ー1976・昭和51年)も存命であった。
筆者は中学生の頃、夏休みになると近くのお寺の墓地を訪れ、藪蚊に刺されながら多くの墓石を見ていた。目的は「江戸時代を感じること」。墓石には江戸時代の元号、特に末期の慶応(1865-68)、文久(1861-64)などが当たり前のように刻まれている。元治(1864-65)、万延(1860-61)は2年もなかったせいかあまり見かけず、安政(1855-60)になると増えるといった感じであった。嘉永(1848-55)、弘化(1845-48)、天保(1831-1845)頃までは見つけられ、文政(1818-1831)あたりが限界であったように思う。
墓石に掘られた元号を見ると、亡くなった人を埋葬し、石屋さんが墓石を彫っている姿が想像され、江戸時代にタイムスリップしたような、軽い恍惚状態と言うべきか、今でいう”萌え”の状態になっている自分を感じていた。そうした背景もあり、明治生まれのご長寿の話も是非とも記録に残しておきたいと思って記事にしたという部分がある。
筆者が墓石巡りをしていたのが1970年代初頭から半ば。当時、テレビで「ルパン三世」(第1シリーズ)が放映されていた。後年、たまたま見返した際に、第8話の「全員集合トランプ作戦」(1971年12月12日放映)での峰不二子の「今から150年ほど前、ナポレオンは…」という趣旨のセリフに衝撃を受けた。
ナポレオン・ボナパルトが死亡したのが1821年であるから、放送当時からすれば150年前で間違いない。1970年代初頭は、完全な歴史上の人物であるナポレオンを50年刻みのスパンで論じる時代であったことにいたく感銘した。今(2025年)なら、そのセリフは「今から200年ほど前…」となるはず。
◾️筆者が描く夢
2025年は、終戦から数えて80年にあたる。大正生まれすら最も若くて98歳という時代、明治はもう歴史の1ページになりつつある。
明治生まれのご長寿にお願いしたいのは、是非とも、生まれたばかりの子を抱いた写真を撮影することである。2025年生まれの子の多くは22世紀に到達する。明治生まれの人、徳川慶喜、永倉新八が生きていた時代に生まれた人が、22世紀の高齢者と一枚の写真に収まっていたら、感動的ではないか。そんな妄想をして、つい表情を緩める筆者は、やっぱり普通ではないなと思う(笑)