真実語った宮田笙子選手”最高刑” 五輪辞退の無情
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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体操のパリ五輪代表で、日本チーム主将の宮田笙子選手(19=順大)が19日、代表を辞退した。飲酒と喫煙を行い、日本五輪委員会(JOC)の派遣規程及び日本体操協会の「日本代表選手・役員の行動規範」に違反したため。違法な行為があったとはいえ、その代償が代表辞退というのはバランスを欠く上、違反した事実を認め、真実発見に協力したことで代表辞退に至っており、正直者がバカを見る結末には釈然としない部分が残る。
◾️行動規範と派遣規定に抵触
この日、会見した日本体操協会の藤田直志会長、西村賢二専務理事らは宮田選手が6月末から7月にかけて都内で1度喫煙し、同時期にナショナルトレセンのアスリートビレッジ居室内で飲酒したことを明らかにした。
そのことが同協会の行動規範等に抵触するため、本人と話し合って代表辞退に至ったと説明した(時事通信映像センター・宮田、パリ五輪代表辞退 19歳、飲酒と喫煙発覚 体操女子)。
宮田選手は以下の法令に違反したことが明らかになった。
【二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律】
第1条 二十歳未満ノ者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス
【二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律】
第1条 二十歳未満ノ者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
この2つの法に反した行為は、以下の行動規範、派遣規程に抵触することになる。
【日本体操協会 日本代表選手・役員の行動規範】
<基本方針>
1、日本代表選手・役員は日本国民を代表するにふさわしく、礼儀と規律を遵守し、社会の模範となるべき選手・役員であること
<行動規範>
1、違法行為は行わない
2、日本代表選手・役員としての名誉と信用を損なうような行動、発言をしない
【日本五輪委員会(JOC)国際総合競技大会派遣規程】
第4条 本会により認定された選手等は、日本並びに開催国及び開催地域・ 都市の法令を遵
守しなければならない。
五輪代表選手は上記のような代表選手として社会の規範となることを求められている。それに違反したのであるから、本人が本当に自分の意思で代表を辞退するというのであれば、それはそれで仕方がないことではある。
◾️代表辞退に残る2つの疑問点
宮田選手は5月のNHK杯で代表に内定し、その瞬間から体操協会の行動規範、JOCの派遣規程は意識すべきであった。さらに主将の大役を任されているのであるから、飲酒と喫煙という法令に反する行為をしたというのは五輪選手としての意識があまりに低い。規範、規程に反する行為があり、代表辞退は当然という声も理解はできる。
しかし、今回の決定に関しては①規範、規程に反したことに対して代表辞退という事実上の最高刑と言えるペナルティが行為に見合っているのか、②正直に違反行為を申告した選手に対して”最高刑”をもって臨むことの不合理性という点は考えなければならないと思う。
①に関して考えてみよう。20歳未満で喫煙・飲酒という2つの法令に違反する行為に対しては罰金も過料もなく、行政の処分としてタバコや酒を没収しまたは廃棄するとのみ定められている。そのような軽微な違反に対して、体操という選手寿命が比較的短い競技で五輪代表を辞退しなければならないとすれば、犯した行為とその代償が著しくバランスを欠く。
今回の体操日本代表は全員が10代で、宮田選手は牛奥小羽(うしおく・こはね)選手と並ぶ最年長。次回のロサンゼルス大会には23歳になっており、常識的に考えて代表入りは簡単ではない。4歳から体操を始め、五輪出場を目標に19年の人生の大半を費やしてきたと思われる。夢がかなったところで、短期間に行った飲酒と喫煙で全てを失わせる判断をした体操協会の幹部の考えに合理性があるとは思えない。
もちろん、成人である宮田選手本人が辞退した、自分で「五輪には出ない」と決めたのであるから、その意思は尊重されるべきである。しかし、体操協会の事情聴取に応じて話し合って辞退の結論を出した経緯からすれば、本当に自分の意思であったのかは分からず、協会が主将からおろす、開会式には出場させない等の処分をした上で「今回は出ろ」と言えば出場した可能性はあり、また、そうすべきではなかったのか。
◾️もし宮田選手が否認していたら
続いて②について論ずる。仮に宮田選手が飲酒と喫煙の事実を最後まで認めなかったらどうなったのか。7月15日に内部通報があり、それで事案が発覚したとされているが、協会はその時点では確証は掴めていなかったようである。
体操協会の藤田会長は会見の中で、事実の正確な把握について「それは大変難しい行為であります。私たちが一概に確認するのではなくて、本人も交えて、よく思い出していただきながら、事実がどうだったのかという、正確な判断をしなければいけない。その限られた時間の中で、できるだけお互いで確認ができる話し合いを実施しました」と語っており、宮田選手が真実を明らかにしたことで、事実を確認できたとする。
また、西村専務理事も「(宮田選手は)かなり憔悴した様子でした。しかし、気丈にもしっかり話をしていただくことができました。規則という重みを宮田選手は理解をしておられて、なおかつ、自分の行為に対して真摯に向き合う姿勢、私としてはひどく印象的でありました。さすがだな、という印象も持っています」と調査に対して真実を述べて、自らの責任を痛感していると思われる状況を説明した。
このように、宮田選手の真実の吐露と真摯な反省があったから、違法な行為を客観的な事実として確定することが極めて困難な事例において確定することができたのは間違いない。
協会も確証がなければ代表権の剥奪はできなかったはず。仮に宮田選手が事実を認めなかったら、パリ五輪に出場することになったであろう。ところが、事実を素直に認め真摯に自分の行為に向き合った結果、宮田選手は全てを失ったのである。
◾️イソップの金の斧と異なる結末
イソップ寓話の「金の斧」の話はご存じであろう。正直者のきこりが川に自らの斧を落としたところ、ヘルメース神が現れて金の斧を持ってきて「お前が落としたのはこの斧か」と聞くと、きこりは「違う」と答えた。次に銀の斧を持ってきた時も「違う」と答え、最後に自分の斧を持ってきたヘルメース神に「それが私の斧です」と答えた。感心したヘルメース神は3つの斧すべてをきこりに与えたというストーリーである。
今回の宮田選手は正直に「それが自分の斧です」と答えたのに、ヘルメース神から「やっぱりそうか。自分で斧を落とすという過ちを犯したから、全て没収ね」と言われたに等しい。これに納得できる人がどれだけいるのか。
全てを明らかにして反省する宮田選手を「さすがだな」とまで思ったのなら、なぜ、「主将を剥奪、開会式への出場は認めない。反省しろ」と言ってパリ五輪に送り出せなかったのか。行為と刑罰のバランス、自白によって事案が解決したこと、真摯な反省が認められる状況で、事実上の最高刑を科したに等しい体操協会のやり方には異議を唱えたい。
何とも後味の悪いニュースですね。
なぜこのタイミングで内部通報されなくてはいけなかったのか?ドーピングなら話はシンプルですが飲酒喫煙でオリンピック参加出来ないと言うのはグローバル基準で考えると理解不能、フランスでは飲酒喫煙は18歳で可。
良い悪いはともかく、ガラパゴス的なルールにも矛盾を感じますね。100歩譲って違反した時のペナルティも明記しておくべきだった様に感じます。
飲酒と喫煙でオリンピック日本代表(主将)を辞退とは、とても不名誉で、宮田選手の選手生命を奪うこととなったのではないのか?日本体操協会は辞退の理由を「個人の一身上の都合」とだけ発表することはできなかったのか?宮田選手は体操で順天堂大学へ入学しているので、体操の選手生命がなくなった者が大学へ在学しつづけるのは難しいだろう!
「内部通報」から、今回の日本体操協会の処分(宮田選手を納得させた上での辞退だか実質処分であろう)に至ったが、これは鹿児島県警の前生活安全部長の「内部告発」や兵庫県庁の前西播磨県民局長の「内部告発」を、鹿児島県警本部長も兵庫県知事も軽く考え、懲罰的な処分を下したが、大騒動となってしまったのを、日本体操協会は見て、今回の厳しい処分・発表となったのではないのか?
批判されそうですが、私は特に異議はないですね。これくらいでもおかしくはないと思います。
むしろ、違反時の罰則規定を定めておいてもいいくらいかと。
飲酒と喫煙をしないという、きわめて簡単なルールすら守れない人が、他の競技などのルールをちゃんと守れるのかというのもありますし。
もし、反省させて出場させることになった後、他の選手にも同じようなことがたくさん発覚したら、どう対応するんでしょう。ルール違反をした選手をたくさん出場させることになってしまうでしょう。
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんのテレビでの発言が分かりやすいと思いました。
引用します。
「アスリートの皆さんは決められたルールや競技は違っても、ルールの中で戦っていて、そのルールを破ってしまった。ジャパン(日本代表)で国際大会に出たり、ナショナルトレーニングセンターだったりに行くんですが、その時に各団体で勉強会であったり、アスリートが世間にどういう影響があるかなど、いろんなことを学ぶんですね。
だから宮田選手もタバコだったり、飲酒してしまったら、自分がどうなるかは分かっていたと思うんですよ。それもあってのことなので、今回の辞退というのは仕方がないことなのかなっていう風に私は思います」
逆に出場後に発覚すると、まず間違いなく叩かれるでしょうし、出場前で良かったくらいではないかと。
そもそも、内部告発(≒チクリ)で発覚しており、結局は宮田笙子選手は他の選手から“リスペクト”されて無かったという事ですかねぇ。
ルールを守っている他の選手に不満がたまっていたのかもしれませんね。
なんでルールを守っていない人が主将なんだとか、色々とね。
あくまでも、勝手な推測ですが。
オリンピックともなれば、その時点での世界一を争うわけで、体力や技術面だけでなく、精神的な面も影響が大きいと思います。
その精神的な障害が無くなった結果でしょうか、なんか、生き生きと競技しているようにも見えますね。