誰も言わないなら僕が言う「飛行禁止空域設定」
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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ウクライナのゼレンスキー大統領は3月4日、飛行禁止空域の設定をめぐり、NATO(北大西洋条約機構)の対応を批判した。全面的な戦争になりかねないとして、ウクライナが求める飛行禁止空域の設定にNATOが同意しないことで攻撃は弱まることなく、日々、国民の命が奪われている。国際法上も集団的自衛権の行使が認められるのは疑いなく、今こそウクライナのために欧州が動く時ではないのか。
■最後は物量差でキエフ陥落か
ロシアの圧倒的な軍事力に対し、ウクライナは自国軍だけで食い止めている。2月24日の侵攻開始から2週間近く、首都を防衛しているのは命を惜しまずに国土防衛にかけるウクライナ人の強い意思が原動力になっているのは間違いない。
しかし、それにも限界がある。この先、1か月、2か月と長期戦に持ち込めるかどうかは不透明で、最後は物量の差でキエフが陥落する可能性は否定できない。その間、ウクライナの人々の命が失われていくのを、我々は指をくわえて眺めているしかない。
こうした点を踏まえゼレンスキー大統領はNATOに対して、ウクライナに飛行禁止空域の設定を求めたが、NATOのストルテンベルグ事務総長は「欧州で多くの国を巻き込む本格的な戦争に発展しかねない」として拒否。
同大統領は「飛行禁止空域の拒否はロシアがウクライナの都市に空爆を行なってもよいとNATOが許可したことを意味する。今日(3月4日)以降、殺される人たちはNATOのせいで死ぬことになる」とその対応を厳しく批判した(ANN NEWS・ゼレンスキー大統領「NATOのせいで死ぬ」…“飛行禁止空域”巡り痛烈批判)。
■NATOの軍事オプションは合法
集団的自衛権は国連憲章51条で認められた、国家が有する権利である。
【国連憲章51条(自衛権)】
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。…
この集団的自衛権の行使要件は国際司法裁判所がニカラグア事件の本案判決(1986年6月27日)で判断を示している。
(1)被害国が攻撃を受けたことを宣言
(2)その国による援助の要請
既にウクライナはロシア軍から攻撃を受けていることは明らかにしており、NATOへの飛行禁止空域の設定の要請は、(2)のその国による援助の要請に相当するのは間違いない。
ウクライナに対してNATOが集団的自衛権を根拠にロシア軍に対して軍事オプションを実行することは、国際法上合法である。明確に合法である行為を行わないのは、NATO事務総長の話にあるように、介入した場合に全面戦争になりNATO側も相当な被害が出ることを覚悟しなければならないからである。
重大な国際法違反をしている国に対し、国際法上は合法な権利を行使することができず、罪のないウクライナの人々が日々殺されていくという悲劇はこうして生まれている。
■経済制裁で侵攻が止められるのか
米国を中心とする自由主義陣営の戦略は最高度の経済制裁を加え、国際世論で批判を行うことでロシアの侵攻を止めようというもの。日本で多くの人々がロシアの軍事行動を批判し、毎日のように都内でデモ行進が行われている。
これらを全く効果がない、ムダな行為とする人もいるが、それは言い過ぎであろう。多少なりとも国際世論の形成には役立ち、ロシアに侵攻を断念させる方向へと働くと思われる。
ただし、それは開戦前の、戦争を起こさせないための手段と考えるべき。いざ、戦闘が開始されたら、最後は力か、力を背景にした抑止力で止めるしかない。プーチン大統領はゼレンスキー政権を倒し、親露政権を打ち立てるという目標を持っているのは間違いなく、各国で「戦争反対」という声が起きたぐらいで考えを変えるはずがない。
経済制裁が効いてロシアの動きを止めるまでキエフがもつ保障はない以上、侵攻を阻止するためにはNATOによる軍事介入、あるいは軍事力を背景にした交渉以外に手はない。
第二次大戦後の国際秩序維持は国際連合が担い、安保理の常任理事国の米英仏はNATOの加盟国である。米英仏が中心になってつくった国連憲章が公然と無視され、違法な侵略者が強大であるがゆえに合法な集団的自衛権を行使せず、人々が殺されていくのを止めることができないとあれば、もはや国連は国際秩序維持に何の役にも立たない組織であり、国際社会に正義は存在しないと言われても仕方がない。
21世紀の世界は国際政治、力学の前に国際法と正義がひれ伏した悪夢のような時代となりつつある。
■本当に恐れなければいけないこと
バイデン米大統領は侵攻前から米軍を派遣しないとしており、それがロシアの侵攻を後押ししたのは間違いない。我が身可愛さに、目の前でウクライナ人が次々と殺されていくのを黙って見ているのが米国の、NATOのやり方であるとすると、あまりに悲しい。
確かに飛行禁止空域を設定すれば、ロシア軍機をNATO軍が撃墜することになり、そこから全面戦争に発展するのは疑いない。しかし、本当に恐れなければならないのは、戦火が広がることではなく、戦火を広げないために無法者に利益を与えることである。
歴史は繰り返す。1938年のミュンヘン会談でナチスドイツのズデーデン地方編入の要求を欧州諸国が飲んだ結果がチェコスロバキア解体であり、1939年のポーランド侵攻へと繋がった。もし、プーチン大統領のウクライナ侵攻に何らの手も打たなかったら、その次はポーランドかフィンランドか、あるいは北海道かもしれない。ウクライナで終わる保障などどこにもない。
第二次大戦前は最後は核戦争になるということを各国の指導者は考えなかったため、単純に現代との比較はできないという考えもあろう。しかし、より好戦的な方が果実を得るという仕組みは20世紀も今も変化はない。果実を得た国は、そこで成功した方法を放棄するはずがない。そう考えると核兵器の有無は相手を脅す効果が強く、同時に抑止力もより強く効くというパワーレベルの程度の問題に過ぎず、宥和政策は平和をもたらさないという結末に何の影響も与えないと考えた方がいい。
■誰も言わないなら僕が言おう
核兵器は①物理的な威力、②運搬手段、③「もしかしたら本当に使うかもしれない」と相手に思わせること、この3点が揃って保有するメリットが生まれる。NATO側が一度も行使の意思を示すことがないまま、ロシアが目的を達成すれば、NATOの核兵器は③が欠落した張り子の虎と見做され、保有する意味が希薄になり、無法者の行為のハードルを著しく低いものにするであろう。
「飛行禁止空域の設定する」はもちろん、「設定を検討する」とも言わないのであれば、ゼレンスキー大統領の「今日(3月4日)以降、殺される人たちはNATOのせい」という発言は正しいと言われても仕方がない。全く戦う姿勢を見せないことを、プーチン大統領は侵攻を黙認することと判断している可能性はある。
キエフ陥落まで残された時間は多くないと思う。米国は戦闘機の供与の検討をしていると報じられているが(東京新聞TOKYO Web・ウクライナのゼレンスキー大統領悲痛、飛行禁止空域の設定繰り返し求める 米国は戦闘機供与を検討)、果たしてそれがキエフ陥落までに間に合い、効果を発揮するかは定かではない。
悲劇的結末が迫る今こそ、NATOはせめて期限を切って「飛行禁止空域を設定する準備に入る」ぐらいは言うべき。もし、宣言をして戦う姿勢を見せた場合、ロシアは膠着した戦線から「欧州との全面戦争を避けるために、撤退したのだ」という口実ができることも忘れてはならない。
日本の政治家も評論家も全面戦争に繋がることを「やれ」とはとても言えないのであろう。しかし、ウクライナの人々が今、最も求めているのはNATOの介入である。なぜ、その声に耳を傾けないのか、聞こえないフリをするのか。誰も言わないなら、僕が言おうではないか。
ウクライナの人々を救うため、国際秩序維持システムを機能させるため、NATOはウクライナに飛行禁止空域を設定すべきである。
〉NATOはウクライナに飛行禁止空域を設定すべきーーー
全面的に賛同します。公に発言するのは憚られる、まさに、誰も言わないことを言って下さった。他記事のコメントにあった「日本人がすべきこと」とは、こういうことを心に留めるのではなく、声に出すことだと思います。あくまで私見ですが。
日本人がすべきこと→NATOに飛行禁止区域=撃墜区域を設定し、NATO軍の参戦を促し、しかし日本は軍事力の行使はせず、参戦せず、手は汚さず、けしかけるだけけしかけて、外野から口だけ出すことですか?
それが日本人がすべきこととは思えません。
匿名 様
あなたが、そう思われるならそれでいいんじゃありません?
あなたの意見は否定しません。
私は、「全ての日本人」がそうであれなどとは、一言も言っていない。私の文章のどこに、そんなことを書いていますか?今、仕事の昼休みを利用していますので長くは書けません。
「誤読での反論」は、こちらの貴重な時間を奪うことでもあること、ご理解下さい。以上。
投稿が反映されなかったのでもう一度。
>私は、「全ての日本人」がそうであれなどとは、一言も言っていない。私の文章のどこに、そんなことを書いていますか?
私も書いてないですけど。
> 「誤読での反論」は、こちらの貴重な時間を奪うことでもあること、ご理解下さい。
本当に、全くその通りですね。
松田さん
今般のロシアの侵略に対し又ウクライナに対しての誠なる思いに改めて松田さんに感じた優れたる資質を思います。
私は何も言えない。
流される血、人の死に大して深い思いを抱かない、いや実は何も感じていないロシア非難、
それを感じると怒りが湧きます。
戦線(つまり戦闘)を維持するために日本はどうあるべきか?のとの一応の問いかけに対し過敏に反応し応答しました。(えらそ~な物言いで)
読者間バトルの懸念はこちらへのコメント当初、問題となるのでは?と、しかしあえて、です。
私のえらそ~な問いかけに頭に来た匿名さんからコメントをもらいました。
そして義勇兵の提案は当たり前だと、それは直接人を殺す価値観、自らも命をかけるわけですが、
自分が参加しないまでも義勇兵としてはせ参じる日本人に拍手を送る価値観、人を殺してこいと、
(日本でも70名近く義勇兵志願者がいると全員が戦闘員としてかは知りません。)
松田さんの主張はジャーナリストとしてのキャリアを賭けての旗幟鮮明たる個人としての主張です。
>日本人がすべきことは飛行禁止空域の設定を声に出すことだ、とのコメントがありますが他者にそれを促すことは違う、自らのみが主張すればよい。
ウクライナはNAYO加盟国ではない、よって米国は介入しないは建前だろう。過去の米国を見ればわかる。
米国世論調査では介入すべきではない、が60%を超える(ソースは今不明)残りは解らない、介入すべ。
又80%を超えてヨーロッパを巻き込む大戦に発展すると思うと。
(ウクライナ戦争 各国の反応から見る現状と展望)
アメリカもNATOも大戦へ発展することを懸念しているのだ。
飛行禁止空域の設定を主張する者は死者が出、ヨーロッパを巻き込む大戦へ発展した場合をどうあがなうのか、いやその前に死者が出、大戦に至ってもかまわないということか、
それを真に苦悩しての主張か、日本人はそれを主張すべきと、
私は飛行禁止空域を設定せよともするなとも何も言えない、、、
とうより今後を思う、いずれにせよロシアは衰退するだろう、米国もNATOも望むところだ、それを見越しての冷徹な国際政治ということだろう。
ご返信は不要です。
野崎 様
私がコメントしたのは、記事にある「ウクライナの人々が今、最も求めているのはNATOの介入である。ーーー誰も言わないなら、僕が言おうではないか。」に共感したからです。誰も言わないなら、私がコメントしようではないかと。これは、「日本人の1人である私の発言」という意味で、日本人の他者に強いる考えはありません。
もちろん、NATOの介入がどのような結果をもたらすのかも承知しています。それは記事に書かれていますし、国際社会の不正義に憤り、ウクライナの人々を助ける為の手段として賛同しています。人の感性、価値観は様々であり、事実誤認していない限り、どんな意見も尊重されるべきです。松田さんが、コメント欄をオープンにしているのは、そういう意味合いもあると勝手に思っています。
日本人がすべきことへの問いかけをされた方は、過去コメから軍事について大変にお詳しい方のようにお見受けします。だからこそ、具体的なお話は出来なかったのではないか…と勝手に推測しています。
コメント者の全てが、文章力に長けているわけではありません。ライターでもない者が、文字で自分の思いを正確に伝えることには限界もあります。
コメントは、出来るだけ好意的に読んであげることも大切かと思います。
*お返事は不要です。
月の桂様
>日本人がすべきことへの問いかけをされた方は、過去コメから軍事について大変にお詳しい方のようにお見受けします。
そうですか、よって 戦線(戦闘)を維持するために日本人に何ができるか?の問いかけなわけですね。
他には見ない発想に違和感を感じ、面白い発想だ、と応答を求めるコメントをしました。
>これは、「日本人の1人である私の発言」という意味で
読み取れませんでした。よく日本人は言葉の裏読みができるとコメントしているのに、です。
冗談めかして年齢的に脳がもう駄目だ~とコメントしましたが、それプラス性格で、
いや、当初からに私のコメントはバトルを起こすのでは? とコメントしたことがあります。
好意をもって下さる方もいらっしゃるようですが反感も相当なものではと、
こちらのサイトは松田さんファンの方が集まりアンチの方はコメントしませんね。
酷いものは松田さんがコントロールされているでしょうし。
ブロゴスでは以前、読者の応答が可能であり(ミクシィも)得難いものが得られる、ベンキョ~になることもしばしばでした。
匿名さんの様にサイトに平和を望むのも又バトルよしも一つのありかたでしょう。
今般のロシアの蛮行、一方が悪で一方が善の二元論以外にステレオタイプの陰謀論がありますが、確かに現況、そして今後を見越してほくそ笑んでいるものがいると考えます。
たら、れば、でトランプ氏が大統領であったならと妄想しています。
野崎 様
お返事を有り難うございます。
〉反感も相当なものではと、
私は、反感など持っておりませんよ。今回は、私の投稿意図を正確にお伝えする為の返信でした。万人に好かれる人などいませんし、反感を怖がっていてはコメントなど出来ません。サイトは、世界に向けて発信しているわけで、コメントも同様です。それを考えると、投稿はなかなか勇気の要ることでもあります。私達は勇ましい!(笑)
「紳士淑女の振る舞い」での議論(バトル)ならば、コメント欄は平和な場所だと思います。相手に、「もうコメントなんかしない」と思わせるような追及はよろしくないでしょうが、意見交換は有意義なことです。松田さんから、コメント欄にアンチを載せないわけではなく、現状は罵詈雑言や意味不明な内容ばかりで公開が出来ないとお聞きしています。私は、管理者の承認があってのコメント公開に賛成です。乱暴な言葉が飛び交う自由投稿は好みません。コメント欄の常連になりつつある方もいらっしゃいますし、進化し続けるサイトに期待しています。
野崎様のご投稿をお待ちの方も大勢いらっしゃいます。今後も引き続き、野崎節を聞かせて下さいませ。
*お返事は不要です。
真面目な話、
本当に真面目な話、今の世界情勢は第二次世界大戦直前の情勢に非常に良く似ている。
※ロシアの、ウクライナ国内2州(ルハーンシク州、ドネツィク州)の事実上の割譲要求は、そのまま第二次世界大戦直前のナチス•ドイツによるチェコのズデーテン地方割譲要求だ。
と言う事は、
“第三次世界大戦”は既に始まってしまった。
と言う事であり、後はNATOとアメリカ、あと当然日本も『いつ“腹を括る”か?(=軍事介入するか)』という事なんだろう。
なお、
第二次世界大戦開戦(というか、当時の欧州列強が遂に腹を括ってナチス•ドイツに宣戦布告した)直後、“火事場泥棒”的に当時のソビエト連邦がフィンランドに侵攻している、
つまり中華人民共和国の台湾(=中華民国)侵攻も近いという事ではあるまいか?
< あと当然日本も『いつ“腹を括る”か?(=軍事介入するか)』という事なんだろう。
ゾッとする話だが、真面目に考える話。
NATOに飛行禁止区域設定することに禅問答みたいな意見言ってる人もいるが、よく考えた方がいい。
第三次世界大戦へ至る可能性はほぼ無いと考えます。
その根拠
米国は介入する意志はない。
NATOは介入する意志はない。(当然、ウクライナは加盟国ではない)
その理由は大戦へ至る可能性を回避するためです。
ではヨーロッパ諸国が軍事介入することは?
現時点でその意志の表明や具体的動きをしている国は一国もありません。(武器援助等は別)制裁を表明しているだけです。
ウクライナも他国の軍事介入を要求していません。(義勇兵の要望は国としての軍事介入とは次元が異なる。)
飛行禁止空域の要求は軍事介入とはまったく異なります。
プーチンの目的はウクライナの掌握でありそれ以上の目的はありません。
(ヨーロッパ諸国も米国もそれを解っている。)
それが達成された場合、新たな冷戦構造の現出でしょう。
米国もNATOも第三次大戦を回避する中ですでにそれを見越している。
なぜNATOは飛行禁止区域の要求を拒んだか。米国は介入せずと表明したか。
最初から大戦へ至る可能性を回避しているのです。
それゆえ今後も米国、ヨーロッパ諸国とも軍事介入する意志はないでしょう。
今般の悲惨な事態において、日本人の国防意識に対し影響があったことをよかったと思います。
中国に関しては、今般のロシアのウクライナ侵攻により逆に台湾侵攻の可能性はなくなったと見ます。その根拠は割愛します。
>第三次世界大戦へ至る可能性はほぼ無い
そう言えば、
第二次世界大戦直前にも、フランス首相のエドゥアール・ダラディエと、
イギリス首相のネヴィル・チェンバレンが、
揃って「ナチス•ドイツとの戦争はほぼ無い」って言ったっけな。
今後が見もの、ということですね。