つばさの党また迷惑行為 著作権侵害で動画削除

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 政治団体「つばさの党」(黒川敦彦代表)が運営するYouTubeチャンネル内で当サイトが著作権を有する写真を無断使用し、5日午前に該当の動画が削除された。無断使用されたのはクルド人問題に関する写真で、10月下旬に公開された動画で使用していた。当サイトがYouTubeに対して提出していた削除依頼が認められたもので、これにより、当該チャンネルが閉鎖される可能性も出ている。

◾️登録者数は23万人超

無断使用されたクルド人の写真(撮影・松田隆)

 問題の動画は同団体が運営するチャンネルつばさ(登録者数23万人)が10月24日に公開したショート動画(全編1分35秒)で、黒川敦彦代表と女性が自動車に乗り込み、クルド人が実質的に経営する会社の近くなどを走行するシーンを車内に搭載されたカメラで撮影したもの。「移民問題!川口のクルド人解体ヤードに潜入調査。強制送還されたマヒルジャン氏の株式会社マヒル」というタイトルを付して公開していた。

 動画の冒頭部分(0分17秒~24秒)に令和電子瓦版が撮影・掲載した実質的に会社を経営していたクルド人の写真が動画内に差し込まれていた。当サイトが2025年7月10日に公開した記事に掲載された写真で、2023年5月に当該クルド人を取材した際に撮影したものである。当然、写真の著作権は当サイトが保有している(参照・強制送還クルド人リーダー 取材の思い出(前編))。

 動画公開の2日後の10月26日、当サイトはYouTubeに対して著作権侵害を理由に動画の削除の申立てを行い、10日後の11月5日に削除された。なお、写真の人物(クルド人)は既に7月にトルコに強制送還されている。

 つばさの党は2024年4月の衆院東京15区補欠選挙に候補者を立てたが、他の候補者の選挙カーを追尾したり、演説中にスピーカーで罵声を浴びせたり、妨害活動を行ったとして、公職選挙法違反(選挙の自由妨害)罪に問われ、起訴されている。黒川被告は昨年12月17日に1000万円の保釈保証金を支払って保釈された(産経新聞電子版・つばさの党代表ら3人の保釈認める 東京地裁、選挙妨害事件で7カ月勾留 賠償請求も)。今回の動画撮影は黒川被告の保釈中に撮影されたものとみられる。

 民主主義の根幹を支える選挙への妨害で社会的に強い批判を浴びた同団体であるが、その運営するYouTubeチャンネルでも遵法精神の欠如の様子が見て取れた。

◾️申立てから10日後の削除

 YouTubeに投稿された動画で著作権侵害が認められた場合、著作権者の申立てにより動画は削除され、チャンネルには著作権ストライクが付与される。ストライクが付与されると、動画のアップロードやライブ配信など一部機能が一定期間制限される。1回目の違反で概ね1週間、90日以内に2回目の違反があった場合は2週間程度の機能停止となる。

 90日以内に3回目のストライクが付与された場合、チャンネルは閉鎖(アカウントの終了)となる(YouTube Help・Understand copyright strikes)。今回の著作権侵害などのガイドライン違反が90日間で何回目になるのかは外部からはわからないが、仮に90日間で3回目であればチャンネルつばさは閉鎖されることになる。

 当サイトでは今年8月以降、著作権侵害のため削除依頼を出し続け、その数は100件を超えている(参照・クルド人送還関連の動画74件削除 著作権侵害で)。そのほとんどが提出後数時間以内に自動処理または担当部署による削除が行われた。実績を積み重ねた10月以降は、申立てを受理したという通知とほぼ同時に削除を完了した通知が入った。

 ところが、チャンネルつばさの案件はこうしたスピード解決とは対極にある、異例の展開をたどっている。申立てから1週間後の11月2日午後、YouTubeから「更なる事実確認の必要性やリクエストの複雑性により、詳細なレビューを要する」との通知が届き、対応が一時保留された。

 YouTubeがこのような保留措置をとるのは、著作権侵害の内容がチャンネル運営全体に影響を及ぼす可能性がある場合に限られるとされる。たとえば、今回の動画が削除されればチャンネルのストライク(警告)累積が3本に達し、チャンネル停止(BAN)処分の対象となる恐れがあった場合には、著作権侵害を認定が大きな影響を与えるため、他のセクションを交えての判断が必要で、プラットフォーム側は通常の場合とは異なり慎重に検討する。

 通知から3日後の5日午前9時46分、YouTubeは「リクエストが解決しました」とのメールで削除決定の通知が届いた。他のほとんどの動画削除が申立てとほぼ同時に行われたのに対して、申し立てから削除まで10日を要するのは異例の扱いである。

◾️遵法精神の欠如が顕著に

 削除まで10日を要した異例の展開は、チャンネルつばさがすでにガイドライン違反による複数のストライクを抱えていた可能性を示唆する。登録者数が20万人を超える一方で、問題の動画の視聴回数は5,000回にも満たなかった。これは、ガイドライン違反による露出制限などの内部制裁が影響していることが考えられる。同チャンネルで最も再生数が多い動画は241万、2位が171万である(11月5日現在)ことを思えば、最近の1万回に届かない再生数の少なさは異常としか言いようがない。

 こうしたさまざまな事情を考慮すれば、3回目のガイドライン違反の可能性は相当程度あると思われ、近日中にチャンネル閉鎖となる可能性は否定できない。

つばさの党・黒川敦彦代表(本人facebookから)

 つばさの党は政治活動やインターネット発信を通じて知名度を高めてきたが、違法行為も躊躇しないその手法は強い批判を浴びてきた。YouTubeなどの公開プラットフォームでは、著作権侵害が確認されれば即時削除の対象となることはよく知られている。それにもかかわらず、同党がこれを無視して使用した点は見逃せない。

 しかも、公開日が10月24日と遅く、当サイトが8月以降、著作権侵害を理由に多くの動画を削除した後に、どこからか写真を入手して使用したと思われ、当初から著作権侵害の故意があったと推認される。

 著作権法では正当な引用等の場合には、他人が権利を有する著作物でも使用が許される旨が規定されている。ルールに沿って当サイトが権利を有する写真が使用されるのであれば何の問題もない。当サイトは報道機関の1つとして、著作権に関するルールが守られる社会の実現に寄与したいと考えており、情報発信者のモラルの向上に期待している。

(SNS関連投稿⇨ X )

    "つばさの党また迷惑行為 著作権侵害で動画削除"に6件のコメントがあります

    1. 本願寺 より:

      この記事で黒川氏の顔写真が使用されていますが、ご本人から写真の使用許可はとられているのでしょうか。facebookで公開されいる写真でも、本人の許可なく転載してしまったら著作権や肖像権の侵害にあたらないのでしょうか?間違ってたらすみません。

      1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

        著作権法を一度、よく読まれてはいかがでしょうか。

        >>ご本人から写真の使用許可はとられているのでしょうか。⇨とっていません。
        >>facebookで公開されいる写真でも、本人の許可なく転載してしまったら著作権や肖像権の侵害にあたらないのでしょうか? ⇨あたらないと思います。

        疑義があるようでしたら、こちらにコメントするよりも、つばさの党に連絡することをお勧めします。

        1. 本願寺 より:

          つまり、黒川氏の顔写真をご本人の許可なく勝手に貴方のブログに掲載したってことですね。理解しました。

          1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

            ぜひ、つばさの党に通報してください。それから著作権法を一度読まれることをお勧めします。

            1. 森下 より:

              どちらも無断使用でしょ。法律的に差異はあるのかもしれないけどやってることは一緒。法律的にOKな目くそと法律的にNGな鼻くそ。

            2. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

              >>どちらも無断使用でしょ。法律的に差異はあるのかもしれないけどやってることは一緒。

              そうです。まさに法律的に差異があり、一方は違法、こちらは適法となるわけです。

              そちらも著作権侵害で動画を削除されましたか? 100件以上、削除申立てをしたのでその中にいらしたのかもしれませんね。著作権という権利の概念への理解がない方はこういう考え方をするのだろうな、と思います。今回は『著作権への理解がない人はこういう考え方をする傾向がある』ということを示すためにコメントを公開しましたが、最低限のネットリテラシーをわきまえないコメントは今後公開しませんのでご注意ください。

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