怪叔叔を台湾で演じた私から志村さんへ

The following two tabs change content below.
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。

 コメディアンの志村けんさんが3月29日に新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなられ、台湾でも多くのファンが悲しみに暮れています。幼い頃から志村さんのファンで、台湾のテレビで「怪叔叔=変なおじさん」を演じたこともある私にとっても、その思いは同じです。

4時間で700コメント「バラエティーの天才が一人去った」

2018年、トーク番組に出演時の葛西健二氏(ETtodayから)

 志村けんさんの訃報は3月30日に「喜劇之王」「喜劇之神」の急逝として直ちに台湾にも伝えられ、蔡英文総統も自身のSNSで追悼のツイートを投稿。賛意を示す「いいね」の数は3月31日午前の時点で22万を超えています。また、有名なポータルサイトにはニュース掲載後4時間で700を超えるメッセージが書き込まれました。

小時候的回憶….一路好走  (小さい頃の思い出…安らかに眠ってください)

年輕時候歡樂的回憶,八點大集合  (若い頃の楽しかった思い出、8時だョ!全員集合)

以前台北火車站附近店家,最喜歡播放志村大爆笑,總是引來成群路人圍觀 (以前台北駅近くに「志村けんのだいじょうぶだぁ」を流すのが好きな店があってね、いつもそれを見る人で、人だかりができていたよ)

怪叔叔走了 (変なオジサンが去った)

我的偶像 我真難過 (私のアイドル 本当に悲しい)

我超喜歡他的喜劇 根本是從小陪伴到大的 真的不能接受 一代喜劇大師就這樣離開 (志村さんのコントが大好きだった 小さい頃から大きくなるまで一緒だった 受け入れられない 一世一代の喜劇王がこうやって去るなんて)

真可惜少了一位綜藝天才 (惜しいことだ、バラエティーの天才が一人去った)

當年台灣很多綜藝節目都是拿志村當範本的 (当時、台湾のバラエティ番組はみな志村さんを手本にしていたよ)

プライベートでも台湾訪問 お気に入りは足裏マッサージ

 志村さんが台湾で大人気で、台湾のお笑いにも大きな影響を与えたことは、前回の記事(志村けんさん中国語Wiki改変騒動「台湾肺炎で死亡」で台・中が小競り合い)で紹介した通りです。

 そして、志村さん自身、何度も台湾を訪れています。仕事では2002年に俳優の金城武さんと共演し台湾観光PRのCMを撮影。2017年には「天才! 志村どうぶつ園」(日本テレビ系)のロケを台湾で行いました。台北の繁華街西門町で番組ロケが行われた時、西門町は志村さんの登場に大騒ぎとなったと当時の報道があったのを覚えています。

 プライベートでも台湾を何度か訪れており、足裏マッサージ好きは現地でも有名でした。私がよく通う足裏マッサージのお店には志村けんさん来店時にオーナーと一緒に撮った写真が額縁に入れて飾られています。

 そうした公私共に台湾を愛した志村さんだからこそ、台湾の人々も悲しんでいるのでしょう。

お約束の怪叔叔「志村さんとはキレが違う」(笑)

台湾のバラエティー番組でパフォーマンスをする葛西健二氏(GTV八大電視画面から)

 私は京都で生まれ育ちましたが、小さい頃から志村けんさんのファンでした。20年ほど前から台湾のバラエティー番組に出演していますが、自身の中国語のパフォーマンスには志村さんの動き、表情、言葉回しから大きく影響を受けている部分があります。

 今でもトークの中で台湾人の司会者が志村けんさんのお笑いを話題にすることは珍しくありません。実際、台湾のお笑いの大御所には「志村けんさんに影響を受けた」と発言している人もいます。胡瓜氏と楊帆氏などはその代表でしょう。

 私は胡瓜氏の司会の番組によく出ていたのですが、そこにはお約束のパターンがありました。まず胡瓜氏が私に志村けんさんの「怪叔叔(変なおじさん)」の物真似をするように振り、私の下手くそな「変なおじさん」の振り付けを見て周りが大笑いするのです。すると胡瓜氏が「全然だめ 志村氏のとはキレが違う」と楽しそうにツッコむというものです。

 私が日本人ということで志村さんの話題を振ることもありました。そのときの胡瓜氏の言葉やリアクションの端々から志村さんに対するリスペクトがあふれ出ていたのが、とても印象深く残っています。

台北から送る「ありがとう、そしてさようなら」

 台湾で芸能活動をしている私たちにとって志村さんは偉大な存在であり、私と同世代の台湾人と、志村けんさんを共通の時代のシンボルとして語ることができることは、日本人として大変うれしいことです。

 志村さんは意識されていなかったかもしれませんが、私を含む在台邦人に勇気を与えてくれたのは事実です。

 生前はお会いする機会に恵まれませんでしたが、憧れ続けてきた者としてお礼を申し上げたいと思います。

 「志村けんさん、ありがとうございました。そして、さようなら」。

 ご冥福をお祈りします。

"怪叔叔を台湾で演じた私から志村さんへ"に1件のコメントがあります。

  1. MR.CB より:

    》》葛西様

    志村けんさんの悲報には、還暦近い小生も絶句しました。
    特にドリフ世代にとって、志村さんの死はあまりにも受け入れ難い出来事です。こんなエピローグは誰も考えていなかったはずです。
    今はただ、心からご冥福をお祈りすることしか出来ません。

MR.CB へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です