原爆TシャツBTSが叫ぶ反人種差別

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 韓国のボーイズグループのBTSが30日、アジア系へのヘイトクライムに対して声明を発表した。原爆の写真がプリントされたTシャツを着ていたグループが叫ぶ「人種差別反対」。多文化共生の考えから遠く離れた者が叫ぶ差別反対に、どれほどの価値が見出せるというのか。

■アジア人として差別を受けた時のことが思い出され…

韓国芸能界を扱うサイト「KPOP MONSTER」から

 発表された声明は韓国語と英語の双方で、その和訳はハフィントンポストに掲載されている。一部を紹介しよう。

…アジア人として差別を受けた時のことが思い出されます。理由もなく罵声を浴びせられたり、容姿を馬鹿にされたこともありました。なぜアジア人が英語で話すのかと聞かれたこともありました。…そうした理由で憎しみや暴力の対象になることの辛さは、言葉にできません。…これらの経験は、私たちに無力感を与え、自尊心を削ぐのに十分でした。…人種差別に反対します。暴力を強く非難します。あなたも、私も、私たちも、尊重されるべき権利を持っています。私たちは共に立ち上がります。

BTSがアジア系へのヘイトクライムに抗議の声明「共に立ち上がります」【日本語訳全文】から)

 この文章だけを読むと、正論を言っているのは誰しもが感じることであろう。しかし、正論を言えば誰しもが納得するというものではない。言っている人たちがどのような考えを持ち、どのような行動をしてきたかによって、受け取る人はそれを素直に受け取ることはできない場合もあるはず。

 極めて抽象的に表現すれば、広域暴力団が災害時に炊き出しをして市民に食事を与える行為をした場合に「何て素晴らしい人たちだろう」と皆が称賛するかと言えば、そういう市民ばかりではないということである。

■原爆のキノコ雲の写真がプリントされたTシャツを着用

 BTSは、メンバーの1人が原爆のキノコ雲の写真がプリントされたTシャツを着用していたことが判明したことで、2018年11月に予定されていた「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)への出演が見送られたという事件があったことはよく知られている(ビジネスインサイダー:BTSのMステ出演中止決まったのは「前日」。「反日制裁」「バカにされた」ファンたちは…)。

 賛否両論が渦巻き、テレビ朝日は世論を気にしたのか、出演を取り消した。その判断はメディアとしては妥当なものであったかもしれない。

 では、今回はどうか。BTSが発したヘイトクライムへの抗議、差別をなくそう、そのために手を取り合って立ちあがろうというメッセージは出すのは勝手である。だが、このような差別をなくそうというメッセージがどのような性質なのかを考えていただきたい。

 現代的なコンテクストで考えれば「多文化共生」であろう。その核心は「異なる文化を理解し、尊重すること」。グローバル化が進む世界では、様々な文化が混在する状況が生まれる。異なる文化を異質ゆえに排除するのではなく、理解し、尊重することで共存していくことが求められる。BTSは米国で活動をしているらしいが、韓国的文化を輸出する、まさにグローバル化を体現しているグループであろう。

■BTSが発したメッセージの胡散臭さ

写真はイメージ

 ところが、そのグループが広島だけで20万人の命が失われた原爆のキノコ雲がプリントされたTシャツを着ていたというのであるから、驚くばかりである。つまり、彼らには日本という異なる文化への理解も尊重もないと言われても仕方ない。

 非戦闘員を大量に殺害した兵器の使用シーンをファッションとして用いていることは、日本人の命に対する理解も尊敬もないのであろう。そう考えると、今回のBTSが発したメッセージは「自分たちは他民族、ことに日本人への理解も尊敬もないが、オレたちを差別するな」と言っているに等しい。

 前述の暴力団の炊き出しに対して「今、そんな立派なことができるなら、日頃の反社会的行為をやめたらどうだ」と言いたくなる人は少なくないはず。それと全く同じ構図で、BTSには「差別反対と立派なことを言うなら、まず、自分たちがやったことを反省し、考えを改めろ」と言いたくなる日本人はいるはずである。僕もその1人である。

■日本人に理由なく罵声を浴びせる行為であることに気付け

 前掲のBTSのメッセージには米国で「理由もなく罵声を浴びせられた」ことでショックを受けたとある。

 原爆のTシャツを着用していることは、まさに日本人に対して理由もなく罵声を浴びせる行為であることに気がつかないのか、不思議に思う。

    "原爆TシャツBTSが叫ぶ反人種差別"に5件のコメントがあります

    1. MR.CB より:

      》》ジャーナリスト松田様

      同感です。もしかしたら原爆をモチーフにしたTシャツについては、グループ全員の見解ではないかも知れません。ただ、韓国では反日を美徳だとする教育や思想が堂々と存在することも厳然たる事実です。
      であれば、松田さんが指摘されるように、
      【今回のBTSが発したメッセージは「自分たちは他民族、ことに日本人への理解も尊敬もないが、オレたちを差別するな」と言っているに等しい】の趣旨が透けて見えてしまいますね。

      1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

        >>MR.CB様

         コメントをありがとうございます。

         極めて抽象的に申せば「お前が言うな」ということですよね。少なくとも差別解消を叫ぶのであれば、差別全体をなくそうという発想の人がいうべきで、自分たちへの差別だけを許さないという発想の人は、まず、自分の考えを改めろと言いたいです。個人的に、ものすごく腹が立ちます。

    2. スッパまん より:

      松田様

      このニュースをネットで見た時、まず思た事が「お前が言うな」、「目くそ鼻くそ」でした。その理由は、今回松田様のこの記事の通りです。また思い出したのが、別のグループが3.11での津波や洪水などで溺死した犠牲者の方々を揶揄するような映像を流して物議を醸しだしたことです。 

      韓国には3度ほど行った事がありますが、3回ともとても嫌な思いをさせられました。特に97年のサッカーW杯フランス大会の予選で日韓戦がソウルであった際、直接スタジアムで観戦しました。スタジアムには「共にフランスへ行こう」という横断幕がありましたが、それとは裏腹に日本人選手やサポーターに対する野次、罵声がひどく、あからさまに朝鮮語での日本人への差別語が容赦なく飛び交い、その試合で日本が勝利を収めた腹いせでしょうか、スタジアムを後にする際には排泄物入りのペットボトルを投げつけ驚いている日本人サポーターを指をさして笑っていた韓国人男女の集団を忘れる事が出来ません。                                      
      少なくとも日本人の感覚とは違い過ぎるのでしょう。戦後70年以上が経過しても日本人への怨嗟からくる日本人ヘイトを未だに続ける韓国人が「ヘイト反対」と叫んでも説得力が全くないように思えて仕方ありません。

      1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

        >>スッパまん様

         コメントをありがとうございます。

        >>排泄物入りのペットボトルを投げつけ驚いている日本人サポーターを指をさして笑っていた韓国人男女の集団を忘れる事が出来ません。         

         こういうことは朝日新聞には絶対に掲載されない話です。我々はこういう話を決して忘れずに語り継いでいかなければいけないと思います。確かに一部の人かもしれませんが、同時に、こういう人も含めて韓国だということも認識すべきでしょう。

         日本人はこういうことに鷹揚に構えすぎると思います。友好の名の下に見ないふりをさせられていた時代とは決別しないといけません。

    3. NA より:

      BTSがナチスの帽子を着用したことが問題になった時、プレジデント社はオンライン版で「BTSのナチ風衣装を叩く人こそ危険なワケ SNSの炎上こそ時に”ファシズム的”だ」との辻田 真佐憲氏の記事を掲載。

      現代ismediaでは石田健氏が「ネットを分断した「BTSの原爆・ナチ問題」とは一体なんだったのか また噴出した「反日」という不毛な言説」と題した記事で、”音楽に政治を持ち込むべきではないという考え方は日本において強固だが、グローバルに展開する現在のK-POPにとって、政治・国際関係は無視できないもの””BTSの問題に際してネットを飛び交った右派・左派それぞれの罵詈雑言やデマ”等と、言及。

      日系雑誌は、「Kpopアーティストのすることは悪くない、目くじら立てる方こそ問題だ」とまるで韓国芸能人の代弁者ですね。日本人は韓国に対して批判などするなと。

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