大内彩加氏セクハラ“劇作家”のコメント掲載拒否

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 俳優の大内彩加氏が劇作家・演出家の谷賢一氏をセクハラなどに関して提訴した件で、当サイトでは劇作家と思われる人物のコメントの掲載を拒否した。本人とメールでやり取りをして事情を説明し、コメントはネットリテラシーに欠けたものであり掲載に適切ではないことを説明し、基本的人権を尊重しない姿勢は許されないことをアドバイスした。同内容のコメントがツイッターで表に出ていること、それに対する当サイトの考えも分かることから、ここにそのやり取りを公開する。

■掲載不許可としたコメント

大内彩加氏(大内彩加 saika ouchiから)

 大内氏に関する当サイトの記事(セクハラ提訴 大内彩加氏に3つの疑問)は2022年12月22日に公開した。これに対して、「ま」と名乗る者から長文のコメントがついた。当サイトではコメントは承認制としており、管理者が不適切と考えた場合には掲載を拒否している。「ま」氏のコメントは谷氏が否定していることを一切無視し、大内氏が言うような事実があったことを前提としていた。谷氏は「彼女の文章は事実無根および悪意のある誇張に満ちており、受け入れられるものではありません。」(PLAYNOTE・本日公開された大内彩加さんの文章について)としているにもかかわらず、そのような主張をすることは、谷氏の名誉を著しく傷つけるものであると判断した。

 また、「ま」と同様の内容のコメントを分割して、当サイトのツイッターにリプライを連投した「sakananomabataki」を名乗るアカウントが存在し、同一人物であることは間違いないと思われた。

 まず、当サイトに寄せられたコメントを以下に掲載する。谷氏の名誉を傷つけるおそれがあり、長文でもあることから、一部省略する。以下、読みやすいように改行したり、改行を解消したりした。

【「ま」からの投稿】

まず、こうした疑義を明らかにすること自体が二次加害にあたる可能性をはらむことをご自覚ください。そのうえで、①…(筆者註・自宅で性的行為をされたのは)訴えから、当時、大内さんが出演する舞台の公演中でした。演出から話があると言われれば出演俳優が簡単に断れないのは想像に難くありません。…こうしたときに、強要されて性行為がおこなわれた(性暴力)場合に、被害を受けた人は、自分を責めたり、恋愛関係だと思い込もうとしたり、不快のあまり証拠になるものを処分してしまったりします。こうした被害者が非合理的な行為をとることがあることは、すでに知られていることですので、少し勉強なさるといいと思います。…あれは確かに性暴力被害であったと本人が認識し、加えて、話を聞いてくれる人や応援してくれる人を得て訴えるに至る、その時点では、刑事訴訟では訴えられず、民事での訴訟をおこなう、というのも、よく起こる経緯であって、不審な点をそこに求めることはできません。…

②…より詳細な内容が書かれた訴状を一般に公開しないのは、訴えられることをさけるためだという理由で十分納得できます。また、記者会見で勇気を持って発表されましたが、性暴力についての詳細の記述を広く公開することに抵抗があることはなにもおかしくありません。…

③…。

性暴力被害や、ハラスメントについて、これまでの事例にあたり、さまざまな研究の成果などを見た上で、ご判断し記事を書かれることをおすすめします。繰り返しますが、安易に疑義を唱えることは、勇気を奮って訴えを起こした被害者に対しての二次加害になります。その点もご自覚いただきたいと思います。

■「ま」への問い合わせメール

 世間が注目される事案であるため、なるべくいただいたコメントを公開したいという考えはあったものの、谷氏の名誉を考えると安易に公開することは許されない。また、コメントは大内氏の利益を一方的に擁護するものであり、この場合、弁護人が依頼人のために書き込んだ可能性があった。弁護人が書き込むこと自体は問題はないが、それであれば依頼人の利益を守る立場であることを明記すべきで、それを隠してコメントに客観性のある外観を作出することは倫理的に許されない。そのため、「ま」に対して、書かれていたメールアドレスにメールを送付した。

【当サイト→「ま」へのメール】

ま様

 この度は当サイトにコメントをありがとうございます。…ま様のコメントは以下の点について問題があるため、保留としている状態です。

①「安易に疑義を唱えることは、勇気を奮って訴えを起こした被害者に対しての二次加害になります。」という文言は、大内氏に対して疑義を唱えることは許されないというものであり、谷氏が加害をしたというものにほかならず、谷氏の名誉に対する侵害にあたる。

②文章の内容から、大内氏の利益のみを求めるものであり、大内氏の弁護人の可能性がある。

 ①に対しては、前段では「二次加害にあたる可能性をはらむ」としているのに、最後には「二次加害になります。」と断言しています。可能性をはらむ指摘であれば客観性を保っていると言えますが、それを最後に断言した表現に変えたのは、当初、客観性をもって論じたことを、最後に主観にすぎない表現を入れて読む者に谷氏の加害を客観的な事実であるかのように誤解させる悪質な印象操作であると判断しています。

 ②については、もし、ま様が大内氏の弁護を担当しているのであれば、依頼人の利益を守る立場での発言は特に問題になりません。その場合、自らが弁護人であることを明らかにすべきです。そのようなことをせずに、自らが客観性を持った第三者であるとの立場を装って大内氏の利益を守る発言をするわけですから、当サイトのユーザーに間違ったメッセージとして伝わります。

 まず、ま様は大内氏の弁護を担当する弁護士であるのかどうか、その点をお知らせください。ご通知がない場合、あなたからのコメント(ツイッターを含む)が、大内氏の弁護人のものである可能性があるという記事にして公開します。

 以上、ご承知おきください。

■U・Mと名乗ったメール

正義が為されることを願うのみ(撮影・松田隆)

 これに対して、U・M(実際は実名)という名前で返信があった。引用部分はわかりやすいように行頭に(>>)を付加し文字をグレーで表記した。

【「ま(U・M氏)」→当サイトへのメール】

丁寧なご返信をいただきありがとうございます。最初に、私はそもそも弁護士ではありませんし、当然、今回の件の弁護人ではありません。…

>>①「安易に疑義を唱えることは、勇気を奮って訴えを起こした被害者に対しての二次加害になります。」という文言は、大内氏に対して疑義を唱えることは許されないというものであり、谷氏が加害をしたというものにほかならず、谷氏の名誉に対する侵害にあたる。

安易に疑義を唱えることは、二次加害になります、とお伝えしています。松田さんが、安易に唱えたわけでないと思われているのなら問題ないのではないでしょうか? 記事は安易な疑義なのですか?…

>>①に対しては、前段では「二次加害にあたる可能性をはらむ」としているのに、最後には「二次加害になります。」と断言しています。可能性をはらむ指摘であれば客観性を保っていると言えますが、それを最後に断言した表現に変えたのは、当初、客観性をもって論じたことを、最後に主観にすぎない表現を入れて読む者に谷氏の加害を客観的な事実であるかのように誤解させる悪質な印象操作であると判断しています。

そうですね。であれば、最後も「二次加害になる可能性をはらみます。」に訂正していただいてかまいません。(ただし、口幅ったいながらご説明すると、前段では「疑義を唱えることは二次加害にあたる可能性をはらむ」→疑義を唱える→二次加害の可能性、で、最後には「安易な疑義を唱えることは二次加害になる」→安易な疑義を唱える→二次加害 と書いています。両者は矛盾しません。ご理解可能ですか?)

■U・M氏へのアドバイス

 U・M氏は実名で書かれており、同名の劇作家が存在する。そして、最初のコメントを分割してツイッターでリプライした人物も劇作家と思われる内容であり、その人物で間違いないと思われた。そのため、それを前提にしたメールを返信した。なお、U・MやUの部分は実名になっている。そして、コメントは公開しないが、既に谷氏の名誉を毀損するツイッターのリプライは公にされており、当サイトの記事がきっかけであることから、沈黙することは許されない。そのため、やり取りを公開することを通告し、この件を終わらせた。

【当サイト→U・M氏へのメール】

U・M様

 ご返信ありがとうございました。

 まず、いただいたコメントや、このメールを含め、U様とのやりとりについては記事として公開することをお伝えします。公開する理由は後述します。

>>最初に、私はそもそも弁護士ではありませんし、当然、今回の件の弁護人ではありません。

 ツイッターでも同じコメントをしていますし、そのアカウントからして劇作家のU・M様ですね。仮にU様が弁護人だとして、身分を隠したいのであれば関係者でしか知り得ない情報を入れるはずがありません。ネットで得られる以上の情報が含まれていないことをもって、U様が弁護人ではないという証明にはなりません。

(以下、U・M氏からの返信に対する反論を書いたが、省略)

 上記のような細かい点はもうどうでもいいことです。それよりも、せっかくコメントをいただいたのですから、U様に一言申し上げたいと思います。…U様が谷氏に怒りを感じるのは結構なことです。私自身も、大内氏が言っていることが事実であれば許し難いと考えます。…

谷賢一氏(同氏のPLAYNOTEから)

 しかし、本件は当事者である谷氏が否認もしくは抗弁をしている状況です。谷氏が虚偽を述べている可能性はありますが、同時に谷氏が主張するように大内氏が宮地氏と口裏を合わせて虚偽を述べている、あるいは悪意に満ちた誇張をしている可能性もあります。その点はこれから法廷で明らかになるでしょう。大内氏は勇気を出して提訴したのかもしれませんが、勇気を出して提訴したから訴えの内容が真実である保証などありません。…事実の認定や法的評価は司法で決着すべきことです。被告に訴状も届いていない段階でネット上で被告を極悪人であるかのように批判することは許されず、ましてや誹謗中傷などあっていいはずがありません。

 群馬県草津町の新井祥子元町議の件はご存知かと思います。新井氏の「町長室で強制性交された」という主張に沿って、その後の推移を含めて草津町自体を女性への尊厳を欠く町であるかのように主張した人々がいました。ところが、騒動の元になった書籍の著者である飯塚玲児氏が2022年12月7日に謝罪声明書なるものを公開、その中で「情報提供者(新井祥子氏)が証拠を改ざんし、虚偽の情報を提供していたと理解せざるを得ません」としました。…

 本件においても、谷氏の発言を聞く限り、そのような状況になる可能性は、全くないとは言えません。ですから、我々が心すべきことは、私の記事の末尾に書いたとおり「司法の場で決着がつく話であり、その前に先入観で一方を攻撃するのは控えた方がいい。我々も、その程度のネットリテラシーは持ちたい。」ということに尽きます。

 残念ながらU様のコメントはネットリテラシーに著しく欠けています。ですから記事へのコメントとしては公開できません。U様の主張はU様なりの正義感に基づくものなのでしょう。それであれば、相手の人権にも配慮した上で、ご自身の考えを主張することをお勧めします。谷氏はおそらく批判されるべきところはあるのでしょう。

 …基本的人権の保障は女性だけが対象ではありません。日本国憲法は性別にかかわらず、そして被疑者・被告人に対しても十分な権利保障をしています。U様はご自身の正義感を発揮される際に、そのような点を意識されているでしょうか。憲法が何のために被疑者・被告人に弁護士をつけることを定めているのか、その点をよく考えていただきたいと思います。

 自らの主張に反する者への憎しみや蔑みの感情を露わにした文章で人の心は動かせません。…「理解可能ですか?」など挑発的、侮蔑的な表現をするのも、U様の価値観からして私の記事は正義に反するという思いがあるからと思料します。

 「神は細部に宿る」というのは、文章でも同じであると思います。対立する相手への尊厳の尊重は、細かい表現に現れます。細部に宿った尊厳の尊重の上での批判こそが、多くの人の心に届くと思います。U様が言葉を扱うお仕事をされているのであれば、もっと言葉を大事にされた方がいいのではないでしょうか。ご自身の才能をご自身の作品で発揮されることを望みます。…

 ここまでのやり取りは…記事にして公開いたします。…ご不満の場合は法的措置をお取りください。

 U様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

    松田 隆

"大内彩加氏セクハラ“劇作家”のコメント掲載拒否"に4件のコメントがあります

  1. 匿名 より:

    こういった争いの場合、「信じてくれる人の数」がどれほど重要になるのだろうか?
    身の回りに信じてくれる人がいようがいまいが、裁判での結果に影響を微塵も与えない程に高度な審理が行えるような仕組みが出来上がれば良いだろうけど、
    結局は裁判官も人なので、「印象(主観)」の入り込む余地は拭えないのだろう。
    裁判官も世論を気にするらしいので、そういう意味でも、多数の賛同を得ることが重要になってしまう。
    また、そもそもの目的は加害者(被害者と主張する人と対立する人)の社会的な地位を低下させ事にも目的が含まれており、それによって報復を果たすことが含まれている。
    被害に遭う前の状態を回復させることが困難なケースにおいてはなおさらだろうか。

  2. BADチューニング より:

    >当サイトでは(直接の当事者と思われる?)劇作家と思われる人物のコメントの掲載を拒否した

    まさに、

    『あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!(中略) もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…』

    が“現出”した訳ですね……

  3. 秋吉万葉 より:

    松田様、いつも分かり易い記事をありがとうございます。
    松田様とお相手のとのやり取り、とても丁寧で分かり易いと思います。
    浅学な私でもストンと納得できる内容です。
    松田様のお考えに、素直に賛同できます。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

       ご賛同いただき、ありがとうございます。本来、私信のやり取りを公開することはありませんが、今回はツイッターで同様の内容が、当サイトの記事にリプライされており、サイトとしての考えを示す必要があったという事情によるものです。

       ですから、U・M氏には公開すると通告し、不満なら法的措置を取ってくださいと、公開に関して交渉の余地はないことを伝え、執行しました。あまり気持ちのいいものではないのですが、サイトとして情報発信、意見表明をしている以上、媒体としての責任を果たす必要があると考えての上です。

       そういう事情ですので、内容にご賛同いただけることは大変、嬉しいです。ありがとうございました。

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