たかまつなな氏の炎上動画 米映像に酷似

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 芸人のたかまつなな氏が公開した「若者よ、選挙に行くな」と題する動画が、米国で公開された映像と酷似している点が問題となっている。内容に関して高齢者に対する差別ではないかと”炎上”する中、米国で公開された映像と極めて似ているとの指摘を受けた。たかまつ氏は、元映像を参考にした事実は認めたものの、著作権の問題については沈黙を守っている。

■パクリ疑惑「若者よ、選挙に行くな」

元ネタ(左)とたかまつ氏制作の動画(ともに当該動画画面から)

 たかまつなな氏は3月22日、自身が運営するたかまつななチャンネルで「若者よ、選挙に行くな【2023年ver.】」と題する動画を公開した。統一地方選挙に向けてのメッセージを帯びた動画で、3人の高齢者が登場し、若者に投票するなと呼びかける内容。

 昨今話題になっているシルバー民主主義、つまり「人数が多い高齢者ほど積極的に投票し、人数の少ない若者ほど投票していないことになります。結果として、高齢者の意見が政治に反映されやすくなり、若者の声は届きにくくなる」(ニュース検定 公式テキスト&問題集 3・4級 毎日新聞出版社 p9)という政治状況に警告を発することを意識したものらしく、動画の最後にたかまつ氏自身が「選挙に行こう」というメッセージを掲げている。

 逆説的に若者に投票を呼びかける内容とはいえ、「若者よ、選挙に行くな」「今のままの日本が一番だよ、選挙なんか行かなくていいよ~」など、あたかも高齢者がシルバー民主主義の実現を目指して若者に棄権を呼びかけているかのような内容であることから、高齢者を敵視するものではないかという批判が起き、いわゆる”炎上”した。

 これに対し、たかまつ氏は同チャンネルで4月5日、新たな動画を公開し、その趣旨を説明して問題の動画を削除する意思がないことを明らかにした(【若者よ、選挙に行くな】今回の件についてお話しします。)。

 しかし、3月26日、フリーの報道記者、フォトグラファーの烏賀陽(うがや)弘道氏は、たかまつ氏の公開した動画が2018年に米国で公開された「Dear young people, “Don’t Vote”」と酷似しているとするツイートを投稿。その後もこの点を指摘する投稿を行い、「原著作者の許可を得て、契約書を作り、著作権使用料を支払って」いるのか、そうでなければ「無断盗用、あえて言葉を強めれば盗作、剽窃に該当します。」と指摘した(同氏ツイートから)。

■2019年から繰り返し制作

 烏賀陽氏の公開された質問に対し、たかまつ氏は4月9日午前10時の段階で一切答えていない。しかし、ニュースサイトで8日に公開された記事の中で、以下のように説明している。

 「『若者よ、選挙に行くな』をコンセプトにしたCMを最初に制作したのは2019年の参院選のときです。若い世代の選挙啓発といっても、普通の内容ではなかなか伝わらない。元ネタは当時アメリカで話題となっていたトランプ政権への風刺映像で、これを日本の現状に合った形でアレンジするなら、政治の世代間格差にスポットを当てるのがいいなと思い制作しました。」(ENCOUNT・「若者よ、選挙に行くな」強烈メッセージのCMが物議 全方向から批判も… 制作者の狙いは?

 このように2019年から同様の動画を制作して公開していたこと、米国の映像を「元ネタ」としていたことを明らかにした。たかまつななチャンネルを見ると、関連する動画として、以下のものを確認できる。

①2019年7月12日公開「若者よ、選挙に行くな

②2020年6月28日公開「若者よ選挙に行くな【2020年7月5日は東京都知事選挙】

③2021年10月20日公開「【若者よ選挙に行くな】2021

④2022年6月21日公開「若者よ選挙に行くな2022【7/10は参院選】

⑤2023年3月22日公開「若者よ、選挙に行くな 【2023年ver.】」

 今回、烏賀陽氏が指摘したのが最新の⑤の動画である。元ネタとしたという「Dear young people, “Don’t Vote”」との類似性を調べると、以下のようになる。

元ネタ:Dear young people, Don’t vote. Everything’s fine the way it is.

⑤若い人たちへ。今のままの日本が一番だよ。選挙なんか行かなくていいよ~

元ネタ:I do. Midterms, Primaries, every single election we’ll be there, but you won’t, because we’re a generation of doers.

⑤でも、君たちは選挙には行かない。…だから政治家は私たちの言うことを聞くんだよ。政治に若者はいないも同然。

 それ以外にも類似している点はあるので、1点だけ指摘しておく。

元ネタ:Climate change? That’s a your problem. I”ll be dead soon.

③:地球温暖化? 20年、30年先の話なんて知らないわ。

■なぜ問いかけに答えない

 表現手段が「元ネタ」と酷似している点は見逃すことができない。モノトーンの背景の前で複数の高齢者のモノローグを繋いでいく構成、エンディングに響く打楽器、そして上述の発言内容からすれば、烏賀陽氏でなくても著作権上、問題があるのではないかと考えるであろう。

 一般に「依拠性」と「類似性」が認められた場合に著作権侵害が成立するとされる。依拠性とは、先行する作品を参考にしていることで、類似性とは先行する作品に似ていることである。短期間とはいえNHKに勤務していたたかまつ氏が、それを知らないはずがない。

 たかまつ氏は前出のENCOUNTの記事で「元ネタは当時アメリカで話題となっていたトランプ政権への風刺映像」と、「依拠性」について自白した。つまり、「先行する作品を知らずに、制作したものがたまたま似てしまった」という抗弁を放棄したことになる。

 そうであれば「Dear young people, “Don’t Vote”」との類似性が認められれば著作権侵害とされるのは確実。構成も効果音も発言内容も酷似しているのは前述のとおりで、そのため、烏賀陽氏は繰り返し「原著作者の許可を得て、契約書を作り、著作権使用料を支払って」いるのかを問うているものと思われる。

 ENCOUNTの記事を読む限り、聞かれてもいない元ネタの存在に触れる一方で、なぜ、烏賀陽氏の問いかけに答えないのか。「そうでない場合は無断盗用、あえて言葉を強めれば盗作、剽窃に該当します。万一そうであった場合、貴殿の公的発言者として社会的信用は終わります。」とまで言われているのに、説明責任を果たさない姿勢には疑問が残る。

■たかまつ氏の遵法精神に問題

たかまつななチャンネル画面から

 一部の人々は、その内容が高齢者への差別的な表現となっていること、若者と高齢者の対立を生み出す原因となり得ることを批判の対象とするが、その点は表現の自由の保護の範囲内のことと思われる。

 たかまつ氏の政治的な信条に基づいて主張されるものであって、それが不適切であれば、思想の自由市場の中で淘汰されていくべきもの。

 しかし、他者が制作し、著作権上保護される表現を無許可で使用したとあれば、それは表現の自由の保護の範囲外となる。もし、公開した5つの動画が、元ネタの制作者の許可を得ずに行なっていたとしたら、たかまつ氏はその違法な行為に対する責任を負わなければならない。

 若者の政治参加を呼びかける行為そのものを批判する気はないが、自身の遵法精神に問題がなかったかを振り返るべきではないのか。

    "たかまつなな氏の炎上動画 米映像に酷似"に3件のコメントがあります

    1. 匿名 より:

      たかまつさんは何かとスウェーデンスウェーデン言うてて、スウェーデンの良いとこばかり口にするけど悪い事には黙ってる。そんなイメージ。
      今回のとちょっと似てるね

    2. NaNaSea より:

      この人、北海道知事の鈴木さんに取材申し込んで断られて(選挙直後の忙しい時期に取材申し込むほうがアホなんだけど)、ブチ切れ動画流して、良い玩具にされてますよね。
      まぁ、アホとしか。

      1. 匿名 より:

        ありましたね。それも記事にしてまとめて欲しいなー

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