日刊スポーツ元日結婚報道2025は篠田麻里子さん
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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日刊スポーツ恒例の元日付け紙面の結婚記事、2025年は女優の篠田麻里子さん(38)だった。既に熱愛報道が出ている株式会社ナレッジワークCEOの麻野耕司氏と年内に再婚するというもの。これまで外すことも少なくなかった新春結婚報道、”無理作り”の記事ならもうやめた方がいいのではないか。
◾️篠田麻里子さん年内再婚の不思議な内容
今年の日刊スポーツのターゲットはAKB48でも活躍していた女優の篠田麻里子さんだった。記事では麻野氏と「2025年内に再婚することが12月31日、分かった。…早ければ篠田が誕生日を迎える春ごろにゴールインする可能性もある。」(日刊スポーツ2025年1月1日付け)と伝えている。篠田さんの誕生日は公式サイトShinoda Mariko Officialによると3月11日で、その付近での再婚もあるとしている。
ビッグネームと言っていいレベルの女優の再婚話であるから、それなりにニュースバリューがあると思われるが、記事でも触れられているように、既に麻野氏との交際については公になっており、篠田さん自身もそのことを明らかにしている。
2024年に麻野氏と半同棲生活をしていると報じられ(文春オンライン・「八ヶ岳の高級ホテルで…」“交際宣言”篠田麻里子(38)が新恋人IT社長(44)と“半同棲お泊り愛”親密ツーショット写真「まさかお付き合いすることになるとは」《「寂しかったんだもん」“泥沼離婚”から1年半》)、自身のインスタグラムでも相手の氏名を明らかにしていないが交際宣言をした(篠田さんインスタグラム2024年9月3日投稿)。
結婚する可能性は十分にあるカップルであり、再婚は既定路線であると感じている読者が多いと思われ、それほどニュース価値があるとは思えない。目新しい部分とすれば、それが2025年内、早ければ春にも、という時期を限定した部分である。
通常の報道機関であれば時期が限定できた根拠を示すが、当該記事ではその点は全く触れられていない。「12月31日、分かった」(前述の日刊スポーツ記事)としていることから、その根拠が昨年の大晦日になって判明したということ。その事実の根拠(たとえばごく近い人が明かしたなど)が求められているにもかかわらず、そこに触れていないのは不自然で読者も疑問に思うはず。書く記者のレベルが知れるが、それを通すデスクも無能の誹りは免れない。
◾️過去4年の惨憺たる結果
このように判明した日付ははっきりしているのに、それがどういう根拠なのか説明がないお粗末な記事は、30年近く日刊スポーツに在籍した経験から言えば「元日用の結婚原稿」が現場のノルマとされていた結果と見て間違いない。
実際に元日に結婚をする、あるいは結婚を発表する例は多い。2025年で言えば、芸人の吉村崇さんが一般女性と結婚を報告、芸人の長谷川雅紀さんが昨年8月に入籍していた事実を明かし、俳優の溝端淳平さんが一般女性と、女優の逢沢りなさんが声優の神谷浩史さんと、それぞれ結婚を公表している(スポーツ報知電子版・今年も元旦に結婚ラッシュ!溝端淳平、ノブコブ吉村、錦鯉・長谷川、逢沢りな&神谷浩史ら続々)。
それらを発表前にスクープとして書きたい、年の初めの紙面を華やかなものにしたいという編集方針は、今回の紙面を見る限り20世紀から変わっていない。その結果、日刊スポーツに限らずスポーツニッポンなども真偽不明の結婚報道を元日に打ってくるのが恒例になっている。それが真実ならいいが、当たるも八卦当たらぬも八卦の状態であるから、読者の信頼を失う結果となっている。
2021年以降の日刊スポーツの元日紙面で扱った結婚報道は今回の篠田さんを含め8人。2024年の安住紳一郎さんはニュースというよりも、本人からのリークを独占したというもので調査能力よりも人脈、人間関係の構築によって生じたもの。それはそれでスクープと言えるが、有名人とはいえ、民放勤務のサラリーマンというのは多少引っかかる部分ではある。
2023年はお笑い芸人、インディアンスの田渕章裕さんがセクシー女優の美乃すずめさんと結婚と報じたが、その日のうちに本人がYouTubeで「ゼロ百やからな。ゼロやで。」と強く否定し、誤報であることが明らかになった(また”虚婚”ニュースで年明けの日刊スポーツ)。その前の2022年は女優の深田恭子さんの結婚を報じたが、その後、相手とは破局したとの報道がなされている(深田恭子さん結婚報道に見る悪しき伝統)。
2021年には数を多く撃てばと思ったのか4組の結婚報道をしたが、実際に結婚したのは2組だけで残る2組は誤報となった(日刊スポーツ誤報3発 結婚報道4組中3組が否定)。
昔と違って、現代は報じられた本人がSNSですぐに「誤報です」と発信できる。田渕さんの場合も「ゼロ百やからな。ゼロやで。」と指摘をされ、2021年には藤森慎吾さんから「日刊さん!!言ってくれたらちゃんと取材に答えましたのにー!フェイクっ!!」と、記者にとって耐え難い表現で否定されている。
このような時代に昭和の時代のような一か八かの報道をするのはあまりにリスクが大きすぎる。2021年から2023年までの惨憺たる結果は、現場の記者のトラウマになっていると思われる。それゆえ2025年は順調に交際していることは間違いなさそうな篠田さんに注目し、少なくとも強い否定をされないと考えて記事にしたのではないか。
◾️既に末期的症状
今回、日刊スポーツは元日に発表した上記の多くの結婚を事前に掴むことができなかった。平成ノブシコブシの吉村崇さんの話をキャッチできていれば新年早々のスクープであったが、残念ながら取材能力が足りなかったようである。
個人的には、そもそも芸能人のプライバシーである結婚を他紙に先駆けて報じる必要があるのかという部分から考え直した方がいいように思う。スポーツ新聞の発行部数は2000年を100とすれば、2024年には26.6とほぼ4分の1になっており、2017年から7年で半減と末期的症状にある(スポーツ紙過去最大の12.4%減 廃刊ラッシュ間近)。
そういう時代に、当たるも八卦当たらぬも八卦のような結婚記事を、元日だからといって出すようなことを続けていていいはずがない。日刊スポーツの経営幹部に崖っぷちの状況という危機感があれば、真偽不明の元日付け結婚記事は読者からの信頼を落とすだけなのでとっくにやめさせていると思われる。それをせずに毎年のように繰り返していると、ボディブローのようにダメージとして蓄積されていく。もう手遅れかもしれないが、決断すべき時は来ている。