マスクに文句の前に日刊スポーツは国民に謝れ

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 日刊スポーツが”アベノマスク”のサイズが小さいと、強行開催したK-1を後援する自社の”巨悪”を横に置き批判している。その報道姿勢は許されるものではない。

■マスクから鼻が出るのは顎まで隠そうとした場合

4月8日付け産経新聞(左)と日刊スポーツ電子版15日付け

 日刊スポーツ電子版の15日付けは「アベノマスク届くも『小さく鼻出る』『意味ある?』」という記事を掲載した。九州地方の介護施設からの提供だという政府が配布したとされる布マスクと、市販のマスクを並べた写真をアップ。

 職員の話として「小さくて、(顎まで隠そうとすると)鼻が出てしまう。今使っているマスクがなくなったら、自分で作ろうと思います」というコメントを紹介している。

 確かに小さいのであろう、そのマスクは。ただし、マスクは顎にするものではない。顎まで隠す必要はなく、顎を隠さなければ鼻は出ないのであるから、そもそも問題とはならない。安倍首相も布製マスクを使用しているが、鼻も口も隠れており、一体、何が問題なのかよく分からない。

■K-1強行開催が緊急事態宣言のきっかけとなった事実

 配布されたマスクが小さいことに文句をつけるのは勝手だが、細かい点で揚げ足を取るような記事を書く暇があれば、埼玉県知事の再三の中止要請を無視して強行開催された3月22日の格闘技イベント「K-1」を自社が後援した事実の謝罪をしたらどうか。

 さいたまスーパーアリーナで開催された「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K’SFESTA.3~」は日刊スポーツとスポーツニッポンが後援し、6500人の観客を集めて行われた。この時期に極めて危険の大きいイベントに、埼玉県の大野元裕知事は会場に足を運んでまで中止するように要請したが聞き入れられなかった。こうなると、開催はもはや反社会的行為と呼んでも差し支えない。

 産経新聞は4月8日付け朝刊で「K-1強行 首相、宣言に傾く」と題する記事を掲載。K-1の開催強行を止められなかったことが、首相をして緊急事態宣言の発出に大きく傾かせた事情を紹介した。私権を制限することになる緊急事態宣言に踏み切らざるを得ない判断のきっかけを作ったのは、日刊スポーツが後援したイベントである事実は忘れてはならない。

■感染拡大の危険なイベントを後援しながら予防策を批判

 マスクが小さいことによって、新型コロナウイルスの感染拡大の防止策が十分ではないことを日刊スポーツは言いたいのである。前述のように「鼻が出る」のは顎を隠す場合であるから、それほど問題ではないと思うが、百歩譲って万全でないとしよう。

 それに対して日刊スポーツがやったことは、大規模な感染拡大の可能性がある興行を側面から援助することである。極めて悪質な行為をしでかした会社が政府の予防策に難癖を付けることに違和感を覚えないとしたら、記者などやめた方がいい。

 古巣に対してこうした批判をするのは心が痛むが、そこに所属していた人間として、言わなければならない。

 新型コロナウイルスに関する記事を書くなら、己の行為を反省し謝罪すべき。報道機関としての良心を失ってしまったら、もはや存在価値などない。

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