古市憲寿氏 ”特攻”発言を捏造してコメント
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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社会学者の古市憲寿氏が15日、出演したテレビ番組で卓球の早田ひな選手の”特攻”発言に関してコメントした。パリ五輪で2つのメダルを獲得した早田選手の「特攻資料館に行きたい」という趣旨の発言は各方面に波紋を投げかけたが、古市氏は同選手が全く言及していないことをあたかも言ったかのように扱い、その前提で批判的に語る手法を用いた。そのやり口は悪質と言うしかない。
◾️谷原章介氏の問いに答えて
古市氏は15日の「めざまし8」(フジテレビ系)に出演し、早田ひな選手の”特攻”発言(参照・早田ひな選手”特攻資料館”発言の波紋)に関してコメントした。メインキャスターの谷原章介氏に振られて答えたものであり、その一連のやり取りを以下に示す。
谷原:オリンピックから帰ってきた報告の会見の中で、早田選手がこうやって自分が卓球をできている喜び、平和なこの今の時代だからこそできているっていうことを含めて特攻記念館に行きたいってことはどう思いましたか?
古市:意外でしたよね、その言葉がポンと出てくるのは。僕も父親の実家が鹿児島で知覧のそばなんで、知覧とか万世の特攻の資料館(前者は知覧特攻平和会館、後者は万世特攻平和祈念館)はよく行ったりするんですけど、やっぱり特攻があったから今の日本が幸せで平和だっていうのはちょっと違うなと思ってて、むしろ特攻みたいなことをさせない社会にしていく必要があると思いますね。もちろん、特攻の記憶を受け継ぐことは凄い大事なんですけど、それにただ感動して泣いて終わりにするんじゃなくて、どうやったら特攻みたいなものがもう二度とこの国で現れないようにするにはどうしたらいいんだろうって、そういったきっかけになるような、そういうふうに平和を考えることがすごい大事かなってふうに思います。
谷原:そうですね。そういったことも含めて、あらためて若い世代も含めて、僕たちもう1回そういったことが起きたということを忘れないように、資料館であったりとか記念館だったりとか、もう1回自分がそこを見つめ直すことも大事…
古市:特攻で亡くなった方も数千人なんですけど230万人の軍人の方、日本全体で300万人以上が亡くなっている戦争なんで、そのことは忘れないようにしたいですよね。
谷原:忘れてはいけません。
このやりとりを見る限り、アドリブでのやり取りではなく、事前にこういう方向でという打ち合わせはできていたように思える。それは時間が限られた番組内であればやむを得ないものかもしれない。
問題は太字にした赤字部分である。古市氏は「特攻があったから今の日本が幸せで平和だっていうのはちょっと違うなと思ってて」と話しているが、早田選手の話を聞いていない人、聞いたものの細かい部分まではよく覚えていない人は、早田選手がそのように言ったと勘違いをするのではないか。
早田選手の発言を再現すると「行きたい所としては1つはアンパンマンミュージアム、ポーチを作りに行きたいなと思っているのと、あとは鹿児島の特攻資料館に行って、生きていることを、そして、自分は卓球をこうやって当たり前にできているってことは当たり前じゃないっていうのを感じたいなと思って行ってみたいなと思っています。」というものである。古市氏が取り上げた「特攻があったから今の日本が幸せで平和」などとは一言も言っていない。
◾️早田発言に眉を顰める人がいるのか
早田選手の真意は分からないが、24歳の彼女と同じような世代の若者が、生きた時代のせいで自分がしたいこともできず、その上、爆弾を抱えて敵艦に体当たりすることを選ぶ、あるいは選ばざるを得なかった状況に思いをいたし、自分が好きな卓球を思い切りできることに感謝したいということではないかと思われる。そして、そのことで日本を代表する選手として一段、成長したいという思いもあったのかもしれない。
早田選手が会見で語ったこうした卓球にかける思いは、ある種崇高である。そして、知覧特攻平和会館はその展示目的を「私たちは、特攻隊員や各地の戦場で戦死された多くの特攻隊員のご遺徳を静かに回顧しながら、再び戦闘機に爆弾を装着し敵の艦船に体当たりをするという命の尊さ・尊厳を無視した戦法は絶対とってはならない、また、このような悲劇を生み出す戦争も起こしてはならないという情念で、貴重な遺品や資料をご遺族の方々のご理解ご協力と、関係者の方々のご尽力によって展示しています。」(知覧特攻平和会館・知覧特攻平和会館とは)と説明している。
崇高な思いを持った早田選手が、そのような展示がある”特攻資料館”に行きたいという発言に眉を顰める人間がいるとは思えない。それゆえ、当サイトでも若い人がこうした発言を自由にできる環境を皆で守ろうという趣旨で記事を公開した(前出の早田ひな選手”特攻資料館”発言の波紋)。
ところが、この番組では早田選手の発言を正面から讃えるのは気が引けたようである。言ってもいない言葉を取り上げ、先の戦争や、当時の指導者・政府批判に話をすり替えたのである。
◾️言い訳のポストを投稿
古市氏は、自身を批判するXの投稿を引用しつつ、この日のコメントの意図を説明するポストを投稿した。
「番組ご覧になりましたか?早田ひなさんを批判するわけがないじゃないですか。特攻隊の話題が出てくるたび、都合よくその歴史を美化する馬鹿な人を批判してるんです。」
(2024年8月16日11:50投稿)
確かに、古市氏は早田選手を批判していない。しかし、ある意味、それ以上に悪辣な方法で貶めている。あたかも早田選手が「特攻があったから今の日本が幸せで平和」と言ったかのような状況を前提としてつくり、「特攻隊の話題が出てくるたび、都合よくその歴史を美化する馬鹿な人」を批判するという形で自らの政治信条を披瀝しているのである。
フジテレビからそう言うように言われたのか、それとも自分で考えたのか分からないが、誰も問題としていない「特攻隊の話題が出てくるたび、都合よくその歴史を美化する馬鹿な人」への批判をするために、早田選手の言葉を捏造したというのは客観的な事実である。
◾️テレビ局で引導渡せ
古市氏がなぜ、このような手法を用いたのかは分からないが、コメンテイターとして他者とは一味違うものを出さなければ存在価値を示せないと思ったのではないか。
同氏は知覧特攻平和会館に行ったことがあるというのであるから、それが戦争を賛美するものではないということは理解できている。そのためそこに行きたいと言った早田選手を「戦争を賛美している」と攻撃すれば、論理的に破綻してしまう。早田選手のSNSアカウントに攻撃的なコメントを書き込んだ中国人と同レベルである。
とはいえ、旧軍の象徴的な存在である特攻隊を肯定的に扱うコメントをすれば、進歩的文化人としての地位を失いかねないという思いがあったものと思われる。
こうした「詰み」の状況から逃れるために発信者のコメントを捏造し、それを前提として(薄っぺらな)進歩的文化人の枠内に収まるようなコメントをしたというあたりが真相のように思われる。真摯な思いで、会見の場で勇気をもって発言したであろう早田選手を虚偽を取り混ぜて貶める言動は社会学者どうこうではなく、人として許されない。自らの人生に真摯に向き合おうとする若者を貶める真似は決して許されないことを古市氏は肝に銘ずる必要がある。
都知事選で次点の石丸伸二氏に対する取材で炎上したばかりであるが(参照・石丸伸二氏の取材対応 核心は「TVの終焉」)、それから1か月と少しで今回の為体(ていたらく)。本人が自分から身を引く気はなさそうなので、テレビ局の方で引導を渡す時期ではないのか。
確かに、古市氏は早田選手が「特攻があったから今の日本が幸せで平和」と言ったとは発言していなくても、言ったと思われるような印象を世間に与えるような言い方をしているのが、まさしく印象操作のようで、良い感じがしませんね。
ジャーナリスト松田様
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