レイプ容疑で仏トップ騎手3か月騎乗停止

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 フランスのトップジョッキー、ピエールシャルル・ブドー騎手(28)が14日、3か月の騎乗停止処分を受けた。同国の競馬主催者であるフランスギャロが発表したもので、25歳の女性に対するレイプ容疑で起訴されたことを受けたもの。

■ピエールシャルル・ブドー騎手28歳

起訴されたブドー騎手(The Guardian 電子版から)

 フランスギャロが14日発表したところによると、ピエールシャルル・ブドー騎手(28)とピエール・バジール騎手の2人を3か月の騎乗停止処分にした。ブドー騎手は女性へのレイプ容疑で、バジール騎手は犯罪を報告しなかった容疑で起訴されたことに対するもの。

 両者は起訴段階では推定無罪の原則が働くものの、フランスギャロは影響の大きさなどを考慮し、予防的措置として騎乗停止にしたと発表している(France Galop Press Release : Pierre-Charles Boudot – Friday 14 Mayから)。

 英・仏の報道を総合すると、今年2月17日の夜、南仏カーニュシュルメールでパーティーが開かれ、その場で競馬関係のライダーである25歳の女性に対して、ブドー騎手がレイプしたというもの。その際には薬物が使用されたという報道もある。

 女性は2月19日に現地の警察に被害を届け出て、その結果、被疑者が判明したという。2人の騎手は5月10日にサンリスの検察当局によって身柄を拘束され、同12日に起訴された。ブドー騎手は5万ユーロ(約670万円)の保釈金を支払って既に保釈されている。

 フランスギャロの決定は予防措置による騎乗停止のため、裁判の行方次第では、その後、さらに停止期間が延びたり、新たな処分が課されたりする可能性はありそう。

■年間301勝、2019年には凱旋門賞優勝

凱旋門賞優勝時のブドー騎手とヴァルトガイスト(グリーンチャンネル画面から)

 ブドー騎手は2009年に騎手免許を取得し、同国の名門アンドレ・ファーブル厩舎からデビューした。2015年に179勝で同国のリーディング騎手に輝いた。さらに翌年の2016年には年間301勝をマーク。当時のフランス記録(C.スミヨン騎手の228勝)、欧州記録(独P.シールゲン騎手の273勝)を更新する大記録を樹立した。

 これまでに3度、仏リーディングを獲得しており、2019年にはヴァルトガイストとのコンビで欧州最大のレースG1凱旋門賞(芝2400m)を優勝した。

 今年も既に105勝をマーク、2位の騎手に47勝差をつけてリーディングを独走していた(バジーレ騎手は9勝で56位)。5月2日にはマーレアウストラリスという馬でG1ガネー賞(芝2100m)を勝ち、2度目の凱旋門賞制覇に向けて好スタートを切っていた。

 しかし、今回の騎乗停止処分で騎乗馬を全て失う結果となった。5月16 日に行われたG1仏2000ギニー(芝1600m)ではセントマークバシリカに騎乗予定だったが、他の騎手(イオリッツ・メンディザバル騎手)に乗り替わりとなった。同馬はG1英2000ギニーを制した1番人気のポエティックフレアを下し優勝している。乗り替わりになった馬が大レースを優勝、ジョッキーとしては悔しいと想像できるが、ブドー騎手の容疑が事実であれば、自業自得と言うしかない。

■英仏メディアは大きなスペースを割いて報道

 欧州では英ダービー9勝を挙げ、大英帝国勲章を受章したレスター・ピゴット騎手が、現役引退後に脱税で実刑判決を受け収監されたのは有名。日本では同僚の持つメダルを盗んだとして現役の騎手が逮捕され、有罪判決を受けた例などが知られている。

 フランスの28歳の若きリーディング騎手の不祥事に英仏のメディアは大きなスペースを割いて報じている。英国の高級紙「ザ・ガーディアン」も写真付きで「仏チャンピオン騎手をレイプで訴追」の大見出しで報じた。日本でリーディングを独走する騎手が準強制性交罪で逮捕、起訴されることを想像すれば、それも当然のことと思える。

 裁判の行方次第では騎手生命が絶たれる可能性もないわけではない。本人が否認しているようなので何とも言えない部分はあるが、ジョッキーである前に、よき社会人であれ、というのは洋の東西を問わないのは言うまでもない。

"レイプ容疑で仏トップ騎手3か月騎乗停止"に3件のコメントがあります

  1. MR.CB より:

    》》ジャーナリスト松田様

    やっぱり競馬に関する記事を拝見しますと、日刊スポーツ・穴の松田を思い出してしまいます。しかしこの度の事件は、競馬ファンとしまして誠に残念でなりません。
    はるか昔にディスコで知り合った女の子のグラスに、こっそりと目薬を入れたことがある馬鹿な私には偉そうなことは言えません。
    常に落馬事故などの命の危険と隣り合わせの職業とは言え、ストレス云々など如何なる言い訳も通じない蛮行だと思います。事実であれば当該ジョッキーには、法に従って真摯に責任を果たして欲しいです。多くの健全な競馬サークルの人たちのためにも。

  2. K田選手追放に疑問 より:

    このようなレイプ魔には厳しく処罰が必要とは強く思います。
    しかし日本の大手マスコミが最近血道を上げている「男女同意の上での行為」に対する袋叩きは理解ができません。マスコミ関係者こそ不倫行為してる者は多いんですが彼らは何様なんでしょうか。

    1. ぷんぷん丸 より:

      その通りっ。
      さらにそれちゃいますが、
      最近あった大学駅伝選手の報道の仕方も酷いと思います。
      条例違反は良くないですけど。
      何か裏があるのかなー?

ぷんぷん丸 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です