桜井誠氏18万票 橋下徹氏6年前の発言の重み
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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東京都知事選(7月5日投票)は現職の小池百合子氏が圧勝し、桜井誠氏(48=日本第一党党首)は落選したものの17万8784票を獲得した。一定の政治勢力と呼んでいい票数と言えるが、今後の課題は残る。6年前、橋下徹氏から投げかけられた言葉が、ここに来て重みを増しているように思える。
■得票率は3%に迫る メディアも無視できない存在
桜井誠氏が獲得した票数は17万8784票と18万票に迫る勢いだった。投票が締め切られた直後、午後8時過ぎのNHKの開票速報では出口調査の5位までの候補が画面で紹介され、桜井氏は顔写真付きで紹介されている。
今回の立候補者22名、その中で政党の支援を受けるなどで有力とされた4名以外では断然トップである。立花孝志氏(NHKから国民を守る党党首)の4万3912票の4倍以上であるから、これは国政選挙であれば議席を取れるレベルにあるかもしれない。
前回2016年との比較を見てみよう。
2016年:11万4171票(得票率1.74%) 第5位(投票率59.73%)
2020年:17万8784票(得票率2.92%) 第5位(投票率55.00%)
投票率が5ポイント近く下がっている中、票数が1.57倍になっていること、街頭演説をせずにネットだけの選挙戦を行ったことを考えれば大健闘と言っていい内容であろう。前回第4位の上杉隆氏(ジャーナリスト)の票数には僅かに及ばないが、得票率では上回っている。少なくとも売名行為等で出馬したと思われる候補とは明確に異なり、1つの政治勢力として今後はメディアも無視できない存在となるのではないか。
■保守層の広範な受け皿になったのか
ただし、このような桜井氏の勢いは今後さらに増すかと言われると、それは微妙な部分があると言わざるを得ない。
今回、桜井氏は20万票を超えて、4位もあるのではと予想していた(参照:桜井誠氏20万票超4位も 都知事選の焦点)。実は(30万票もあるのでは)と思っていたので、約18万票に終わったのは意外ではあった。
2016年は自民党が増田寛也氏を推薦し保守系は小池氏か増田氏という選択肢があったが、今回は自民党が自主投票に回り、政治的には保守的と言える幸福実現党の七海ひろこ氏が選挙戦から撤退。このような状況であれば桜井氏は保守系の一定の受け皿になるのではという思いがあった。そう考えると18万票という数字は物足りず、「多数の保守系の受け皿とはならなかった」という評価が妥当であるように思う。
■行動する保守の分離という分析
作家の古谷経衡氏は今回の都知事選においては「『保守界隈・ネット右翼界隈』と『行動する保守』が分離した」と分析している(参照:日本第一党・桜井誠氏18万票の衝撃~2020東京都知事選、右派界隈に何が起こったのか~)。
それが正しいのかどうか、直ちには分からないが可能性としてはあるように思える。もともと桜井氏は表現方法は厳しいが、主張そのものは筋が通っていると思える部分はあり、そこが一定の保守層の支持を得ていた理由であろう。
今回、6月24日に虎の門ニュースの生放送中に抗議活動を行ったことで、(やっぱりそういう人か)と再考した層は存在したと思われ、広範な支持を受けられない原因となったのではないか。本人がそれでもいいと思い、今後もこうした活動を続けるようであれば、もはや今回以上の得票は難しいように思う。
■橋下徹氏とのやり取り 一触即発の事態
2014年10月、桜井氏は当時の大阪市長の橋下徹氏と公開の場で面談し、お互い感情的になって一触即発の事態になっている。この時、橋下市長はヘイトスピーチと思われる表現をやめ、選挙に出るように繰り返し桜井氏に言っている。
ほとんど喧嘩のようなやり取りだが、よく聞くと、桜井氏の主張に一定の理解を示しているようである。相手を「お前」呼ばわりするなど厳しい表現をしながらも主張している内容を批判せず、(やり方がまずい部分を改めろ)と言っているのである。
桜井氏がそれをどう感じたのかは分からない。だが、6年前の橋下氏が言ったことが、まさにこれからの課題となっているように思える。
このまま固定的な支持層からの20万票前後だけを頼りに活動を続けるか、より広範な支持を受けるための改善策を講じるか。桜井氏は重大な岐路に立っていると思う。