橋下氏とウーマン村本が一致「キエフで生活」

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 弁護士の橋下徹氏が15日、ツイッターで米大統領らは一時的にキエフで生活すべきという新たな提案を行った。16日にも引き続き同趣旨のツイートを投稿。過去の主張と合わせると、ウクライナ国民は国外に逃げ、米大統領が入れ替わりにキエフ入りして生活しろという主張になる。なお、ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏も同じ趣旨の内容を呟いている。

■橋下氏ツイートで主張繰り返す

橋下氏(左)と村本氏(両氏のツイッターから)

 ポーランド、スロベニア、チェコの首相が15日、ウクライナ侵攻が続く中、キエフ入りした。ゼレンスキー大統領らと会談が予定されており、シュミハリ首相はツイッターで「真の友人たちの勇気」を称賛した(CNN・EU3カ国の首相がキエフ入り、ウクライナ大統領は訪問を称賛)。

 3首脳がキエフ入りする前に橋下氏は「東欧3首脳、キエフ訪問へ」という時事通信のニュースを引用する形で、以下のようなツイートを投稿した。

<ツイート①> ➡︎NATOや西側諸国の政治家が、軍事介入を避けながらも本当にウクライナを支援する覚悟があるなら、皆キエフで暫く生活すべきだ。バイデン大統領はじめ日本の国会議員も。プーチンは総攻撃するか。(3月15日午後8時24分投稿)

 ロシア軍の侵攻が続く中、米大統領や日本の国会議員を一時的とはいえキエフで生活することを求めるのは悪い冗談としか思えないが、後段を見ると「プーチンは総攻撃するか」としており、いわゆる「人間の盾」としての役割を期待しての主張と思われる。

 その後も、同様のツイートを繰り返した。

<ツイート②> ➡︎いつの時代も政治家やその取り巻きの専門家たちは、自らの命の安全が保証された所から正義と建前論を吐き続け、政治的妥結を拒み、その間非戦闘員の命が奪われていく。(3月16日午前6時17分投稿)

<ツイート③> 戦争の究極の解決方法は政治家が戦地に赴くこと。政治家は、自分の命が危険に晒されれば、それまでの正義や建前論を後退させ、自分の命を守るために必死になって政治的妥結をはかり停戦協議をまとめるだろう。NATO・西側の政治家が一斉にキエフに行けばNATOとロシアの協議がまとまる。(3月16日午前6時22分投稿)

 橋下氏は13日の日曜報道THE PRIME(フジテレビ系)で「僕は政治的妥結という方向性もしっかり考えるべきだと思います」と話しており、NATO(北大西洋条約機構)が介入する形でロシアとの政治的妥結を成立させて事態の解決を図れと主張した(参照・橋下氏机上の空論崩壊 クルクル変わる主張)。

 この主張に対して「政治的妥結などできるか」「具体的にどんな妥結案があるのか」という疑問がネット上で盛んに言われ答えに窮していた橋下氏にとっては、その解決に繋がる3首脳のキエフ入りと映ったのかもしれない。

■ウーマンラッシュアワー村本氏の主張と一致

 橋下氏がツイート①を投稿するおよそ11時間前、ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏が以下のようなツイートを投稿している。

 彼(筆者註・グテレス国連事務総長)も含めて世界の首脳や要人たちはウクライナにいけばいい。ロシアが万が一彼らに弾を当てたら大変なことになる。民間だから兵士だからと命を雑に扱われる。他国の偉い人ならロシアで戦争反対と叫んでも逮捕されない。靖国のように個人的にきました、と言えばいい(3月15日午前9時52分投稿)

 この村本氏のツイートは東スポWebで紹介されており、タイムスタンプは17時44分(東スポWeb・村本大輔がウクライナ危機の打開策を提言「世界の首脳や要人たちはウクライナにいけばいい」)。記事はYahoo!ニュースにも転載されている。

 村本大輔氏の主張は、そのエキセントリックなまでの反戦思想と評価されることが多い(芸の一種とも思われる)。橋下氏がどのような経緯で主張するに至ったかは分からないが、村本氏の主張を見てそれに乗った、あるいは見ていないがたまたま一致した、どちらであったとしても、弁護士・元大阪市長としては思慮が浅いと言われても仕方がない。その点を以下で説明しよう。

テレビ演説をするプーチン大統領(ロシア国営テレビ・ロシア1画面から)

 今回の3首脳のキエフ入りは、EU加盟3か国がウクライナを支持することを明確に示す意図があり、また、キエフはいまだウクライナ政府が支配していることを示すという点でも、大きな意味がある。

 現実問題として、ロシア側が3か国首脳がいるであろう場所を狙ってミサイルを撃ち込むことは考えにくい。その意味ではロシア側はある程度の制約を自らに課すかもしれない。しかし、3か国に米大統領がキエフに一定の期間滞在したからといって、攻撃を止めるとは考えられない。

 なぜなら、プーチン大統領は侵攻当日、2月24日のテレビ演説で「ロシアは最強の核保有国の1つだ。ロシアへの直接攻撃は、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」(FNNプライムオンライン・軍事侵攻にロシア市民驚くも大半支持 プーチン大統領「最強の核保有国の1つだ」)とNATOの介入が核兵器使用を含む全面的な戦争に発展することを宣言している。

 これはブラフであるとは思うが、少なくとも表面上は最終的に全面戦争を覚悟していると明言しているに等しいから、人間の盾により攻撃が止まることはない。米国も大統領が人間の盾になる覚悟があるなら、わざわざキエフ入りする戦術を取る必要はなく、「攻撃をやめなければNATOが介入する」と言えば、同様の効果が得られる。

 こうしたことは過去の関係各国首脳の話からして論理的に導き出せる。村本氏が理解できないのは仕方がないとしても、弁護士である橋下氏がそこに気付かないとすれば残念と言うしかない。

■橋下氏の主張の統一的理解の困難さ

ゼレンスキー大統領(同氏フェイスブックから)

 橋下氏のここまでの主な発言(趣旨)を並べてみよう。

★ロシアが瓦解するまで、ちょっと国外へ退避してもいいじゃないですか。…国外退避することが恥ずかしいことだ、やっちゃいけないことなんだ、売国奴だという批判をおそれてしまうような空気は、僕はおかしいと思う。(3月3日・めざまし8)

★ある意味、究極の災害なんだから、できる限り多くの人が逃げる、国外退避させることに西側諸国は力を入れないといけない。(3月6日・日曜報道 THE PRIME)

★ゼレンスキー大統領も国民も自国だけの問題ではないと気づいており、政治的妥結の方向も考えるべき。(3月9日・日曜報道 THE PRIME)

★NATOがいざという時に出ていくぞという姿勢を見せて、プーチン大統領との譲歩の話が始まる。(3月9日・日曜報道 THE PRIME)

★何かしらの政治的な知恵を働かせて、ウクライナが降伏しない形でロシアとの安全保障の枠組みを作るべき。(3月9日・日曜報道 THE PRIME)

★NATOや西側諸国の政治家が、軍事介入を避けながらも本当にウクライナを支援する覚悟があるなら、皆キエフで暫く生活すべきだ。バイデン大統領はじめ日本の国会議員も。プーチンは総攻撃するか。(3月15日・ツイッターに投稿)

 戦況が変わることに合わせて、発言が変わることもあるのは分かる。しかし、この支離滅裂な主張を統一的に理解することは難しい。

(1)ウクライナ国民は逃げろ、西側は国外逃避に手を貸せ。

(2)ロシアと(ウクライナ、NATOなどは)政治的妥結をしろ。

(3)NATOはいざという時は出て行く姿勢を見せろ。

(4)ウクライナが降伏しない形で安全保障枠組みを作れ。

(5)NATOや西側の政治家が、皆、キエフでしばらく生活しろ。

 ウクライナ国民は国外に逃げ、入れ替わりにNATOや西側の政治家がキエフ入りし、しばらく暮らせば満足なのか。バイデン米大統領でなくても「一体、君はどうしてほしいんだ?」と聞き返すと思う。

■飛行禁止空域設定で戦う姿勢を

 最後に僕自身の考えを書いておく。侵攻当初から主張していたのは、NATOがウクライナの求めに応じて飛行禁止空域を設定すべきことである。NATOはまず戦う姿勢を見せて(これ以上、やるならこちらも黙っていない)という姿勢を見せる必要がある。

 そうすることで、停戦協議でも力を背景にしたウクライナとの交渉で変化が出ると考えている(参照・誰も言わないなら僕が言う「飛行禁止空域設定」侵攻で思考停止 池上彰・玉川徹氏ら掲げた白旗)。

    "橋下氏とウーマン村本が一致「キエフで生活」"に3件のコメントがあります

    1. 通りすがり より:

      あらら、あろうことかついに村本レベルまで堕したようですねw
      こいつらは他人に向かってああしろこうしろと上から目線でご高説を垂れる前に、まず自分で実行すればいい。
      侵略者と酒を酌み交わし、歌を歌って侵略を諦めさせるとか愚鈍なことを言ってる連中と何ら変わりはない。

      机上の空論を振りかざす前にまずはご自分で勇気ある行動をなさればよろしい。
      あくまでも自己責任でねw

      1. nanashi より:

        通りすがり様

        私はこういう主張を繰り返す人達には、モスクワへの片道切符覚悟で、是非ともクレムリンの前で「人間の鎖」というパフォーマンスでもして貰い、プーチン大統領に「平和の尊さ」をアピールすべきだと思います。

    2. BADチューニング より:

      ウクライナ軍(とゼレンスキー大統領)は、『絶対に合意が得られるはずの無い停戦交渉(プーチンが折れる訳無いので)』や、今回の様に『ウクライナへのEUの“支援”は、間接的だが途切れず有るぞ』と時間を稼ぎながら、大規模な“反転攻勢”を準備しているのではないだろうか?

      ※温存している航空戦力を投入し、キーフ周辺のロシア軍をベラルーシ国境まで押し返すくらいの。

      しかし、
      それはプーチンに戦術核兵器を使わせてしまう確率を高めてしまうのだが……

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