国葬の献花10万人超 デモはシルバー人材数百人

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石井 孝明🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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経済・環境ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部卒、時事通信社記者、経済誌フィナンシャルジャパン副編集長、アゴラ研究所の運営するエネルギー問題のサイトGEPRの編集担当を経て、ジャーナリストとエネルギー・経済問題を中心に執筆活動を行う。著書に「京都議定書は実現できるのかーC O2規制社会のゆくえ」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞社)など。
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 安倍晋三元首相の国葬儀が27日あった。平日だったが、筆者は時間を作り正午から午後2時ごろまで、現場を見た。

◆消された騒音 安倍氏国葬儀

靖国神社前で国葬儀会場に向け哀悼の気持ちを示す人たち(撮影・石井孝明)

 ネット報道を散見すると、メディアは反対派のデモばかりを写し、騒然としていたと思う人がいるかもしれない。しかし葬儀場周辺は安倍氏の冥福を静かに祈る人たちばかり。サイレント・マジョリティである「普通の日本人」と、ノイジー・マイノリティであるメディアや政治集団との落差を感じるものだった。

 筆者は地下鉄半蔵門線の九段下駅で降りた。献花台までは行かなかった。献花の列は数キロになっていたとネット情報があったからだ。東京都道302号線(通称靖国通り)が靖国神社横まで通り、北の丸公園と国葬会場の武道館と、一般献花台の置かれた九段坂公園に通じるが、車道は封鎖されていた。

 デモは私がいた時間に何度か九段坂下交差点(都道8号線(目白通り)と靖国通りの交差点)の下にきた。過激派や労働運動のセクトごとに来るらしい。一つは赤い色の幟(のぼり)を立てていた。遠くから見たのだが、日本共産党系団体の全教(全日本教職員組合)の幟があった。50人ぐらいだが高齢者ばかりで静かだった。もう一つの集団は、崩れた格好をして大型マイクに大音量でドラム連打の音と「安倍やめろ」と喚いていた。それは40人ぐらい。平日の昼間から暇な人たちだ。

 その周辺にいる政治団体や普通の人の「帰れ」コールが大きいぐらいだった。そして周りで数百人が、スマホで写真を撮っていた。制服警官が大量にいて批判する人との間に入っていたため、そうした集団をめぐる暴力沙汰はなかった。また会場には騒音は届かなかった。さらに警察は意図して、安倍氏の死を悼む献花の人の列と反対側でデモをさせていたようだ。騒音は封じ込められていた。

 九段下周辺には、高齢者の小集団がいた。腕章や幟で私が見たのは、共産党系の全教、立憲民主党系の「日教組」だった。彼らの大半は国会前で国会議員が集会をしていたので、そちらに行ったのかもしれない。メディアは、こうした団体が動員されていることを伝えていない。

封鎖された靖国通り(撮影・石井孝明)

 靖国通りは侵入を警戒し、警察車両と「わ」ナンバー、つまりレンタカーであるボックスカーで両枠が埋め尽くされ、容易に人が車道に侵入できないようにしていた。警察は歩道部分の通行は認めていた。不思議な光景だった。

 私は、反対側の車の隙間から献花台を見た。安倍氏の冥福を祈った。そして2時の国葬が始まると、靖国神社大鳥居前に、喪服など着た人が数百人集まり、葬儀の行われている武道館に向かって手を合わせ、ネット中継を見るなどしていた。私はこうした人たちの純粋な気持ちに感動したし、私と同じ思いの人がいることが嬉しくなった。

 以上をまとめると、安倍氏の国葬儀では「少数の変な人」たちが、騒いでいたに過ぎない。警察の警備は大量動員と準備で混乱なく、また市民の権利を威圧せず行われていたように思う。

◆献花者を試算10万人以上か

 安倍氏の葬儀で献花をした人はどの程度いたのだろうか。28日時点で政府もメディアも公表していない。警察取材の際に50メートルの列で100人と警察は人の数をカウントしていると聞いたことがある。公式なものかは不明だ。九段下から千鳥ヶ淵公園を通って、四ツ谷駅まで行列はあった。千鳥ヶ淵公園では警察は列を曲げて収容していたという。地図を確認すると、献花台から四谷駅まで直線で3キロ、ただし並んだ人が揃って、献花台まで7キロ歩いたとしている。遠望すると、列は原則3縦列のようで、それより増えたり減ったりしていた。また献花まで2時間から3時間かかったという。

都教組関係と思われる高齢者はデモに参加?(撮影・石井孝明)

 上記仮定で試算してみよう。3縦列、7キロの列は4万2000人になる。列は午前9時30分から午後7時30分まで10時間続いた。2時間30分で入れ代わると4巡。16万8000人が献花したことになる。最初と最後に列は少ないとして、軽く見積もっても、会場で10~12万人の人が献花をしたわけだ。自民党本部でも献花台を作ったという。私のような安倍氏を哀悼するが、献花はしないという人も多かっただろう。東京の人口は日本の10分の1に過ぎない。それ以外で哀悼の気持ちを示した人も多かったはずだ。大変な数の人が安倍氏を支持していたことがわかる。

 国会前デモの参加人数は数百人という目撃者や空からの映像の推計がある。主催者発表だと1万5000人という滑稽な状況になっている。主に高齢者だ。組織の命令で動員され、おそらく日当の出る労働組合や政党のデモで「数百人」。自発的に集まった国民が「10万人以上」。日本の現実は、どうも日本人にも世界にも歪められて、一部政治勢力やメディアによって伝えられている。

 朝日新聞は27日の午前中の記事で集まった一般人について「100メートル以上の列」と見出しにした。列の長さは「7キロ」だ。嘘をつかないでほしい。私は見なかったがNHKはニュースで、安保法制で騒いだシールズにいたという28歳の女性を出演させ安倍首相を批判させていた。この女性は、仕事の話もせずダラダラ毎日Twitterをしていており、就業しているのかさえわからない。こんな人は当然、日本の20代の若者の代表ではない。こんな人を代表扱いするなら若者は怒るだろう。

◆普通の日本人の健全さに安堵

車道を挟んで撮った安倍氏の献花台(撮影・石井孝明)

 菅義偉前首相の追悼演説が心を打った。その中で集まった人たちについて言及していた。

 「しかし、安倍総理…と、お呼びしますが、ご覧になれますか。ここ、武道館の周りには、花をささげよう、国葬儀に立ちあおうと、たくさんの人が集まってくれています。20代、30代の人たちが、少なくないようです。明日を担う若者たちが、大勢、あなたを慕い、あなたを見送りに来ています。総理、あなたは、今日よりも、明日の方が良くなる日本を創りたい。若い人たちに希望を持たせたいという、強い信念を持ち、毎日、毎日、国民に語りかけておられた。」

 普通の人たちが作る日本の健全な姿を、安倍晋三氏の国葬儀で確認できてホッとした。普通の日本人は安倍氏の死を悼み、立場を超えて前向きに安倍氏の希望したようにより良い日本社会を建設しようとしている。

 そして日本を貶め、日本人の活動を邪魔し、マイナスの情報しか拡散しない、「ノイジーマイノリティ」の姿に、またうんざりした。言っても無駄だろうが、少しは日本と社会のためになることをしてほしい。

【注】政府は28日の記者会見で、国葬の献花者数を2万5889人、国葬参加者数を4183人と公表した。現地に行った私から見ると少ないと感じるが、この記事の10万人超の試算は多過ぎ、その事実を加える。28日午後にこの注は執筆した。

"国葬の献花10万人超 デモはシルバー人材数百人"に4件のコメントがあります

  1. 匿名 より:

    ありがとうございます

  2. 匿名 より:

    この献花に訪れた一般人の人数が10万人というのはあながち大袈裟な話ではなく、私は当日現地にいてその規模を実際に4時間歩いて確認したのですが、出発点から献花台を一巡として、19時迄は少なくとも三巡分列が続いてたので、私の試算でも8万人近くは集まっていたとみています。
    逆に反対派のデモはその間一度も遭遇しませんでした。
    警察は一見細かい数字を挙げていますが、アレなんの数字ですか?全員が花を持ち込まれていたわけではないので献花の数だけカウントしたにしても少ないですね。なんで誤情報を公式発表としたんですかね。

  3. 野崎 より:

    現場の数ではない。

    先にセミファシストに関しコメントした。
    セミファシストとは先ごろバイデン大統領がトランプ支持者に対し使った言葉だ。
    日本におけるセミファシストの構成をもコメントした。

    国葬当日、現場にての反対集団が少数だった、団塊の世代の過激派の残滓だとの声がある。
    彼らはいずれ消え去るコアのファシストの一部に過ぎない。
    参拝の列を100メートル以上との表現で報じた朝日もコアの一部だ。

    そも国葬反対とは何であるか?
    それは奴バラファシストが常に戦術戦略としてきた社会にエートスを形成する、ルールオブニューマを形成する、それを使われては困る、それを阻止することが目的であった。

    それは姜尚中がいみじくも明らかにした。
    >まず、国葬を推進したい「頑迷な」推進派のことです。彼らは国葬を安倍元首相の悲願である憲法改正へのモメンタムにしたいと思っているのでしょうが、
    AERA 2022/09/21 07:00

    セミファシストを含むファシスト総体は着々として駒を進めている。

    国葬反対派とLGBT,パートナーシップ条例賛成派は同じだ、妄想ではない。
    要はアベガーの奴バラだ。

    パートナーシップ条例は拡大している。
    東京都、世田谷区ともにLGBT,多様性のある社会、パートナーシップ条例推進に関して広報を配布した、原資は都税、区税である。

    同性婚へ至る流れである。
    以前からコメントしている団塊の世代、日本女子大の極左女子大生、今やフェミニスト界の重鎮となったおばさんは、必ず同性婚へと突破する、としていることをコメントした。

    彼女は無論、国葬反対である。
    彼女に実名を公表してよいか確認して見る。

    ご返信は不要です。

  4. z旗 より:

    10万人以上は確実と感じました。入間基地の航空祭に何度か行ったのですが、観客数がいつも20万人以上です。広い基地の観客席スペースは何度も訪れ20万人という人の規模感は知っているつもりです。私は午前中に献花し1時間半ほどで献花台までたどり着きましたが、その後、靖国神社も参拝して、しばらく献花の様子を見ていました。そして、その列はどんどん増えていく一方でした。航空祭よりも体感的に多いと感じましたが、半分としても10万人以上は確実と思いました。政府は2万5889人と発表していますが、警視庁は相当正確な人数を把握しているはずです。なぜ警察発表の数字を公表しないのでしょうか。岸田政権の欺瞞が透けて見えます。

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