大椿ゆうこ氏語る(後)出馬めぐり福島氏と対立

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 党首選後の会見で発言機会を奪われた社民党の大椿ゆうこ前参院議員(52)の話の後編をお届けする。大椿氏は福島みずほ党首と選挙に関する問題で対立があったことを明らかにし、その点が今回の記者会見での退席騒動に繋がった可能性はある。自身の選挙での力不足が最大の原因としながらも、疑問を口にした。

◾️衆院選・小選挙区に出馬を促され…

大椿ゆうこ氏(同氏HPから)

 大椿氏は2019年の参議院選挙に立候補以来、5回連続で落選している(後に1度だけ繰り上げで当選)。昨年の参議院選挙は比例区で出たが、社民党はラサール石井氏だけが当選した。さらに今年2月の衆議院総選挙では比例東京ブロックから立候補して落選している。

 もっとも、当初は東京の小選挙区で出馬するよう求められていたという。そうした経緯から福島党首への不信感が強まっていると考えられる。

 この点、大椿氏は「私は自分には(当選するだけの)実力がなかったことは認めます。それが落選の一番の原因です」とし、その前提で選挙の問題について話すとした。

松田:昨年の総選挙では比例の東京ブロックから立候補しましたね。

大椿:あのときも最初は東京のある選挙区から出ろと言われていました。私の住まいは大阪ですから、生活の拠点を変えろっていうことで、私にとって大変な決断でした。最終的に引き受けますと、出る意思を固めました。その上で、『今回の衆議院選挙でどこで勝とうと思ってるんですか』と、福島さんに聞きました。

松田:なぜ、そのように聞いたのですか。

大椿:私が聞いたのは『今回、もう一議席も社民党は取れないと思います。ゼロです、ゼロ。しかし、ゼロでは困るから、どっかで一議席をたたき出さなければいけません。それでは、そのたたき出す一議席はどこで、誰で、やるんですか』と。それを私が福島さんに聞いたんです。

松田:どういう答えでしたか?

大椿:そもそも私に出ろと言ったのが東京12区でした。(そこで勝つのは)大椿さんだと言うんですよ。それを聞いて『そこで勝とうと思っているのだったら、私ではないですよね』と言いました。『本当にそこで一議席たたき出したいのなら、福島さんが出た方が野党は一本化に向けて動きます』と。 私では不十分ということです。『福島さんが出た方が票を集めることができる、当選可能性の高さからいえば福島さんだと思います、福島さんが出るべきじゃないですか』と私は言ったんです。 

松田:そこまで言われて、福島氏はどう答えたのでしょうか。

大椿:『そのことと私(福島氏)のことは切り離して考えてください』と言われて、にべもなく突っぱねられました。

◾️参議院に”籠る”福島氏

大椿氏は2025年参院選に出馬(撮影・松田隆)

 各種世論調査で支持率が1%前後の社民党で、小選挙区で勝つのは不可能と言っていい。その意味で大椿氏の言うように、勝とうと思えば野党で統一候補になれるような存在、福島党首以外に、社民党として勝負できる候補は見当たらないという言い分は一定の合理性がある。

 前年の参院選比例区で落選し、地元でもない東京の小選挙区で「勝つならあなた、勝つならこの選挙区」と言われても納得できる人はいないと思われる。

松田:福島さんは実際、(衆議院の小選挙区に)出ていませんね。

大椿:今回、福島さんが出てたとしても、高市さんがああいう(支持率が高い)状況だったから当選できたかどうかは分かりません。ただ、本当に私たちみたいなまだ知名度も不十分、実績も不十分な者が、難しい小選挙区で戦って落選を繰り返している中で『いやちょっと福島さん、党首であれば、ここはやっぱり打って出て自ら戦う姿勢を見せないといけないんじゃないですか』ということは私はずっと不満に思っていました。

松田:その辺りで、福島さんに対する不満が大椿さんの中でかなり強まっていたわけですね。

大椿:そうですね。私は自分が立候補した昨年(2025年)の夏の参議院選挙で、党が『現職当選必達』という目標を掲げながらも、具体的に必達するための手立てを取ってもらえなかったということもあります。それとまあそこ(比例区)にラサール(石井氏)さんを出してこられた時点で、『ああ、私の当選はもう考えてないな』と受け止めました。

 実際に比例区では社民党は1人の当選者しか出せず、候補者の中ではラサール石井氏が20万7143票で1位となり当選を決めた。2位の大椿ゆうこ氏は5万9279票とラサール氏の3分の1以下であった。

大椿:(当選できなかったことは)もう私自身の実力のなさっていうこともあるから、ことさらそれを言おうとは思ってません。でも、今はもう社民党から出てくれるような人の中で、ラサールさんのような芸能人は異例中の異例です。本当にたたき上げの社民党で頑張ってきた無名の人たちが、選挙に挑戦していくわけです。そのときに、党首を先頭に、本当に党が支えない限りは議席なんてたたき出せないということを分かってほしいと、ずっと思っていました。 

 こうした大椿氏の思いは実現することはなく、福島氏は衆議院への鞍替えを頑なに拒否し、さらに大椿氏を当選させようという姿勢も見えなかったという。

大椿:本当に、この人を勝たせたいと思ったら、いろいろなことをやれるじゃないですか。たとえば挨拶の場に必ず連れて行くとか。そういうのが私には全くありませんでした。選挙の前から、今に至るまで、絶対に福島さんは私のXのポストはリポストしないとか。あるいは挨拶の場面は譲らないとかもね。その辺りから『なんでこんな扱いを受けるんだろう』と不満を持ってました。

松田:福島さんはそういうところがあるのでしょうか。

大椿:でもそういう人だからと(諦めた)。(党内で敵対する人が)頭一つ出てきたと思ったら、たたき潰す人だからと。周りも『そんなことで文句言ってるあなたがおかしい』という感じでしたから。 

◾️離党の意思…今はない

 大椿氏は、党首選の決選投票の前に討論を呼びかけたが、福島氏は応じることはなかった。そして、開票後の記者会見では大椿氏に話をする機会は与えられなかった。こうした党運営への不満が表面化すれば、福島氏の権力基盤が揺らぐと考えたのかもしれない。

 会見途中で退席した大椿氏は離党するのではないかと推測する向きはある。もっとも、決選投票で43%の支持を受けており、党内での支持基盤を大事にすると考えても不思議はない。

松田:この先、大椿さんは、社民党の中で頑張っていこうとお考えなんですか。 

大椿:離党の意思はないです。今は。

松田:そうですか。

大椿:今のところは。で、次もどう動くかまだ決まっていない状況の中で、離党するという判断はないですし、まあ今回4割の方、43パーセントの方からご支持をいただいたっていうことと、昨年から、今まで社民党を応援してきてくれたけど、具体的に党員になろうとかサポーターになろうと思わなかったような方々が入ってきてくれたことを考えると、その人たちを…何て言うのかな…思いをほったらかしにしたまま離党を、という話にはならないかなとは思ってます。そういう人たちと一緒にこの先どういうふうに取り組んでいくかってことは話をしたいとは思ってます。

松田:党内で43%の方が投票用紙に「大椿」と書いてくれたわけで、そこを頼りに今後も政治活動を続けていくと考えていいのでしょうか。

大椿:そうですね。だから社民党かどうかということに関わらず、やっぱり自分は労働問題をやりたいという思いだけは、色々なものを削ぎ落としても、そこだけはやりたいんです。非正規雇用の問題を。できれば、国会でもう一度、議員として、仕事をしたいと思ってます。

松田:選挙の問題はやはり大きかったようですね。

大椿:(当選できなかったのは)自分に実力がないことが一番の原因です。ただ、党が支えない限りは誰も通らない状況の中で、十分な支援があったとは思えないということです。

◾️福島体制が続く先にあるもの

福島氏と大椿氏のイメージ(AIで生成)

 大椿氏は、当選できないのは自分の実力不足である、ということは繰り返し強調していた。そうであるからこそ、党の支援が重要になるところ、社民党の支持率は低迷し、十分な支援がないという状況では打つ手がないということであろう。

 日本社会党の時代には衆議院で166議席を占めたが、現在は衆議院ゼロ、参議院でわずかに2議席を占めるのみにとどまっている。何とか議席を確保できている福島党首が絶対的な存在となって民主的な党運営がなされなくなり、そのことでさらに党勢が衰退していく負のスパイラルに陥っている。

 今回の党首選での言論統制騒動は、そうした社民党の現在地を如実に示すものであったと言える。大椿氏は現時点では離党の考えはないとするが、この先、福島体制が続いた場合にあくまでも党内にとどまるのか、予測は難しい。(大椿ゆうこ氏語る(前)福島氏の党運営「課題多い」に戻る)

※冒頭の写真は大椿氏のホームページからダウンロードしている。同HPには写真の使用の規定として「大椿ゆうこを応援する目的でのご利用をお願いします。」とあるが、令和電子瓦版では「応援する目的はなく、報道目的で使用したいので許可を願いたい」と申し入れ、大椿氏本人から了解を得られたために掲載することとした。以上の事実から、当サイトが当該記事において大椿氏の応援を目的としていないことについて、読者の皆様にご理解いただきたい。

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