日刊スポーツの歴史に残る社長解任劇(終)僕が考える三浦社長の解任理由
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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これまで5回に渡って現佐渡市長の三浦基裕氏の日刊スポーツ新聞社の代表取締役の事実上の解任について論じてきた。最終回の今回は僕自身が考える三浦基裕社長の解任理由を書き、この連載を締めようと思う。
■会社法の規定からは当たり前の解任・追放
三浦氏を解任した川田員之会長は、従業員に対して直接、自らの言葉で解任理由を説明している。その内容は三浦氏の改革が新聞本体にそれほど目を向けず枝葉末節の部分に終始し、このままでは日刊スポーツの改革は進まないと考えたというものだったことは前回書いた。
ここで問題になるのはなぜ電撃的に解任し、しかも日刊スポーツから追放したのかということである。本人が予想もしないような方法を採用したことが「三浦社長による朝日新聞の傘下に入る計画が会長の逆鱗に触れた」といった噂を呼ぶ原因になった。
しかし、これは会社法の規定からすれば、ごく当たり前のことである。取締役は株主総会で選任され、通常1期2年で結果が残さなければ再任されないこともある。それどころか株主総会でいつでも解任されうる。実際、これまでに取締役に再任されずにそのまま日刊スポーツから追放された例は少なからず存在している。
■三浦氏の持つ矜持”出世に興味なし”に鼻白む周囲
ここから先は全くの想像である。連載の第2回で僕は三浦氏は「トップになってはいけない人だな」と思ったと書いた。同じような思いを川田会長が持ったことが解任・追放につながったと考えている。
三浦氏は過去に例がないようなスピードで出世をしていったが、彼の言動を見ていると「自分は誰かに取り入って地位を上げている人間とは違う」という矜持のようなものが感じられた。それがはっきり分かったのは連載第2回で書いた「新人事賃金制度検討委員会」でのこと。当時三浦氏は部長か局次長職にあったが、会社が進めようとしていた新制度に最も反対する立場であった。既に会社の経営に近いポジションにいた人間としては考えられないような姿勢であるが、そういう部分を見せることで「自分は会社の言いなりではない」ということをアピールしたかったのではないかと思う。
実際に委員会の議論の中で、専門職の話になった時に「生涯、現場で取材をして、管理職ではないが社員としての格が上がるような専門職に憧れる。自分もそうなりたい」と発言した。(出世には興味がない)というアピールなのだろうが、誰よりも出世している人間の発言に、他の委員の鼻白んだ表情が忘れられない。
■三浦社長誕生に費やされた労力と年月がムダに…
三浦氏は社長になる前に取締役として各局のトップを歴任した。川田会長としては三浦社長誕生のために何年も布石を打ち、ようやく社長に就任させたという経緯がある。ところが社長になったら、出てくるのは小手先の策ばかり。大きな理念、プランを示して会社全体をその方向へ動かすタイプのリーダーではなかったということである。シニカルな態度も能力の高さから滲み出てくるものではなく、自らを大きく見せるための小道具の一つでしかなかったと感じた(見破った?)のかもしれない。
川田会長にとってその失望は小さくないと思う。何年もかけて三浦社長誕生の布石を打った労力、年月は全くの無駄になってしまったからである。果たしてこれまでの努力は何だったのかという思いにもなるであろう。
三浦氏の矜持に由来すると思われる、時に会社側にも反対する姿勢を見ていると、子会社の社長に左遷したら本社の言うことに反対する可能性があり使いにくい。そうなると日刊スポーツグループ全体で居場所を与えるべきではないという考えも出て当然。
そういった考えから解任・追放という選択肢を選んだのではないか。一言で言えば、三浦氏はグループに残してもいいと思えるような従順さを持ち合わせていなかったということである。株主総会で修正動議を出させ賛成する形にしたのは、直前まで決めかねたために手続き上、その方法しかなかったのだと考えられる。
■佐渡市長選挙の行方、佐渡市民の審判は2020年
三浦氏は現在、佐渡市長を務めており、来年4月には二期目の審判を迎える。彼が立候補するのか知らないが、重なる不祥事にも辞職していないところを見ると、二期目に挑戦するのであろう。
彼の本質は市主催のイベントで用意した臨時駐車場で55歳の女性が海に転落して死亡した際に、他人事のように「今回の出来事をしっかりと検証し、必要に応じた安全管理に努めてまいります」とコメントした部分に現れている。他人の痛みに対する無関心、無頓着。それは佐渡市の沖合で高速船「ぎんが」が海洋生物とみられる物体と衝突して80人が負傷する大事故が発生したのに、自治会の会合で酒を飲んでいたという部分からも明らかである。
日刊スポーツの社長を1期で事実上解任された三浦氏は、佐渡市長は2期目に入れるのだろうか。来年4月の佐渡市民の審判に今から注目している。(おわり)
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