日刊スポーツ元社長落選 女性候補が致命傷に

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 佐渡市長選挙で日刊スポーツ新聞社の元社長・三浦基裕氏が落選したのは、女性候補の出馬が致命傷になったと13日、関係者が語った。

■現職有利の2期目も5人立候補の乱立選挙に

当選した渡辺竜五候補(中央、支援者からの提供写真)

 4月12日投開票の佐渡市長選挙は、2期目を目指す日刊スポーツ新聞社の元社長・三浦基裕氏がまさかの落選となった。一般に現職有利と言われる地方選挙、しかも多選の弊害が叫ばれることがない2期目ではかなり現職が強いとされる。

 しかし、市長が議会と対立し市政が機能不全に近い状態になっていたこともあり、5人が立候補という乱立状態。

 投票前は混沌としたムードであったようである。結果は上位2人が大接戦となった。

佐渡市長選投票結果(選挙管理委員会発表)

渡辺りゅうご 11,210票⭕️

三浦もとひろ 10,576票

藤木のりお  7,272票

宇治さやか  3,332票

後藤浩昌   242票

 当選した渡辺氏は元・市総務課長。藤木氏は元・副市長、宇治氏は元・市議で、後藤氏は新潟県知事選に立候補した経歴を持つ行政書士である。

■前回市長選から1万127票減の三浦氏

渡辺竜五氏の当選を伝える新潟日報号外(渡辺氏の支援者提供)

 渡辺氏の支援者によると、新市長は総務課長時代に三浦市長のために閑職に追いやられたという。その後、総務課長に戻ったものの市長から左遷された経歴のある課長に近づく者はほとんどなく「自分の居場所はないと感じ退職」(渡辺氏の支援者)したが、周囲から勧められたこともあり市長選に挑んだとのこと。三浦市政への批判票を集めて当選、634票差の接戦を制した。

 ここで前回、2016年の選挙結果を見てみよう。

三浦もとひろ 20,703票⭕️

甲斐もとなり 15,221票

 三浦氏は前回の選挙で2万票を超える支持を受けたが、今回は1万127票減らし敗れた。減った票数と、藤木氏と宇治氏の合計票数1万604票を考えると、その1万票余は2人にスライドしたと考えられる。

 藤木氏は元・副市長だったが、昨年12月に職を辞して市長選に出馬。そうした立場から藤木氏同様、三浦氏批判票が多いと思われる。

 宇治氏は議会では数少ない市長派だったが以前から市長職に意欲を見せていたそうで、三浦氏が絶対と言えない戦前のムードを見て勝機ありと考えたようである。

■「宇治氏が出馬しなかったら負けていたかも」

 渡辺氏の支援者によると「宇治氏の3,000票が大きかった。宇治氏が出馬しなかったら、(渡辺氏は)負けていたかもしれない。宇治氏の立候補で(三浦氏に投票する可能性が大きかった)浮動票が、宇治氏に流れた」と分析する。

 宇治氏は2016年の市議選で2,706票を獲得してトップ当選を果たし、議会では数少ない市長派であった。今回の得票数3,332票は宇治氏が持つ基礎票+若干の浮動票と見られる。仮に市長選に出馬しなければその支持層の大半は三浦氏に流れたはずで、その場合、三浦氏は1万3000票前後の計算となる。

 結局、三浦氏は味方(藤木氏、宇治氏)が離反したことで、人事上冷遇して事実上追放した相手(渡辺氏)に倒されたことになる。

■日刊スポーツ時代も強引な人事に批判

 僕は日刊スポーツ新聞社で三浦基裕氏の5年遅れの入社で、直属の部下であった時代もある。三浦氏は社長の時代も含め社内人事に関しては、何かと批判が多かったのは事実(参考:新潟県佐渡市の三浦基裕市長は日刊スポーツ前社長、不祥事連発に「やっぱりな」)。

 市長当選後も、その強引な人事が原因で選挙に敗れたと聞くと(なるべくしてなったのだな)という感想を抱く日刊スポーツの関係者は少なくないと思う。

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